一見非典型・一見複雑を解きほぐす 病歴と身体所見で捉え直す消化器疾患の診かた**金芳堂/篠浦 丞/978-4-7653-1943-0/9784765319430**
発行 2023年3月
判型:A5判 266頁
ISBN 978-4-7653-1943-0
【編 著】
篠浦 丞(国際医療福祉大学 医療マネジメント学科 教授)
西垂水 和隆(今村総合病院救急・総合内科臨床研修部長)
それって本当に非典型例ですか? 一見複雑怪奇な非典型例でも、病歴と身体所見を注意深く見極めれば、クリアカットな典型例として捉えることができる!
消化器症状の愁訴に対して、病歴と身体所見を手掛かりに鑑別診断するための知識と手法を、症例を挙げながらまとめました。症例は「典型例」「非典型例」の両方を含め、「非典型例に焦点を当てて典型例を捉え直す」というアプローチにより、病歴と身体所見で勝負するための真の力「底力」を高められるような内容になっています。本書は全5章からなり、各章の構成は以下の通りです。
Ⅰ章:なぜ「非典型例」を取り上げるのか? なぜ「病歴」と「身体所見」が重要なのか? 正診に到達するための「重要情報」とは何か? これらについて行動経済学的知見を活用しながら詳述します。
Ⅱ章:消化器診療の基本となる腹部身体診察について学びます。
Ⅲ章:重要情報が十分そろい、これの活用で正診に到達できる「典型例」を題材として、病歴聴取・情報収集の具体的な方法について学びます。
Ⅳ章:重要情報が不十分であるため、または十分であっても活用できていないために正診に至りにくい「一見非典型例」を、患者の訴え・プレゼンテーション・受診の時間帯やタイミングといった要素に分解したうえで検討し、正診のための注意点について学びます。
Ⅴ章:注意すべき個々の消化器疾患について、それまでの学びを確実なものとすべく臨床経過・病歴・身体所見の観点から解説します。
【目 次】
Ⅰ 本書の目的:病歴と身体所見の重要性
1 なぜ「非典型例」で、なぜ「病歴聴取と身体所見」なのか
1 なぜ「非典型例」なのか:典型例と非典型例 本書における定義と考え方
2 なぜ「病歴聴取と身体所見」なのか
3 本書の目的
2 非典型例とは何か
1 「非典型例」を細分類する
2 行動経済学でとらえよう
3 非典型症例の行動経済学的解釈
4 本書の目的―まとめ
Ⅱ 身体診察の基本
1 腹痛診察の流れ
2 腹部診察の実際
Ⅲ 病歴と情報収集の基本
1 病歴(OPQRST)
1 発症様式(O:onset)
2 増悪緩解因子(P:provocative/palliative)
3 [疼痛の]質(Q:quality)
4 随伴症状、関連・放散、部位(R:related symptoms,refer/radiation,region)
5 症状の強度(S:severity)
6 症状の順序・経過(T:time course)
2 身体所見 なぜ「このバイタルサインなのか」常に考えよう
1 この人は、なぜ血圧が高いのか?
2 この人は、なぜ血圧が低いのか?
3 この人は、なぜ脈拍が速いのか、遅いのか?
4 この人は、なぜ呼吸が速いのか?
3 情報統合 他科(皮膚科・眼科・膠原病科など)的所見・疾患と消化器疾患の関係に注意しよう
1 消化器疾患と皮膚・眼科所見
2 消化器疾患と膠原病
Ⅳ 非典型例の病歴と身体所見:どこが「典型例」と異なるのか?
1 診察前段階:患者の訴えだけで決めつけない!患者に合う前から色眼鏡をかけない
1 腹痛・腹満
2 下痢
3 吐血
4 倒れた
2 病歴
1 プレゼンテーションが変 属性から想起できない(年齢・性別・左右差)
2 第一印象が変 なぜfatal diseaseなのにケロッとしているのか?
3 愁訴が変 よくある訴えなのに要領を得ない
4 受診の時間帯やタイミングが変 受診までの時間を考慮するケース
3 身体所見
1 炎症性疾患
2 内分泌疾患
3 心・血管疾患
4 胸膜炎・肺炎
Ⅴ 疾患別にみる非典型例
1 消化管
1 胃癌
2 血管性浮腫による腸管病変
3 腸炎・憩室炎
4 腸閉塞
5 急性虫垂炎
2 肝胆膵
1 急性肝炎
2 急性胆嚢炎
3 急性膵炎
3 消化器系以外の原因
1 脊椎・脊髄疾患
2 婦人科疾患
3 腹壁疾患
4 泌尿器疾患
5 家族性地中海熱