軽度外傷性脳損傷**金原出版/石橋徹/9784307505352**

販売価格
4,180円(税込み)
SCOM035
編著
石橋徹
出版社
金原出版
分野
 
脳神経外科学

数量

販売期間
2009/03/01~
商品コード
9784307505352
発行 2009年3月
ISBN 978-4-307-50535-2
鞭打ち損傷が軽微な外傷であると考えるのは誤りである。なぜならば、俗に言う鞭打ち損傷のなかに、多くの脳損傷が含まれているからである。ところが、本邦においては、過去40年近くこの脳損傷が注目されることがなかった。注目されなかった脳損傷の名前は、軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)である。この脳疾患は、外傷性脳損傷のうちでも、中等度外傷性脳損傷moderate traumatic brain injury(moderate TBI)や重度外傷性脳損傷severe traumatic brain injury(severe TBI)と比較すると軽症とされるが、受傷直後の意識喪失LOC、外傷後健忘PTA、グラスゴー昏睡尺度GCS等の評価から軽度と呼ばれているだけであり、実際の臨床経過は必ずしも軽度ではなく、中等度、重度と呼ばれるに値する例がみられる。そして、軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)は外傷性脳損傷の70%から90%を占める頻度の高い脳疾患であり、その10%から20%、報告によっては30%が慢性化する疾患である。軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)は、現在、交通事故以外でも労災事故、スポーツ外傷、転倒、転落事故、暴行、家庭内暴力、乳児揺さぶり虐待で多発しており、国によっても異なるが人口10万人あたり100人から550人の患者が発生しており、全世界では年間1、000万人を超す患者が出ているといわれている。アメリカでは1996年に外傷性脳損傷法が施行され、2000年、2008年にその修正案が可決されて増え続ける外傷性脳損傷に対する対策がとられている。文明のグローバル化を考えると、本邦にも軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)は諸外国と同様に存在しているはずであるが、今日まで軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)が本邦の学会の話題に上ったのを聞いたことがない。5年ほど前から、整形外科医の筆者のまわりに85名の軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)の被災者が集まって来られた。皆さんのお話を聞くと、本邦では軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)という脳疾患は医療の世界でほとんど関心を払われてこなかったことがわかり、このたび自らの経験を公表することにしたものである

はじめに 1. Mild TBIの歴史 2. Mild TBIの定義 3. Mild TBIの臨床経過 4. Mild TBIの頻度 5. TBI法2 WAEはどのようにして起こるか 1. 衝力・反衝力によるTBI 2. 求心性連鎖説 3. 剪断力説 4. Mild TBIにおける脳損傷の発生と経過3 WAEの臨床症状 1. 大脳皮質の機能解剖とその障害 2. 大脳白質・脳梁・脳幹部の機能解剖とその障害 3. 高次脳機能障害について a. 意識障害と痙攣 b. WAEの高次脳機能障害 4. 脳神経関連の障害について 5. 運動障害について 6. 知覚障害について 7. 小脳症状について 8. 神経因性膀胱について 9. WAEを取り巻く諸問題 a. WAEの慢性化 b. WAEの重症度の判定 c. WAEの身体障害者等級 d. WAEの重複事故 e. WAEの治療 f. WAEに対する誤解4 WAEを取り巻く世界の現況 1. Evansの提言 2. Gay & Abbott論文 3. A/D forcesと軸索損傷 4. Oosterveld学説 5. Mild TBIの臨床症状(海外) 6. 鞭打ち損傷研究 7. ケベックWAD分類5 WAEを取り巻く日本の現況 その1「鞭打ち損傷」を本邦の神経耳科医・脳神経外科医はどのように考えたか1. 坂田・長島医師の提言2. 坂田・長島仮説3. 三浦論文と平林論文4. 坂田・長島仮説のその後6 WAEを取り巻く日本の現況 その2「鞭打ち損傷」を整形外科医はどのように考えてきたか 1. 土屋分類 2. WAEと土屋分類 3. 坂田・長島仮説と土屋分類 4. 日本整形外科学会と土屋分類7 WAEとCSFH 1. CSFH研究 2. WAE発見 3. CSFHの臨床症状 4. WAEとCSFHの鑑別診断 5. WAEとEBP(硬膜外自己血充填法) a. 症例I b. 症例II c. 症例III d. 症例IV e. 症例V f. 症例VI 6. WAEとRIシンチ 7. CSFHの今後8 WAEの画像所見 1. 厚生労働省の考え方 2. WAEの神経イメージング法 3. WAEの画像所見 4. 画像依存の弊害 5. 画像以外のWAE診断法9 WAEと関係する診療科目 1. WAEと整形外科 2. WAEと脳神経外科 3. WAEと神経内科 4. WAEの教育 5. WAEの社会復帰度 6. さまようWAE 7. WAEのこれから10 症例篇 1. 症例1 2. 症例2 3. 症例3 4. 症例411 WAE誕生の経緯