こういうことだったのか!!肺エコー**中外医学社/恒石 鉄兵/978-4-498-13058-6/9784498130586**
発行 2022年11月
判型:A5判 146頁
ISBN 978-4-498-13058-6
【著 者】
恒石 鉄兵(京都府立医科大学 麻酔科学教室・集中治療部)
小尾口 邦彦(京都府立医科大学 麻酔科学教室・集中治療部)
エコーは系統立てて学ぶ機会が乏しく,なんとなく苦手意識を持っている人も少なくない.
本書では,比較的新しい分野である肺エコーにスポットを当て,その原理や使い方,画像の見かたなどについてごく平易な言葉で解説している.また,従来の診断方法に肺エコーをどのように組み込むか,周辺知識にも言及.俯瞰的に理解できるようになり,肺エコーの使い時を正確に判断できるようになる.実践能力が身に付く心強い1冊だ.
【目 次】
CHAPTER 01 肺エコーの基本 まず胸膜コンプレックスとAラインを理解する
肺エコーとは虚構の中から真実を拾い出す作業
まずは胸膜コンプレックスを同定する
Aライン
本当に空気が超音波を跳ね返すの? ?コウモリのパラドックス?
音波の性質
エアエコー実験
ゼリーを塗ったエアエコー実験
CHAPTER 02 肺エコー 縦線Bラインとその仲間たちを理解する
Bライン
肺の構造の復習
Bラインの意味
BラインもAラインと同様に虚像
Bラインの特徴をしっかり押さえる
Bライン以外の縦線lung cometなどとの鑑別が重要
皮下気腫を示唆するEライン
肺エコーによるコンソリデーションの評価
CHAPTER 03 肺エコーは胸膜コンプレックスにフォーカスをあわせることから始まることを知る
リニアプローブ
Spatial compound
オンボロエコーは肺エコーに向いているかも?
エコー深度(depth)
フォーカス
セクタープローブ
コンベックスプローブ
筆者の肺エコープローブの使い分け
プローブの当て方のコツ
胸膜コンプレックス同定を怠ると…
CHAPTER 04 肺エコーを用いた呼吸障害の原因検索と臨床推論 BLUE-protocol
避けては通れぬBLUE-protocol
Lung slidingの確認がスタート
Aプロファイル,Bプロファイル,Cプロファイル,A/Bプロファイル
PLAPS(posterolateral alveolar and/or pleural syndrome)
BLUE-protocolはあくまで短時間で病気の目星をつけるツール
CHAPTER 05 肺エコープローブを当てる部位と当てるコツ
肺エコープローブを当てる部位
BLUE-protocol提唱部位
肺エコーにおけるプローブの当て方のコツ
基本が大切 肺エコー画像?
基本が大切 肺エコー画像?
CHAPTER 06 心原性肺水腫と非心原性肺水腫
CHAPTER 07 肺エコーと緊張性気胸
緊張性気胸の身体診察
身体診察と肺エコーのどちらを優先させる?
肺エコーによる気胸診断の実際
肺エコーによる気胸診断のピットフォール
Lung slidingがない⇒気胸,seashore signの消失⇒気胸 ではない
Lung pointがなければ?
Lung slidingがないBプロファイル
前胸部におけるlung slidingの観察は難しい
【コラム】肺エコーによる気胸評価を経験するために
CHAPTER 08 偽lung pointに騙されるな!
(1)生理学的lung point
(2)偽lung point
(3)Bleb point
CHAPTER 09 緊張性気胸と緊急脱気
緊張性気胸の診断方法
非挿管患者の緊張性気胸の症状と頻度
進行した緊張性気胸の症状と頻度
人工呼吸管理中患者における緊張性気胸の症状と頻度
救急医療テキストで語られる緊張性気胸
偽性気胸(pseudopneumothorax)
「緊張性気胸を疑えば即脱気」をすればよいのか?
CHAPTER 10 偽性緊張性気胸?
緊張性気胸 or 痰詰まり??
偽性緊張性気胸?
痰詰まりによる偽性緊張性気胸
気道閉塞(痰詰まり)による偽性緊張性気胸の診断精度を高めるために
片肺挿管にも注意
人工呼吸管理中トラブルの標語DOPE・いきつめ
CHAPTER 11 肺エコーで肺炎に挑む
肺エコーを用いて肺炎を診断する(…こともある)
心不全っぽいのか肺炎っぽいのか肺エコーで方向性がわかることに意義がある
肺エコーにおいて胸水とコンソリデーションの鑑別が困難であるとき
CHAPTER 12 肺エコーを炎症肺と非炎症肺の鑑別に活用する
炎症肺か非炎症肺かの鑑別に肺エコーを活用する
肺エコーの胸膜面に注目
心原性肺水腫を見抜く!
CHAPTER 13 重症肺血栓塞栓症の診断・治療を整理する
肺梗塞と肺塞栓症
造影CT撮影前,初期診療において肺塞栓症を疑う所見
肺塞栓症を想起したら即時心エコーはマスト業務
静脈血栓症と動脈血栓症
日本と海外では血栓溶解薬の認可状況が異なる
急性心筋梗塞に対しての血栓溶解療法
ショック状態の肺塞栓症には血栓溶解薬の積極使用を考えたい
肺塞栓症に対する血栓溶解薬使用の実際
肺塞栓症に対する抗凝固療法
CHAPTER 14 アバウト下肢静脈エコーを学ぶ
アバウト下肢静脈エコーのススメ
下肢静脈エコーで血栓を探す!
血管へカテーテルがうまく入らないときにも…
下肢静脈の部位によるDVTの名称
DVTの発生と進展
プロの下肢静脈エコーと一般医レベルの下肢静脈エコー
下肢静脈血栓を簡易的に探す2 point study
ポイント1
ポイント2
2 point studyの意義
DVT治療
下大静脈フィルター(IVCフィルター)
IVCフィルターは決して侵襲性が低いデバイスではない
IVCフィルターの適応
CHAPTER 15 肺エコーを日々の病棟管理に活用する
水が入りすぎかなあ? もっと除水したほうがいいのかな?
肺炎はよくなっている? つぶれた肺は開いている?
CHAPTER 16 横隔膜をエコーで評価する
横隔膜エコー
横隔神経麻痺も評価できる
肺保護換気
VIDD
横隔膜保護換気と横隔膜機能評価
肺保護換気と横隔膜保護換気はときとして両立し得ない
CHAPTER 17 エコーを胸腔穿刺・胸腔ドレーン留置に活用する
胸腔穿刺・胸腔ドレーン留置時にエコーは必須
胸腔穿刺部位
胸腔ドレーン留置の実際
胸腔ドレーンの固定は意外に難しい
エコー本体の位置も重要
CHAPTER 18 外傷初療とFASTとEFAST
事前準備と第一印象の把握
Primary survey
A(Airway,気道)の評価と気道確保
B(Breathing,呼吸)の評価と致死的な胸部外傷の処置
Cは評価だけでなくマスト業務が多くある
C(Circulation,循環)の評価
Cにおける活動性出血の止血(外出血のコントロール)
Cにおける静脈路確保・輸血の準備
Cにおける画像による内出血の検索:胸部・骨盤部X線写真
Cにおける画像による内出血の検索:FAST
EFAST
Primary surveyに頭部CT画像は入らない
切迫するDの評価
Exposure and environmental control(脱衣と体温管理)
Primary surveyの総括
Secondary survey
FAST・EFASTの実践機会は膨大にある