脊椎・脊髄疾患の外科 第2版**三輪書店/飛彈 一利/978-4-89590-785-9/9784895907859**
発行 2023年8月
判型:B5判 456頁
ISBN 978-4-89590-785-9
【編 集】
飛騨 一利(札幌麻生脳神経外科病院 院長)
小柳 泉(北海道脳神経外科記念病院 院長)
脳神経外科医だからこそできる考え方と奥深い技能を開陳!
脊椎・脊髄疾患(末梢神経疾患も含む)の手術に関し,ほぼすべてを網羅し,「これさえ読めば」といえる簡明な書籍とした.そのため,各疾患の説明を簡潔にし,エビデンスに基づく記載を心掛けた.曖昧な形容詞を避け,できるだけ具体的な数値で記載し,引用文献を掲載した.脊椎・脊髄の最も興味深い知見を提供できるよう,図(写真,イラスト),表なども多用した.さらに,整形外科医,リハビリテーション科の医師およびセラピストにも読んでいただけるよう,脳神経外科医だからこそできる考え方・工夫なども盛り込み,基本事項から高度な内容までを記載した実践書とした
.第2版では,「脊髄障害性疼痛・痙縮」,「脊椎・脊髄疾患のリハビリテーション」を章として,「脊柱の矢状面バランスと冠状面バランス」,「椎間関節?胞・黄色靱帯血腫」,「透析性脊椎症」,「腰痛に対する非観血的治療」,「骨粗鬆症性椎体骨折」を節として追加した.また,「孤立性線維性腫瘍」,「孤立性形質細胞腫」,「線維性骨異形成症」,「白血病」,「脳表ヘモジデリン沈着症」,「線維軟骨による脊髄梗塞」,「骨損傷のない脊髄損傷」,「小児脊椎脊髄損傷」,「椎骨動脈損傷」,「先天性骨疾患」,「脊髄硬膜内膿瘍」,「肥厚性脊髄硬膜炎」,「低髄液圧症候群」などを項目として追加した.さらに,「頭蓋頚椎移行部病変」,「脊髄非腫瘍性病変」を章として,「頚椎手術手技」,「胸腰椎固定手術手技」を節として独立させた.これらを含めた全面改訂により,初版から90頁弱の増加となり,詳細な解説がなされている.
執筆者は初版と同様,コンセプトに一貫性をもたせるため,北海道大学出身者を中心とした.多大学の執筆者による書籍,単著による書籍とは差別化できる内容となっている.
【目 次】
第1章 脊椎・脊髄の発生と解剖
頭化と直立
情報の流れ
ニューロンとグリア
脊髄の肉眼解剖
脊椎・脊髄血管の肉眼解剖
白質と灰白質
伝導路
脊髄と脊椎の形成過程
第2章 脊椎・脊髄の神経学的診断
1.神経学的診察法
脊髄病変の症候と診断手技
高位診断
横断診断
2.特徴的な症候群
3.各種検査
電気生理学的検査
髄液検査
第3章 脊椎・脊髄の画像診断
単純X線撮影
CT
MRI
脊髄腔造影
脊髄血管造影
第4章 頚椎変性疾患
1.頚椎椎間板ヘルニア
病態
臨床所見
画像所見
治療
2.頚部脊椎症(頚椎症)
病因
歴史的背景
加齢と頚椎変性
臨床所見
画像所見
治療
3.頚椎後縦靱帯骨化症
病態
臨床所見
画像所見
治療
関連疾患・類似疾患
4.頚椎黄色靱帯石灰化症
病態
疫学
診断
治療
5.Flexion myelopathy
疾患の特徴および必須知識
特徴的な症候
病因・病態
電気生理学的検査所見
画像所見
鑑別診断
治療
6.頚椎手術手技
前方除圧固定術
頚椎後方手術
第5章 胸腰椎変性疾患
1.胸椎椎間板ヘルニア
2.胸椎黄色靱帯骨化症
3.胸椎後縦靱帯骨化症
4.腰椎椎間板ヘルニア
5.腰部脊柱管狭窄症
6.腰椎すべり症・分離症
腰椎変性すべり症
腰椎分離症・分離すべり症
7.胸腰椎固定手術手技
胸椎後方固定手技
腰椎後方固定手技
腰椎前方固定手技
固定手技の支援装置
8.脊柱の矢状面バランスと冠状面バランス(sagittal balance, coronal balance)
全脊柱単純X線撮影
矢状面バランスに関する測定
冠状面バランスに関する測定
9.椎間関節?胞・黄色靱帯血腫
疾患の特徴および必須知識
治療
10.透析性脊椎症
病態
症状
放射線学的所見
治療
11.腰痛に対する非観血的治療
腰痛の診断
腰痛の治療(非観血的治療)
第6章 脊椎・脊髄の腫瘍性疾患
1.髄内腫瘍
髄内腫瘍の組織型と頻度
上衣系腫瘍
星細胞系および乏突起膠細胞系腫瘍
脊髄血管芽腫
脊髄海綿状血管腫
その他の髄内腫瘍
2.脊髄硬膜内髄外腫瘍
神経鞘腫,神経線維腫
malignant peripheral nerve sheath tumor(MPNST)
髄膜腫
類皮腫・類上皮腫
孤立性線維性腫瘍
血管周皮腫
3.脊髄硬膜外腫瘍
