緩和ケアで関わりづらさを感じたら**メディカ出版/田村 恵子/978-4-8404-8177-9/9784840481779**
発行 2023年5月
判型:A5判 144頁
ISBN 978-4-8404-8177-9
最新知見をふまえた患者・家族対応のヒント
緩和ケアにおける基本のコミュニケーションスキルでは対応できなくて困った経験は誰にでもあるだろう。そんな時に認知機能や発達障害などの特性をふまえて対応しようという研究が進んでいる。最新知見と事例から、臨床現場を再考するための書籍。
認知障害や発達障害をはじめとする患者背景を踏まえた対応の意義・注意点を解説!
緩和ケアの目的や全人的アプローチ、そして緩和ケア看護における基本的なコミュニケーションスキルとして、がん患者さんの心理やそれを踏まえたコミュニケーションについて解説します。
さらに、「何度説明しても、患者さんの理解が得られない」、「患者さんが治療をあきらめたくないと話すとき」など、「患者さんやそのご家族と関わりづらいな」「接し方が難しいな」と感じるような事例を取り上げ、アセスメントと対応を紹介します。
【目 次】
1章 緩和ケアの目的と全人的アプローチ
■はじめに
■緩和ケアの目的と全人的アプローチ
緩和ケアの定義
緩和ケアの目的
包括的アセスメント
基本的緩和ケアを担う看護師に求められる実践能力
看護師のコミュニケーションの特徴
2章 がん患者さんの心理とコミュニケーション
■がん患者さんの心理
がん患者さんが経験する心の状態
がんに対する心理的反応
■医療者がコミュニケーションにおいて感じる不安
患者さんに苦痛をもたらすのではないかという懸念
患者さんが感情的になるのではないかという心配
自分の感情を表現することの気恥ずかしさ
自分自身の病気や死への恐れ
コミュニケーションを学ぶ機会の不足
■コミュニケーションについて理解する
コミュニケーションと共有
コミュニケーションスキル
3章 看護師が関わりづらさを感じるときのアセスメントと対応
■患者さんとのコミュニケーションにおいて
看護師が抱きやすい困難感
■何度説明しても、患者さんの理解が得られないとき
①せん妄の有無を確認する
②認知機能の程度を把握する
③認知症の有無を確認する
④適応障害、うつ病の有無を確認する
⑤否認の有無を確認する
⑥発達障害特性の有無を確認する対応のコツ
4章 看護師が難しさを感じる場面のアセスメントと対応
■患者さんが治療をあきらめたくないと話すとき
医療者からの一方的な情報提供になっていないか
患者さんの立場になって状況をみつめてみる
医療者自身の価値観を認識しておく
患者さんが納得できる選択を支援する
■こだわりが強いなと感じるとき
ASD特性という視点からみてみる
医療者自身もこだわりすぎないようにする
■「間違ってはいない」でも何か違うと感じるとき
ASD特性という視点でみてみる
本人に行動の背景を尋ねてみる
■患者さんが怒りを表出したとき
患者さんの怒りに巻き込まれないように、冷静さを保つ
患者さんの心身の状況を確認する
患者さんと医療者とのコミュニケーションは不足していないかを確認する
医療者に非がある場合、まずは謝罪する
誤解の場合は時間をおいてから丁寧に説明する
患者さんと一緒に怒りの原因を考える
ASD特性という視点でみてみる
■発言力の大きい遠方のご家族が出現したとき
家族にはそれぞれの歴史があると認識する
ご家族の苦悩にも配慮する
予期悲嘆について理解する
ご家族に起こっていることとその理由を全体でとらえ直す
「家族」の難しさを認識しておく
5章 発達障害の影響を考慮した対応
■発達障害の実態
ASDの有病率
症状の併存率は9割近い
大人になってからの診断も増えている
ASDとして理解しようとすることのメリットとデメリット
■発達障害の影響を考慮したマネジメント
優先順位をつけて一つずつ
「視覚的に」「できるだけ早く」「単純にして」伝える
怒りが強い場合は、その場から一度離れる
入院生活を観察して患者さんの状態を客観的に評価する
過度な刺激・負担を避ける
6章 まとめ
■緩和ケアにおいて看護師が感じる関わりづらさ
■全人的視点からのアプローチが助けになる
■患者さんに関わりづらさを感じるときの対応で心がけること
患者さんはストレスの多い出来事を経験している
レッテルを貼る前に距離を置く
患者さんの立場から状況をみつめ直す
一気にすべてを理解しなくてもいい
ASD特性の視点から考えてみる
ブラックボックスは無理に開けなくてもいい
お互いが聴きあえる関係を作っていく