医師の燃え尽き症候群**金芳堂/牧石 徹也/978-4-7653-1955-3/9784765319553**
発行 2023年4月
判型:A5判 184頁
ISBN 978-4-7653-1955-3
【編 著】
牧石 徹也(島根大学 医学部総合医療学講座)
栗山 明(京都大学大学院 医学研究科 初期診療・救急医学分野)
鋪野 紀好(千葉大学医学部附属病院 総合診療科 / 千葉大学大学院 医学研究院 地域医療教育学)
研修医・指導医にとって、医療現場のバーンアウトに対する理解が深まり、バーンアウトへの向き合い方がわかる。
以前より医療現場の働き方改革についても、活発に議論が行われています。本書は「医師のバーンアウト」問題を広く社会に認知させ、バーンアウトを防ぎ、バーンアウトから立ち直るきっかけとなるよう、米国内科学会(American College of Physicians:ACP)日本支部「Physicians’Well-Being Committee(PWC)」の活動をもとに企画されました。
第1章「医師のバーンアウト」、第2章「バーンアウトのリスク」、第3章「バーンアウトに陥らないために」の3つの章を軸に、医師のバーンアウトについて、その症状はどのようなものか、医師のバーンアウトの実態はどうか、リスク要因には何があるのか、バーンアウトに陥らないためにできることは何か、を丁寧にまとめています。
また、どこから読んでも理解いただけるように、各章ともに項目をできるだけ細分化して解説しています。若手医師はもちろん、指導医レベルの医師、そして職場のバーンアウトを防ごうと思っている方のための内容となっています。
【目 次】
序章 Be a well-being champion
ケース提示
第1章 医師のバーンアウト
1 バーンアウトとは何か?
1)バーンアウトの定義
バーンアウトの歴史と概念
バーンアウトの分類
我が国におけるバーンアウトのとらえ方
バーンアウトの科学と現実
2)バーンアウトの症状
バーンアウトと医師の健康
COVID-19パンデミックとバーンアウト
バーンアウトの尺度
2 データで見る医師のバーンアウトの実態
1)バーンアウトの疫学
医師はどれくらいバーンアウトしているのか?
医師の2人に1人がバーンアウト!?
2)国内外の状況
研究のトピックの変遷
社会的孤立とワークライフインテグレーション
我が国におけるバーンアウトの研究成果
3 医師のバーンアウトがもたらすもの
1)医師自身の人生に関わること
Well-beingやQOLの低下
生き方(キャリア形成)への影響
2)患者安全に関わること
バーンアウトから患者安全を考える
患者安全からバーンアウトを考える
3)組織に関わること
医師の離職と生産性の低下
コスト面から見たバーンアウト
第2章 バーンアウトのリスク
医師にとってのwell-beingの決定要因
1)医師のwell-beingの決定要因
Well-beingとは
Well-beingの決定要因
PERMA理論とは
医師にとってのwell-beingの決定要因
最後に
2)職場環境とバーンアウト
職場環境とバーンアウト
ジョブ・デマンド(仕事の要求)
ジョブ・リソース(仕事の資源)
バランスが重要
3)研修医とバーンアウト
理想の医師像とのギャップ
研修医におけるバーンアウトの蔓延
職場環境と研修医のバーンアウト
職場がとり得る対策
4)Difficult patient encounterとバーンアウト
Difficult patient encounterがもたらす問題 ?医師のバーンアウト?
Difficult Patientの要因分析と対応方法
Difficult patient encounterへの対応スキルを獲得するために
5)職場におけるハラスメント
ハラスメントの定義と法制
ハラスメントの実態とバーンアウト
ハラスメントの対策とグレーゾーン
ハラスメント防止のための取り組み?心理的安全性のある職場の文化を育てる
6)医師であること
医師という職業に伴う先入観=期待される倫理観
「医師なのに」というディスコース
「医師だから」というディスコース
医師という仕事自体のストレス
7)日常のルーティン
ルーティンとは
業務の中でのルーティン
プライベートでのルーティン
8)うつ病や不安障害
うつ病
不安障害
9)女性医師とバーンアウト
女性医師のバーンアウト
マイノリティである我が国の女性医師
「家庭と仕事の両立」は女性の課題になりがちである
10)コロナ禍の医師のバーンアウト
はじめに
コロナ禍での医師のバーンアウト要因
時期・集団・個人によりリスク要因は変化する
コロナ禍の影響はすぐに現われるとは限らない ?PTSSとPTSD
今後の見通し
第3章 バーンアウトに陥らないために
1 職場に求められること
1)ワークエンゲージメントの重要性
はじめに
ワークエンゲージメントとは何か? ?バーンアウトとの関連?
ワークエンゲージメントを高める要因
仕事の資源と個人の資源
エンゲージメントを高めるために ?チームの重要性?
おわりに
2)医師の働き方改革
はじめに
我が国における医師の労働時間制限
労働時間制限はバーンアウトを減らすのか?
労働圧縮という新たな問題
おわりに:医師の働き方改革はどこへ向かうのか?
2 自らを守る ~ストレスマネジメントとは~
1)ストレスにどう対処するか?
生理学的ストレス反応
ストレスに向かい合う意義
ストレスにどう対処するか?
おわりに
2)レジリエンスとSense of Coherence(SOC)
レジリエンスとは
Sense of Coherence(SOC)とは?
レジリエンスとSOCとバーンアウト
3)セルフケアの方法
セルフケアとは?
セルフケア……、その前に
様々なセルフケア
セルフケアを行うにあたり、気をつけるべきこと
3 コーチングとバーンアウト
1)なぜバーンアウトにコーチングが必要か?
はじめに ワークエンゲージメントとバーンアウト
バーンアウトに対するコーチング
コーチングはレジリエンスを高める可能性
コーチングはモチベーションを高める可能性
コーチングは基本的な心理療法としての側面を有する
おわりに
2)コーチングの実際
コーチングとは
Level 1 3分間のコーチング
Level 2 基本的なコーチング
事例
おわりに
3)価値観にふれる(目標設定のヒント)
はじめに
価値から目標設定へ
事例
おわりに
4)セルフ・コーチング
はじめに
人生の価値観とミッション
セルフ・コーチング
強み
時間管理
おわりに
5)コーチングQ&A
Q1 コーチングとカウンセリングは、どう違いますか?
Q2 コーチングは無理やりに相手の考えを引き出すイメージですが、どうでしょうか?
Q3 コーチングは型にはまった質問をするので、ぎくしゃくするような感じがします.
Q4 コーチングを行ってはいけない人はいますか?
Q5 コーチングをやっていて、しんどくないですか?
Q6 患者満足度は上がりますか?
Q7 ナラティブ・アプローチとの関連は?
Q8 動機づけ面接を学んでいますが、コーチングを行っても問題ないでしょうか?
Q9 コーチングと治療的自己の関係は?
Q10 コーチング・セミナーやワークショップはありませんか?
Q11 コーチングではもの足りなくなってきました.次に学んだら良い心理療法を教えてください.
Q12 コーチングのエビデンスはありますか?
4 援助希求力
1)援助希求
援助希求とは
医師における自殺リスクと援助希求行動
援助希求を阻害する因子
最後に
終章 バーンアウトかも、と思ったら
あなたへの手紙
COLUMN
1 医療職の職種別バーンアウトの実態
2 ボアアウト(boreout)
3 自分や同僚が診断エラーに遭遇した時
4 上司とソリが合わない~ボス・マネジメントとは
5 効率的なメールの書き方