遺伝性腫瘍ハンドブック**金原出版/日本家族性腫瘍学会/9784307203975**
サイズ:B5 / 188p
今まさに全盛期を迎えている“がんゲノム医療”。遺伝性腫瘍の理解は、二次的所見として診断される遺伝性腫瘍も含め、今日のがん診療においては極めて重要である。本書は研修ツールとして好評を得ている教育サイト「遺伝性腫瘍e-Learning」を書籍化。共通編4項目(遺伝性腫瘍概論ほか)、疾患編8疾患(Lynch症候群ほか)を通して、遺伝性腫瘍の基礎から疾患の要点まで、講義形式でビジュアルに解説した。
【目次】
「遺伝性腫瘍e-Learning」との連携 ~より学習を進めるために~
――I 共通編――
第1章 遺伝性腫瘍概論
補足編 遺伝子の基本構造と疾病の分子遺伝学的背景
1 細胞と染色体DNA
2 染色体DNAのさまざまな状態
3 細胞周期と染色体DNA
4 DNAの構造
5 遺伝子の構造
6 遺伝子変異と遺伝子機能の変化
本編 腫瘍発生の分子遺伝学的基礎と遺伝性腫瘍
1 発がんの多段階遺伝子変化説
2 がん遺伝子とがん抑制遺伝子 (1)
3 DNA 変化からみたがんの原因
4 遺伝子変異と遺伝子機能の変化:がん遺伝子
5 遺伝子変異と遺伝子機能の変化:がん抑制遺伝子
6 がん遺伝子とがん抑制遺伝子 (2)
7 ヒト腫瘍にみられるゲノム変化と階層構造
8 遺伝性腫瘍の遺伝学的基礎
9 遺伝子変異の遺伝と疾患の遺伝形式
10 遺伝性腫瘍性疾患の責任遺伝子
第2章 家系情報の聴き取り
1 聴き取りの目的と意義
2 聴き取りのポイント
3 家系図の描き方 a) 一般的な記号/ b) 関係線の定義/c) 遺伝学的評価に関する記号/ d) その他
4 実際の家系図(例)
第3章 遺伝カウンセリング
1 「遺伝カウンセリング」とは
2 遺伝カウンセリングの提供が考えられる場面(腫瘍領域の場合)
3 遺伝カウンセリングの意義
4 遺伝カウンセリングで扱う内容
5 遺伝情報の特徴~遺伝情報を慎重に扱うのは?
6 遺伝性疾患の特殊性
7 遺伝カウンセリング担当者に求められる姿勢
8 遺伝カウンセリングの内容(1) 個人・家族の病歴の収集(家系情報の聴き取り)
9 遺伝カウンセリングの内容(2) リスク評価、遺伝性腫瘍の鑑別
10 遺伝カウンセリングの内容(3) 遺伝学的検査適応の判断
11 遺伝カウンセリングの内容(4) 遺伝学的検査前の説明・同意の取得
12 遺伝カウンセリングの内容(5) 遺伝学的検査の結果の開示
13 遺伝カウンセリングの内容(6) 心理社会的アセスメント、心理社会的支援
第4章 遺伝学的検査
1 遺伝子関連検査の分類と定義
2 遺伝性腫瘍における遺伝学的検査の手順
3 代表的な遺伝性腫瘍とその原因遺伝子・臨床像
4 遺伝学的検査時に提供すべき情報
5 遺伝学的検査を利用する際に注意が必要なこと
6 遺伝性腫瘍が疑われたときに実施する遺伝学的検査
7 遺伝学的検査に用いる物質(DNA RNA タンパク質)
8 遺伝学的検査 (1)サンガーシークエンス法 (2)NGS法
9 次世代シークエンサーを用いたリシークエンス
10 ゲノム情報単位とおもな遺伝子解析技術
11 MLPA法
12 染色体検査(RB1遺伝子[13q14.2]の例)
13 NGSの出力データから報告書まで
14 バリアントの5段階分類
15 遺伝性腫瘍原因遺伝子パネル検査結果報告書
16 バリアント評価時の参照サイト例
17 遺伝学的検査の結果解釈
――II 疾患編――
第5章 遺伝性乳がん卵巣がん症候群
1 乳がん、卵巣がんの発症に関わる遺伝子
2 BRCA1/2
3 BRCA1、BRCA2遺伝子の病的バリアント保有率
4 本邦乳がん患者における遺伝性乳がん関連遺伝子の大規模解析
5 乳がん発症リスク
