あなたもはまるDIC**三輪書店/丸藤 哲/978-4-89590-767-5/9784895907675**
- 編著
- 丸藤 哲(医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院 顧問兼 救急集中治療センター長/北海道大学名誉教授)
発行 2023年2月
判型:B5 324頁
ISBN 978-4-89590-767-5
DICに苦手意識がある人も、関心高い人も、間違いなくハマる1冊!
わかったようでよくわからない播種性血管内凝固症候群、DICをまさに快刀乱麻を断つごとく、明解・簡潔に解説したのが本書、「あなたもはまるDIC」です。DIC学という学問体系を熱く語り、毎日の臨床に直結するDICの最新の知識を満載しました。時空を超えて地球誕生の45億年前から現在、未来へ、DNAから細胞、組織、丸ごとの人体まで、そして基礎から臨床へ、DICのすべてがこの一冊に凝集されています。豊富かつ色彩豊かな図表が本文の理解を助け、三百を超えるPoint解説が理解を深めます。学習に疲れたときは読んで楽しいコラムで息抜きをしてください。本書を手にした医学生、研修医、専攻医、専門医、すべての皆さんがDICの面白さに気づいていただけると確信しています。
【目 次】
第1章 DICとは何か
はじめに
1 止血血栓と免疫血栓
2 血管内と血管外
3 DICとは何か
第2章 概念の確立と病態への関与
1 概念の確立
2 病態への関与
1)敗血症(sepsis)とDIC
(1)Sepsis-1
(2)Sepsis-2からSepsis-3へ
(3)DIC苦難の時代
(4)一大方向転換とDIC
(5)二つの潮流
2)外傷とDIC
(1)病態の確立
(2)希釈性凝固障害神話
(3)DIC迫害の時代
(4)外傷性凝固障害(trauma induced coagulopathy:TIC)とDIC
3)心停止・蘇生とDIC
(1)No-reflow
(2)トロンビン産生と血栓形成
(3)Post-Cardiac Arrest Syndrome
第3章 生体侵襲と生体反応
はじめに
1 生体侵襲
1)侵襲刺激
2)侵襲の感知
(1)TLRs(toll-like receptor)
(2)NLRs(NOD-like receptor)
(3)RLRs(RIG-I-like receptor)
(4)CLRs(C-type lectin receptor)
(5)ALRs(AIM2-like receptor)
3)情報伝達
(1)TLRs(toll-like receptor)
(2)NLRs(NOD-like receptor)
(3)RLRs(RIG-I-like receptor)
(4)CLRs(C-type lectin receptor)
(5)ALRs(AIM2-like receptor)
2 生体反応
1)制御された細胞死
(1)アポトーシスとネクロトーシス
(2)パイロトーシス
(3)ネトーシス
(4)産物とその意義
2)炎症反応
(1)血管拡張と血管透過性亢進
(2)白血球・血管内皮細胞活性化
(3)組織侵入と殺菌
3)凝固線溶反応
(1)血小板・凝固反応
(2)凝固制御反応
(3)線溶反応
4)炎症と凝固反応の連関
5)キニン・カリクレイン系と補体経路
(1)キニン・カリクレイン経路
(2)補体経路
6)神経内分泌・自律神経反応
(1)神経中枢
(2)刺激の伝達
(3)炎症反射(inflammatory reflex)
(4)生体反応
第4章 生体侵襲とDIC
はじめに
1 トロンビン
2 PAMPsとDAMPs
1)PAMPsとDAMPs
2)PAMPs?LPS
3 制御された細胞死
1)DAMPs
2)パイロトーシスとインフラマソーム
3)アポトーシスとネクロトーシス
4)ネトーシス
(1)NETsと免疫血栓(immunothrombosis)
(2)血小板と白血球
(3)線溶反応の抑制
4 ヒストンとDNA
1)DNA
2)ヒストン
(1)炎症反応
(2)血小板活性化と凝固亢進
(3)抗凝固機能の抑制と血管内皮細胞傷害
(4)線溶反応の抑制
5 サイトカインとPARs
1)炎症性サイトカイン
2)PARs(protease-activated receptors)
6 補体経路反応
1)凝固線溶系
2)炎症反応
7 神経内分泌・自律神経反応
1)交感神経
2)迷走神経
第5章 DICの病態生理
はじめに
1 血小板・凝固線溶反応