転移性腫瘍
脊索腫
多発性骨髄腫
孤立性形質細胞腫
血管腫
巨細胞腫
好酸球性肉芽腫
動脈瘤様骨?腫(ABC)
骨軟骨腫
悪性リンパ腫
線維性骨異形成症
白血病(緑色腫,顆粒球肉腫,骨髄肉腫)
第7章 脊髄血管障害
1.脊髄血管の解剖
脊髄への動脈供給
脊椎管外の動脈系
脊椎管内の動脈系
脊髄からの静脈環流
2.脊髄動静脈奇形
分類および症候
画像検査
治療前後の評価(Aminoff-Logue scale)
治療
3.その他の脊髄出血性疾患
髄内出血
脊髄硬膜外血腫
脊髄硬膜下血腫
脊髄くも膜下出血
脳表ヘモジデリン沈着症
4.脊髄虚血性疾患
脊髄梗塞
線維軟骨による脊髄梗塞
静脈性脊髄梗塞
bow-hunter?s stroke
第8章 脊椎・脊髄の外傷性疾患
1.脊椎・脊髄損傷
疫学
脊髄損傷の病理組織像
神経症状による脊髄損傷の分類
脊髄損傷の診察
脊髄損傷に伴う全身所見
放射線学的検査
頭蓋牽引
全身管理
損傷脊髄に対する治療
上位頚椎損傷
中下位頚椎損傷
骨損傷のない脊髄損傷
小児脊椎脊髄損傷
椎骨動脈損傷
2.外傷性脊髄空洞症
疫学
病態
症状
診断
手術
3.骨粗鬆症性椎体骨折
骨粗鬆症の診断
骨粗鬆症性椎体骨折の画像診断
治療
鑑別診断
第9章 頭蓋頚椎移行部病変
1.頭蓋頚椎移行部の解剖と発生
関節構造
靱帯・膜構造
頭蓋頚椎移行部の可動域
頭蓋頚椎移行部の発生
2.先天性環軸椎亜脱臼
歯突起骨
終末小骨
前環椎の分節異常
Down症候群と環軸椎亜脱臼
3.頭蓋底陥入症
4.Klippel-Feil症候群
5.関節リウマチに伴う環軸椎亜脱臼
6.リウマチ性多発筋痛症と線維筋痛症
7.石灰沈着性頚長筋腱炎
8.頭蓋頚椎移行部の手術手技
後方到達法
後頭頚椎後方固定
前方到達法
側方到達法・後側方到達法
9.Chiari 1型奇形・脊髄空洞症
歴史と定義
成因
症候
画像診断
手術
手術の実際
第10章 脊椎・脊髄の先天性疾患
1.二分脊椎
開放性二分脊椎
潜在性二分脊椎
2.先天性骨疾患
軟骨無形成症
骨形成不全症
変容性骨異形成症
骨Paget病
第11章 脊椎・脊髄の炎症・?胞性疾患
1.脊椎感染性疾患
脊椎炎(椎体炎,椎間板炎)
脊髄硬膜外膿瘍
2.脊髄硬膜内膿瘍
脊髄硬膜下膿瘍
髄内膿瘍
3.肥厚性脊髄硬膜炎
疾患の特徴および必須知識
診断
治療・予後
4.脊髄癒着性くも膜炎
5.脊髄?胞性疾患
髄膜?胞
神経腸管?胞
6.脊髄ヘルニア
疾患の特徴および必須知識
確定診断法と画像上の特徴
治療
7.低髄液圧症候群
原因と症候
診断
治療
第12章 絞扼性末梢神経障害
1.末梢神経障害を理解するために
末梢神経障害を知っておくことの意義
日常生活で起こる末梢神経障害
脊椎・脊髄外科の臨床的な観点から重要な神経解剖の知識
感覚領域―神経根障害と末梢神経障害の相似点と相違点
主な神経の走行・機能と神経障害の好発部位
2.絞扼性末梢神経障害とは
3.手根管症候群
疾患概念
解剖
保存療法
手術
4.肘部管症候群
疾患概念
解剖
保存療法
手術
5.胸郭出口症候群
疾患概念および解剖
保存療法
手術
6.足根管症候群
疾患概念
解剖
症状・診断
保存療法
手術
第13章 脊髄非腫瘍性病変
1.サルコイドーシス
神経病変
画像
治療
2.Sjogren症候群
神経病変
神経放射線学的所見
治療
3.ヒトTリンパ球向性ウイルス脊髄症(HAM)/熱帯性痙性不全対麻痺症(TSP)
神経病変
画像
治療
4.傍腫瘍性脊髄炎
神経病変
神経放射線学的所見
治療
5.アトピー性脊髄炎
神経病変
画像
治療
6.多発性硬化症(MS)
神経病変
画像
治療
7.視神経脊髄炎(NMO)
神経病変
画像
治療
8.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
神経病変
画像
治療
第14章 脊髄障害性疼痛・痙縮
1.脊髄障害性疼痛
痛みの発生機序
薬物療法
手術
2.脊髄性痙縮の手術
選択的脊髄後根遮断術(SDR)
選択的末梢神経縮小術(SPN)
整形外科的手術
バクロフェン髄腔内投与療法(ITB療法)
第15章 脊椎・脊髄疾患のリハビリテーション
1.リハビリテーションの基本的な考え方
リハビリテーションの基本理念
障害の構造
障害とそのリハビリテーション
2.脊椎・脊髄疾患のリハビリテーションと評価
3.バクロフェン髄腔内投与療法(ITB療法)
4.神経ブロック
適応例の選択
手技
実施の注意点