がん疼痛治療25の秘訣**中外医学社/大坂 巌(社会医療法人石川記念会HITO病院 緩和ケア内科部長)/9784498057340**
- 編著
- 大坂 巌(社会医療法人石川記念会HITO病院 緩和ケア内科部長)
発行 2022年6月
サイズ A5 / 154p
ISBN 978-4-498-05734-0
がん患者の疼痛治療における選択肢は,年々充実してきている.それだけに,各々の患者に対して何をどう使い分けるのかの判断は困難になってきたとも言えるだろう.
そんな現状を踏まえて本書では,突出した診療経験数を誇り延べ300回以上の講演を行ってきた著者が,がん疼痛治療の正しい考え方を親しみやすい「格言」を使って解説した.いち読すれば,難なくがん疼痛治療の秘訣が身体に染み込む,実になる1冊である.
【目 次】
「治療方法」に関すること
ch. 1 がん疼痛治療のアップデート
アップデート
がん治療と緩和ケアのアップデート
がん疼痛治療ガイドラインのアップデート
研究方法のアップデート
オピオイド鎮痛薬のアップデート
アップデートの落とし穴
ch. 2 不易流行
緩和ケアという言葉
緩和ケアの不易とは?
緩和ケアの流行とは?
がん疼痛治療の不易
がん疼痛治療薬の流行
がん疼痛治療に関する研究の流行
これから流行して欲しいこと
変わってはならないもの
ch. 3 “unlearn”の重要性
学校での学び
医療における学び
unlearn
オピオイド鎮痛薬の選択
オピオイド鎮痛薬はヒトを選ぶ?
細胞内で起きていること
知識の学びほぐし
ch. 4 アクセルを踏みつつブレーキを踏む
日本はがん疼痛治療の発展途上国?
日本におけるオピオイド使用量が少ない理由
アクセルを踏む
ブレーキを踏む
がん疼痛と慢性疼痛
アクセルを踏みつつブレーキを踏む
ch. 5 痛みは時相で変わる
痛みの軌跡
骨転移による痛みの変化
臨床における矛盾を解決できるか?
時相に応じた疼痛治療
ch. 6 がん疼痛を見る
画像検査で痛みを評価できるか?
痛みが出現する場所
腹腔神経叢を見る
膵がんの痛み
骨転移による痛み
胸膜や胸壁の痛み
最も見えにくいもの
ch. 7 合わせ味噌のように
合わせ味噌
オピオイド鎮痛薬の併用
一般的なオピオイド鎮痛薬の併用
作用機序の異なるオピオイド鎮痛薬の併用
メサドンの併用
タペンタドールやトラマドールの併用
呼吸困難が生じた場合の併用
ch. 8 めざせ!突出痛救助隊(breakthrough pain busters)
突出痛
医療現場のレスキュー隊
セルフレスキュー
レスキュー活動に必要なこと
レスキュー薬の選択
レスキューの費用
予防レスキュー
眠前レスキュー
経粘膜性フェンタニルの予防レスキュー
【Column】レスキュー・ドーズは存在しない
ch. 9 ローテーションかスイッチングか?
2010年ではローテーション
投与経路の変更はいずれでもない
不完全交差耐性
2014年版ではオピオイドスイッチング
2020年版では区別しなくなった
見極めるポイント
ローテーションとスイッチングを区別する
大切なことは用語ではない
「薬剤」に関すること
ch. 10 似て非なるもの
MSコンチン(R)錠とオキシコンチン(R)錠
徐放性
オキシコンチン(R)錠とオキシコンチン(R)TR錠
デュロテップ(R)MTパッチ,ワンデュロ(R)パッチとフェントス(R)テープ
意外な相違点
オプソ(R)内服液,オキノーム(R)散,ナルラピド(R)錠
後発医薬品
後発医薬品が効きにくいという思い込み?
ch. 11 とりあえず
とりあえずのオピオイド
ビールだけを注文することはない?
