基礎からわかる 結核診療ハンドブック**中外医学社/御手洗 聡/978-4-498-13060-9/9784498130609**
発行 2022年12月
判型:A5判 326頁
ISBN 978-4-498-13060-9
【編 集】
御手洗 聡(結核予防会結核研究所抗酸菌部/長崎大学医歯薬学総合研究科基礎抗酸菌症学)
齋藤 武文(国立病院機構茨城東病院)
結核患者を実際にみたことがなくても,アップデートにも,この1冊で最新の結核診療がばっちりわかる!
耐性結核に対する新薬に伴い,次々出される新しい治療レジメンや薬剤選択,画像診断や各種肺炎,非結核性抗酸菌症などとの鑑別,エビデンスだけでは決められない,適切な治療終了の目安やリンパ節結核の対処もエキスパートが実践的知識を伝授.
いま必要な結核診療の最新マニュアル.
【目 次】
第1章 結核とは何か
1 結核の疫学的過去・現在・未来
1.結核の歴史
2.世界の結核
3.日本の結核
2 結核の臨床細菌学
1.知っておくべき結核菌の臨床微生物学的トピック
3 結核の生理学的理解(細菌側)
4 結核菌の病理学的理解(宿主側)
1.初感染と初感染発病
2.慢性発病
5 結核菌の臨床的重要性
1.医療資源としての結核菌
2.行政資源としての結核菌
3.研究資源としての結核菌
第2章 結核の感染と予防
1 自然免疫
1.マクロファージによる結核菌認識機構
2.マクロファージによる殺菌分解機構
3.結核菌によるマクロファージの殺菌分解機構からの回避
4.結核菌感染マクロファージによる肉芽腫形成
2 適応免疫
1.結核における適応免疫
2.結核における細胞性免疫
3.結核菌糖脂質に対する結核免疫
4.結核免疫におけるTh17およびTreg
5.潜在性結核感染症における結核免疫
6.結核免疫と免疫チェックポイント
3 生物学的製剤と結核
1.生物学的製剤
2.生物学的製剤と結核発症リスク
3.結核発症リスクを高める生物学的製剤
4.生物学的製剤投与時に発症する結核の特徴
5.生物学的製剤投与時の結核対策
6.生物学的製剤投与中に結核が発症した場合
7.活動性結核治療後の生物学的製剤再投与
4 潜在性結核感染症
1.潜在性結核感染症の概念の確立
2.わが国の潜在性結核感染症関連の指針
3.活動性結核発病リスクの推定(「ハイリスクグループ」の抽出)
4.潜在性結核感染症の診断
5.胸部画像診断
6.「デンジャーグループ」への潜在性結核感染治療の勧奨
7.潜在性結核感染症の標準治療
8.地球規模で見られる潜在性結核感染症
9.結核発病予測マーカーの研究開発動向
5 BCGワクチン
1.BCGワクチン
2.BCGワクチンの作用機構
3.BCGワクチンの有効性
4.BCGワクチンの接種
5.BCGワクチンのオフターゲット効果
6 エアロゾル感染とは何か
1.エアロゾルの定義
2.定義の誤りと用語の混乱 医学,とくに感染管理における定義の攪乱について
3.エアロゾル感染の定義
4.エアロゾル感染と空気感染の関係
5.「空気感染する」感染症
6.新たなエアロゾル感染,COVID-19の登場
第3章 結核の診断
1 結核診断のアルゴリズム
2 肺結核の診断
(1)結核の臨床病態
1.結核ハイリスクグループ
2.どのようなときに結核を疑うか
3.どのように診断をすすめていくか
4.結核診断の補助診断
(2)結核の放射線学的所見
1.結核の感染様式と病理
2.画像所見
(3)結核の免疫学的診断
1.免疫学的検査の歴史
2.ツベルクリン反応
3.IGRA
(4)結核の細菌学的診断
1.結核の細菌学的検査のオーダー内容・検体の種類
2.喀痰の品質評価
3.塗抹検査
4.培養検査
5.結核菌同定法
6.薬剤感受性検査
(5)その他の結核診断法
1.結核診断法のゴールドスタンダード
2.ゴールドスタンダードに合致しないが治療する場合に考慮すべきこと
3.結核治療をするか経過観察するか
3 肺外結核の診断
(1)結核性胸膜炎
1.臨床病態
2.放射線学的所見
3.免疫学的診断
4.細菌学的診断
5.その他の診断法
6.興味深い症例・ピットフォール
(2)粟粒結核
1.臨床病態
2.放射線学的所見
3.細菌学的診断
4.その他の診断法
5.興味深い症例・ピットフォール
(3)結核性リンパ節炎
1.臨床病態
2.画像所見
3.細菌学的診断
4.そのほかの診断法
5.興味深い症例・ピットフォール
(4)結核性髄膜炎
1.臨床病態
2.放射線学的所見
3.免疫学的診断
4.細菌学的診断
5.その他の診断法