6 卵巣がん発症リスク
7 BRCA1/2遺伝学的検査基準
8 BRCA1/2病的バリアント保有者の対策
9 サーベイランス―乳房MRIの意義
10 リスク低減手術の生存率への影響
11 PARP阻害薬による合成致死誘導
12 SOLO2/ENGOT-Ov21
13 OlympiAD試験(PhaseIII)
第6章 リンチ症候群
1 遺伝性大腸がん
2 リンチ症候群の歴史
3 リンチ症候群の概要
4 原因遺伝子:DNAミスマッチ修復遺伝子
5 ミスマッチ修復機構の機能不全
6 大腸がん症例からリンチ症候群を診断する流れ
7 大腸がんから拾い上げる基準
8 ミスマッチ修復タンパクの免疫組織化学染色(Immunohistochemistry:IHC)検査
9 ミスマッチ修復遺伝子の種類による関連がんの累積リスク
10 サーベイランス
11 リスク低減手術
12 薬物治療・化学予防
第7章 家族性大腸腺腫症
1 FAPの歴史
2 FAPの特徴
3 FAPの主な随伴病変
4 FAPにおける大腸外随伴病変
5 FAPの診断
6 鑑別を要する疾患・病態
7 FAP診断のフローチャート
8 FAPに対する術式
9 FAPに対する予防的大腸切除の術式選択
10 FAPに対する大腸切除後の残存直腸と主な随伴病変に対するサーベイランス
11 FAPに対する化学予防
第8章 リ・フラウメニ症候群
1 特徴
2 原因遺伝子
3 歴史
4 Liの古典的診断基準
5 診断クライテリアの変遷
6 ChompretのTP53検査基準
7 TP53遺伝学的検査の適応
8 腫瘍スペクトラム
9 浸透率
10 表現型と遺伝型の相関
11 サーベイランス
12 予防と治療
13 遺伝カウンセリング
第9章 遺伝性網膜芽細胞腫
1 疾患の歴史
2 疾患の特徴
3 原因遺伝子
4 遺伝性網膜芽細胞腫
5 治療
6 遺伝学的検査とサーベイランス
7 本人および家族における病的バリアント保有リスク(遺伝学的検査前)
8 サーベイランス(二次がん)
第10章 多発性内分泌腫瘍症1型
1 MEN1の歴史
2 MEN1の関連病変
3 MEN1の原因遺伝子:MEN1
4 MEN1の診断基準
5 MEN1の主要病変に伴う臨床症状
6 MEN1遺伝学的検査の対象
7 MEN1:原発性副甲状腺機能亢進症の治療方針
8 MEN1:膵消化管神経内分泌腫瘍の治療方針
9 MEN1:その他病変の治療方針
10 MEN1のサーベイランス
第11章 多発性内分泌腫瘍症2型V-1
1 MEN2の歴史
2 MEN2(Multiple Endocrine Neoplasia type 2)
3 甲状腺髄様がん
4 甲状腺髄様がんにおける遺伝性と散発性の内訳
5 MEN2に発生する疾病と生涯浸透率
6 MEN2の診断基準
7 甲状腺髄様がん診断治療に関するアルゴリズム
8 RET遺伝子における病的バリアント存在部位は臨床病型と強く関連
9 RET病的バリアントによるRETタンパクの変化
10 RET遺伝子の病的バリアント存在部位とATAリスクレベル・構成疾患の頻度
11 EUROMEN study groupによる20歳未満のコドン634変異を有する小児207例の解析
12 MEN2のサーベイランス
13 甲状腺髄様がんに対するRET遺伝学的検査の保険適用・自費診療の区別
第12章 フォン・ヒッぺル・リンドウ病
1 VHL病(症候群)
2 歴史
3 VHLタンパク質の機能と腫瘍の発症機構
4 臨床診断基準
5 発症する腫瘍の年齢と頻度
6 各疾患の経過観察の開始時期と方法
7 遺伝カウンセリング、遺伝学的検査
8 中枢神経血管芽腫(小脳、延髄、脊髄)
9 網膜血管腫
10 腎細胞がん(淡明細胞型)
11 褐色細胞腫
12 膵神経内分泌腫瘍(嚢胞)