制吐剤
便秘治療薬
酸化マグネシウムには注意が必要
メカニズムに応じた便秘治療
ch. 12 理想的なオピオイド鎮痛薬
高ければ高いほど良い
低ければ低いほど良い
多ければ多いほど良い
少なければ少ないほど良い
ch. 13 オピオイド鎮痛薬の存在理由(raison d’?tre)
MSコンチン(R)錠(モルヒネ)
カディアン(R)カプセル(モルヒネ)
デュロテップ(R)パッチ(フェンタニル)
オキノーム(R)散(オキシコドン)
イーフェン(R)バッカル錠・アブストラル(R)舌下錠(経粘膜性フェンタニル)
メサペイン(R)錠(メサドン)
メサドンを使いこなせて専門家
タペンタ(R)錠(タペンタドール)
ナルベイン(R)注(ヒドロモルフォン)
ch. 14 求められる5つの「安」
安全
安易
安定
安心
安価
ch. 15 PSで薬が変わる
オピオイド鎮痛薬はPSの影響を受けにくい
鎮痛補助薬はPSの影響を受ける
デュロキセチン・ガバペンチノイド
ケタミン
リドカイン
コルチコステロイド
【Column】はじめての「投与」
「エビデンス」に関すること
ch. 16 オピオイド鎮痛薬のエビデンスは純米大吟醸
エビデンスの重要性
対象患者さん
緩和ケア病棟に入院している患者さんの多くは治験対象外
二割三分磨き
エビデンスと純米大吟醸
ch. 17 紅葉を愛でるように
紅葉の楽しみ方はマクロからミクロまで
エビデンスと植生
がん疼痛治療のマクロ
がん疼痛治療のミクロ(1)(タペンタドール)
がん疼痛治療のミクロ(2)(セロトニン症候群)
がん疼痛治療のミクロ(3)(アセトアミノフェン)
マクロとミクロの両方の視点を大切にする
ch. 18 がん疼痛治療の謎
アセトアミノフェンはなぜ効くのか?
メサドンを初めから開始できないのか?
ケタミンはなぜ嫌われるのか?
研究対象の痛みを揃える
【Column】カンナビノイド
「臨床現場」で大切にしたいこと
ch. 19 がん疼痛治療はテーラーメイド
オーダーメイドの服
テーラーメイドの鎮痛薬
がん疼痛治療薬の仕立屋
仕立屋に求められる能力
プロフェッショナルとしての仕立屋へ
ディテールにこだわる仕立屋へ
オピオイド鎮痛薬と他の商品との違い
ch. 20 先を読む
がん疼痛治療の変化
痛みの性状の変化
投与経路の変更
オピオイド鎮痛薬の持続皮下注射
フェンタニルは持続皮下注射に向かない?
薬剤に関する地域連携
先を見越して考える
ch. 21 二人三脚,四人五脚
患者教育?
伝えるべきこと
教育よりも対話
多職種の中での対話
がん疼痛治療の魅力
ch. 22 コーチング的疼痛治療
オピオイド鎮痛薬を勧める
患者さんは本当に納得しているのか?
コーチング的アプローチ
カウンセリング,ティーチングからコーチングへ
ゴールを共有する
ゴールデンサークル
人は感情で選ぶ
感情リテラシー
Why→How→Whatの順で伝える
多分野の知恵を活かす
ch. 23 お接待とお節介
緩和ケアの源流
よそ者を受け入れる覚悟はあるか?
お接待
おもてなし
一流に学ぶ
身近にあるおもてなし
医療従事者ができる簡単なおもてなし
お節介
ほどほどのお節介
【Column】すべての医師は3タイプ
ch. 24 Iatrogenic sufferingを直視する
夢のような薬モルヒネ
オピオイドの副作用
軽視されてきた便秘という苦痛
Iatrogenic suffering
脚光を浴びる便秘治療
質の高いがん治療・がん疼痛治療へ
緩和ケアにおける喜びの喪失
オピオイド鎮痛薬がもたらした功罪
最大のiatrogenic sufferingとは?
ch. 25 言薬
言葉が与える影響
半世紀前に行われた臨床試験
痛みについて語る
締めの言葉はポジティブで
有害な言葉と有益な言葉
医療用麻薬の導入を迷っている患者さんの意思決定支援
副作用を説明する場面
言葉は薬になる