6.興味深い症例・ピットフォール
(5)脊椎結核
1.疫学
2.病態
3.身体学的所見
4.検査
5.画像所見
6.鑑別が必要な疾患(主に画像所見での比較)
7.手術療法
(6)皮膚結核
1.臨床病態
2.放射線学的所見
3.免疫学的診断
4.細菌学的診断
5.その他の診断法
6.興味深い症例・ピットフォール
(7)小児科領域の結核
1.臨床病態
2.画像診断
3.免疫学的診断
4.細菌学的診断
5.興味深い症例
(8)婦人科領域の結核
1.臨床病態
2.放射線学的所見
3.免疫学的診断
4.細菌学的診断
5.その他の診断法
6.興味深い症例・ピットフォール
4 結核診断後のプロセス(感染症法)
1.感染症法による規定
2.感染症法の規定に従わない患者への対応
3.患者死亡後の結核診断と対処
4.ピットフォール:入院患者が結核と判明した場合の対応
第4章 結核の治療
1 抗結核薬解説
1.抗結核薬一覧
2.標準投与量・標準投与法
3.考えられる副作用と対処法
2 結核の治療
(1)結核治療アルゴリズム
1.初回標準治療
2.結核治療中のモニタリング
3.治療中断後の対応
4.治療効果判定
(2)結核の内科的治療
1)肺結核(気管・気管支結核含む)
1.抗結核標準化学療法の目的
2.肺結核治療にあたって考慮すべきこと
3.服薬の遵守の重要性
4.標準治療が行えないときの治療
5.治療を開始する際に患者に説明しておくこと
6.気管・気管支結核について
2)肺外結核
1.結核性髄膜炎
2.粟粒結核
3.結核性リンパ節炎
4.結核性胸膜炎
5.骨関節結核
6.泌尿器の結核
7.皮膚結核
8.小児科領域の結核
9.婦人科領域の結核
3)潜在性結核感染症
1.潜在性結核感染症とは
2.潜在性結核感染症の診断方法
3.潜在性結核感染症の疫学
4.活動性結核を発症するリスク
5.生物学的製剤と結核について
6.治療方法
7.潜在性結核感染症と活動性結核の鑑別
8.ENDTB戦略
(3)結核の外科治療
1.結核の外科治療の歴史
2.外科治療の適応
3.術式と手術の留意点
4.術前・術後の化学療法
5.治療成績と今後の課題
(4)集学的結核治療
1.喀血:経皮的血管内カテーテル治療
2.気管支内視鏡下治療
3.支持療法から化学療法とDOTS,そして宿主標的治療への期待
(5)治療のモニタリング(患者とのコミュニケーション)
1.日本版21世紀型DOTS戦略
2.院内DOTS(服薬の規則性)
3.外来患者のDOTS(地域DOTS):服薬の継続性
4.医療機関と保健所の連携
(6)標準治療から外れた肺結核の治療
1)副作用マネージメント
1.事前に行うべき検討
2.嚥下機能低下時
3.副作用
2)薬剤耐性
1.耐性結核を疑う場合とは
2.核酸増幅法での結核診断と同時に薬剤耐性遺伝子の検出
3.薬剤感受性検査結果の入手
4.耐性結核と判明した時点での治療についての考え方
5.耐性結核と判明した時点での治療─INH耐性RFP感性の場合
6.耐性結核と判明した時点での治療─RFP耐性の場合
(7)治療終了の判断
1.治療終了の判断の原則
2.治療期間を考える際の注意点
3.治療終了判断の延長が必要な場合
4.治療終了時の注意点
(8)治療終了後の結核診療
1.結核の再発
2.経過観察・管理検診方法
3.再発確認における喀痰検査
4.結核以外の疾患の合併
5.再発例と鑑別例
3 結核治療の最新トピック
1.リファペンチン
2.肺結核の治療:最新トピック
3.潜在性結核感染症の治療:最新トピック
第5章 結核の後遺症
1 肺結核の後遺症
1.呼吸機能障害
2.肺高血圧症
3.睡眠呼吸障害
4.二次的感染症
5.気管・気管支結核
6.症例提示
2 肺外結核の後遺症
1.膿胸関連リンパ腫
2.気管支閉塞・狭窄
3.収縮性心膜炎
4.神経障害,水頭症,脳梗塞
5.副腎皮質機能低下症(アジソン病)
6.関節可動域制限
3 結核の後遺障害に対するリハビリテーション
1.わが国における呼吸リハビリテーションの歴史
2.結核の後遺障害の病態と問題点
3.呼吸リハビリテーションとは
4.結核の後遺障害に対する呼吸リハビリテーションの考え方
5.結核の後遺障害に対する呼吸リハビリテーションの実際
6.呼吸リハビリテーションの有益性
コラム:日本の結核病学の世界への貢献
1.BCGは日本の凍結乾燥方法の開発により世界で広く接種可能となった
2.結核発病論の基礎:初感染発病学説
3.結核病態学の基礎:遅延型過敏反応
4.カナマイシンの発見