ケースで学ぶ抗菌薬選択の考え方**医学書院/矢野 寿一/978-4-260-05238-2/9784260052382**
発行 2023年9月
判型:B5判 328頁
ISBN 978-4-260-05238-2
監修:矢野 寿一 / 笠原 敬
著:小川 吉彦
悩める感染症医の思考過程から、適切な抗菌薬選択の考え方を学ぼう!
抗菌薬適正使用に必要な、抗菌と耐性のメカニズムの本格的な解説が魅力。症例編では、なかなか効果が発揮されない抗菌薬治療を見直し、菌の同定、耐性の状況などを探っていく過程から、適切な処方選択・変更の考え方を学ぶことができます。
【目 次】
第1章 細菌の薬剤耐性の機序
1-1 細菌と抗菌薬の関係
1-2 グラム染色と薬剤感受性の関連性
1-3 嫌気性菌と好気性菌
1-4 腸内細菌科細菌から腸内細菌目細菌へ
1-5 殺菌性と静菌性
1-6 薬剤感受性試験結果とS/I/Rに関して──ブレイクポイント
1-7 抗菌薬の基質特異性
1-8 抗菌薬の安定性
1-9 細胞壁の構造:ペプチドグリカン
1-10 抗菌薬の使用により耐性化するのか?
1-11 耐性を理解するための遺伝子の話
第2章 抗菌薬の作用機序とその耐性
2-1 introduction
2-2 β-ラクタム系抗菌薬とその耐性
2-3 β-ラクタマーゼ
2-4 β-ラクタマーゼ阻害薬
2-5 グリコペプチド系抗菌薬とその耐性
2-6 細胞膜をターゲットとする薬剤群
2-7 タンパク合成阻害
2-8 DNA/DNA複製阻害
第3章 症例で学ぶ検査室からの感染症診療
1. グラム染色の読み方と細菌検査
intro-1 菌の同定だけではないグラム染色の応用
intro-2 シャルコー・ライデン結晶
肺炎はないが,呼吸困難からのCPA症例
intro-3 ヘマトイジン結晶
髄膜炎の経過で軽快中の髄液で認められた黄金(こがね)色の結晶
2. グラム陽性菌
GPB グラム陽性菌の見方
GPC-1 褥瘡感染とG群溶血性連鎖球菌
連鎖球菌1:Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis
GPC-2 溶血は弱いものの完全溶血が疑われる菌
連鎖球菌2:Streptococcus agalactiae
GPC-3 蜂窩織炎からの悪寒
連鎖球菌3:Streptococcus pyogenes
GPC-4 感染性心内膜炎の原因となりうるGNRと原因として有名なGPCの混合感染症例
連鎖球菌4:Streptococcus anginosus
GPC-5 横隔膜下の感染が予想される連鎖球菌の場合
連鎖球菌5:Enterococcus faecalis
GPC-6 『Tokyo Guidelines2018』と黄色変化
連鎖球菌6:Enterococcus casseliflavus
GPC-7 楕円≒E. faecalisで正円≒E. faeciumなのか?
連鎖球菌7:E. faecium
GPC-8 重症の大葉性肺炎を見たら
連鎖球菌8:Streptococcus pneumoniae1
GPC-9 ワクチンでの重症化予防が必要な疾患
連鎖球菌9:Streptococcus pneumoniae2
GPC-10 あえてCRPに言及する
連鎖球菌10:Streptococcus pneumoniae3
GPC-11 血液寒天培地では発育せず,チョコレート寒天培地で発育した菌
連鎖球菌11:Granulicatella adiacens
GPC-12 微細なGram positive or Gram variableな菌
連鎖球菌12:Gemella morbillorum
GPC-13 コアグラーゼ陽性で背景への染み出しを認めるブドウ球菌
ブドウ球菌1:Staphylococcus aureus1
GPC-14 MSSAかMRSAか?
