「この書があなたの臨床を変える」著者の臨床経験から，『黄帝内経』（『素問』・『霊枢』）の治療体系が臓腑経絡学説を根拠とする「経絡系統」と三才思想による「天・地・人」という二つの柱により構成されていることを発見，実践的な治療システムを構築している．本書では，「経絡系統」の陰に隠れ，忘れ去られてきた「天・地・人」について掘り下げ，これが諸家の流儀，自然・社会諸科学の根源にあたるとの観点から，わかりやすく説得力のある解説を展開している．まさに，これまでの特効穴や治療法の見方を変えてしまう画期的な書．●「人体全体を「横方向」で捉える新しい発想に基づいた治療システム」であるが，症例，図解を交えたわかりやすい解説で，運用が簡単なうえ，ただちに既存の療法に導入できるため，鍼灸治療の幅が広がり，治療効果が飛躍的に上がること請け合いである．経験豊富な臨床家だけでなく，初心者にもぜひ読んでほしい．既刊の好評図書『変動経絡検索法（VAMFIT）』の姉妹編．

【「天・地・人 治療」への導入】 はじめに 「天・地・人」治療と「経絡系統」治療 「天・地・人 治療」の簡単体験【「天・地・人 治療」の基礎概念“陰陽の気”】 人体は袋状の“気”の器 東洋の古典医学の基本は“陰陽の気”の調整 身体全体の大分割 身体の陰陽 鍼灸治療の主役は陰陽の気の調整であり，五行，臓腑は脇役である 陰陽による人体の分割 前後の陰陽 左右の陰陽のバランス なぜ，陽経である胃経が陰である腹部を循行しているのか? 『黄帝内経』の理論体系は「三陰三陽」と「天・地・人」 表裏の陰陽は鍼灸医学のよりどころ 上下の陰陽のバランス 流体である“気”の器としての人体 欧米のもう1つの医学が注目する“流体としての人体” 「天・地・人」三才思想と「経絡系統」 人体の縦と横における気の調整が全体治療 万能ツールとしての横システム「天・地・人」 「天・地・人」における2つのシステム【「天・地・人―奇経治療」】 奇経療法とは八脈交会八穴（八宗穴）による手足一対療法のことなのか? 「経絡系統」と「天・地・人」双方に関わりをもつ奇経と大絡 奇経治療の2つの側面 東洋医学の二重性と量子論 奇経八脈の本質と存在意義 きょう脈系は大絡としての腎経・膀胱経の別脈 陽きょう脈と陰きょう脈の運用適応 陰維脈はすべての陰経脈，陽維脈はすべての陽経脈を横に維絡している きょう脈系と維脈系の運用の実際 身体左右の分割線=任脈，督脈は縦系統だけでなく横系統として機能する 華佗夾脊穴にみる横系統の機能としての督脈 ヨーガ療法におけるチャクラと任・督脈 三焦と膀胱経と督脈 すべての「経絡系統」は宗筋・気街・帯脈・督脈に関係する 帯脈は縦に身体の側面をまわり1周する 八面体としての人体 衝脈は縦に身体の前面から後面までを1周する 「気街システム」としての衝脈の治療 「天・地・人―奇経治療」のまとめ 症例【「天・地・人―気街治療」】 「気街」とは「天・地・人」における袋状のブロック，およびその連結部をいう 四関，八虚，八谿，大谷十二分は「気街」 「天・地・人―八虚治療」 四支八谿を包含した「天・地・人―八虚治療」 「節」とは「気街」（天・地・人の連結部）のことである 「節」において気血が滞る 人体の「天・地・人」と「上部・中部・下部」 「天・地・人」と三焦 ヨーガの身体区分と三焦と「天・地・人」 「経絡系統」と「天・地・人」双方にかかわりをもつ五臓六腑 頸部は重要な「気街」である（頭部には全経絡が流注している） 気街としての「缺盆」=「上部（天）」と「中部（人）」の連絡路 「天・地・人 治療」としての『霊枢』衛気篇の「四街治療」 「天・地・人―四海治療」 四肢を含んだ「気街治療システム」 体幹部（中部）の治療は三焦の治穴 「天・地・人―気街治療」の基本原則 「天・地・人―気街治療」のコツは動脈拍動を手で感じること 「気街治療」としての「缺盆」（鎖骨上窩），「気街」（鼠径部）の施術方法 「天・地・人―気街治療」における広義の「缺盆」，「気街」 柳谷『（実験実証）秘方一本鍼伝書』の処方にみる「天・地・人 治療」 天・地・人―標幽賦治療 四総穴の天・地・人との対応 症例 身体各部位における「天・地・人」の対応を利用する 変動経絡と「天・地・人」の交点の古典文献における運用例 刺鍼の深浅の天・地・人 「気」の感得訓練法 天・地・人―小宇宙治療(1)―その概念と理論 現代に蘇る東洋思想 小宇宙としての人間 「ミーム」は“気”で構成される 五臓六腑に宿る“神“という“気” 身体と空間は不可分なもの 小宇宙の類似と“気” 粘菌にみる個体（小宇宙）と全体（大宇宙） 個体（小宇宙）は共同体 小宇宙とホログラフィー 小宇宙とフラクタル 黄金比で構成される宇宙 人体の宇宙性 生命記憶と宇宙 トポロジーと治療 東洋思想が到達していた境地【天・地・人―小宇宙治療(2)―その運用と応用】 東洋医学にみる小宇宙 小宇宙による治療システム 小宇宙治療のコツは強烈なイメージ 「天・地・人―小宇宙 治療」の例