1)血小板
2)凝固線溶系
2 血管内皮細胞と抗凝固因子
1)グリコカリックスと血管内皮細胞
2)抗凝固因子
3 消費性凝固障害と出血
4 MODS(多臓器機能障害)
1)微小血管内血栓形成とMODS
(1)微小血管内血栓形成
(2)微小血管内血栓形成とMODS
2)炎症・凝固反応連関とMODS
(1)炎症性サイトカインと組織因子
(2)PARs(protease-activated receptors)
3)血管内皮細胞傷害とMODS
(1)好中球と血管内皮細胞傷害
(2)血管内皮細胞間隙の開大
(3)アンギオポエチンとTie2
(4)VEGF(血管内皮細胞増殖因子 vascular endothelial growth factor)
(5)炎症・低酸素連関(Inflammatory hypoxia)とHIF-1α
4)補体経路反応とMODS
5)DAMPs,ヒストンとMODS
第6章 DICの定義,基礎病態と診断
1 定義
2 基礎病態
1)基礎病態
2)急性期医療領域のDIC
(1)感染症と組織損傷
(2)毒蛇咬傷
3)産科領域のDIC
(1)全身性炎症反応と凝固線溶系
(2)分娩後出血(postpartum hemorrhage:PPH)
(3)常位胎盤早期?離
(4)妊娠高血圧腎症(子癇前症)と子癇
(5)羊水塞栓症
(6)HELLP症候群
4)悪性腫瘍とDIC
(1)癌細胞による凝固亢進
(2)病的炎症・凝固線溶反応
(3)炎症・低酸素連関
(4)線溶反応の亢進
3 診断
1)診断基準とは何か
2)DIC診断基準に求められるもの
3)ISTH DIC診断基準
4)急性期DIC診断基準
(1)理念
(2)作成と検証
(3)特徴
(4)ISTH DIC診断基準との比較
5)そのほかのDIC診断基準
第7章 DICの病型
1 制御型(controlled DIC)と不全型(uncontrolled DIC)
2 線溶抑制型(thrombotic phenotype)と線溶亢進型(fibrinolytic phenotype)
1)考え方
2)線溶亢進型DICの基礎病態
3)凝固線溶反応の推移
第8章 DICの臨床
1 症状と検査所見
1)症状
2)検査所見
2 鑑別すべき病態
1)血栓性微小血管症(TMA)
2)ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)
3)血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)
4)抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)
5)後天性フォン・ウィルブランド症候群(acquired von Willebrand syndrome:AvWS)
6)後天性凝固因子インヒビター
7)腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)
3 予後
1)死亡率の変遷
2)MODSと死亡の予測
第9章 DICの治療
1 なぜ治療するのか
2 抗凝固療法の至適対象
1)DICの診断
2)重症度の確認
3)免疫血栓(immunothrombosis)
4)臨床応用
3 診療ガイドライン
4 DICの治療
1)基礎病態の治療
2)補充療法
3)抗凝固療法
4)抗線溶療法
5 DICの治療薬
1)生理的抗凝固薬
(1)アンチトロンビン製剤
(2)遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン(recombinant human soluble thrombomodulin:rhTM)
2)ヘパリン類
(1)未分画ヘパリンと低分子ヘパリン
(2)ヘパリン類似物質(ヘパリノイド)
3)合成蛋白分解酵素阻害薬
4)抗線溶薬
第10章 症例から学ぶDIC
1 心停止蘇生後症例
1)心原性心停止症例
(1)灌流量と灌流圧
(2)凝固線溶系の変化
(3)転帰
2)低酸素性心停止症例
(1)窒息
(2)溺水
3)心停止蘇生後症例の予後
2 外傷症例
1)多発外傷
2)単独頭部外傷
3)生理的止血・創傷治癒の凝固線溶系
4)外傷症例の予後
3 敗血症症例
1)敗血症
2)敗血症性ショック
4 分娩後出血症例
5 鑑別診断
1)定期手術後に進行する血小板数減少
2)急速に進行する出血傾向
6 治療
1)基礎疾患の治療,補充療法と抗凝固療法
2)出血性副作用