ブドウ球菌2:Staphylococcus aureus2
GPC-15 カテーテル感染が疑われ,田んぼの田の字がほとんどの場合
ブドウ球菌3:Staphylococcus epidermidis
GPC-16 コアグラーゼ陽性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌
ブドウ球菌4:Staphylococcus lugdunensis
GPC-17 若年女性の尿から検出されるブドウ球菌
ブドウ球菌5:Staphylococcus saprophyticus
GPR-1 アミノ酸製剤投与中のGPRによる菌血症といえば…
Bacillus cereus
GPR-2 Coryne formのグラム陽性桿菌による肺炎
Corynebacterium pseudodiphteriticum
GPR-3 下痢→グラム小型陽性桿菌による菌血症の場合
Listeria monocytogenes
3. グラム陰性菌
intro グラム陰性菌の見方
GNC-1 気管支炎・副鼻腔炎でグラム陰性双球菌が認められた場合
グラム陰性双球菌:Moraxella catarrhalis
GNSR-1 気管支炎・副鼻腔炎でグラム陰性短桿菌が認められた場合
グラム陰性短桿菌1:Haemophilus influenzae
GNSR-2 感染性心内膜炎の起因菌としてのグラム陰性短桿菌
グラム陰性短桿菌2:Aggregatibacter aphrophilus
GNSR-3 HACEK group再び
グラム陰性短桿菌3:Eikenella corrodens
Entero-1 尿路感染症といえば…
グラム陰性腸内細菌1:Escherichia coli
Entero-2 粘稠度の高い糸を引くコロニーが形成された場合
グラム陰性腸内細菌2:Klebsiella pneumoniae
Entero-3 pHが高い尿の場合には塗抹を弱拡大から観察
グラム陰性腸内細菌3:Proteus mirabilis
Entero-4 AmpC のhyper-producer
グラム陰性腸内細菌4:Enterobacter cloacae
Entero-5 脳外科手術後のSSIで腸内細菌GNRが認められた場合
グラム陰性腸内細菌5:Serratia marcescens
Hemo-GNR-1 GNRによる胆管炎で溶血性が確認された場合①
溶血性グラム陰性桿菌1:Aeromonas hydrophila
Hemo-GNR-2 GNRによる胆管炎で溶血性が確認された場合②
溶血性グラム陰性桿菌2:Edwardsiella tarda
GNF-1 ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌
overview
GNF-2 入院患者の尿路感染症
ブドウ糖非発酵GNR1:Pseudomonas aeruginosa1
GNF-3 尿の亜硝酸還元反応を考える
ブドウ糖非発酵GNR2:Pseudomonas aeruginosa2
GNF-4 質量分析で同定された特徴的なコロニー性状の菌
ブドウ糖非発酵GNR3:Pseudomonas oryzihabitans
GNF-5 カルバペネム自然耐性のグラム陰性菌
ブドウ糖非発酵GNR4:Stenotrophomonas maltophilia
GNF-6 カルバペネム系抗菌薬が第一選択となりうるGNR
ブドウ糖非発酵GNR5:Acinetobacter baumannii complex
GNF-7 カルバペネム系抗菌薬やST合剤が第一選択となる感染症
ブドウ糖非発酵GNR6:Achromobacter xylosoxidans
4. 嫌気性菌
AB-1 Bacteroides fragilisか否か,それが問題だ
Bacteroides thetaiotaomicron
AB-2 グラム陰性のClostridium属
Clostridium clostridioforme
5. グラム不定性菌
GVB-1 オレンジ色の喀痰の重症肺炎
Legionella属
GVB-2 グラム染色で透明の紐状のものが目立つとき
結核菌
6. 真菌
FUN-1 β-d-グルカンが4桁を超える症例
Candida属1
FUN-2 カテーテル関連血流感染症としての真菌感染症
Candida属2
FUN-3 人工呼吸器管理下の真菌性呼吸器感染症
Aspergillus fumigatus
FUN-4 アスペルギルスの次に臨床上問題となる糸状菌
Mucor属
FUN-5 真菌性髄膜炎といえば…
Cryptococcus属