カラーグラフィックス 下歯槽神経・舌神経麻痺 第3版**医歯薬出版/野間 弘康/978-4-263-45670-5/9784263456705**
発行 2023年6月
判型:A4判変 432頁
ISBN 978-4-263-45670-5
監修:野間 弘康 / 佐々木 研一 / 柴原 孝彦
編集:高野 正行 / 片倉 朗
下歯槽神経・舌神経麻痺を学ぶ歯科医師必携の1冊,第3版
●本書は,臨床の場でみられる下歯槽神経損傷・舌神経損傷,神経麻痺について,原因,診断,治療,予防法を,多数のわかりやすいカラーグラフィックスとフローチャートにより詳述した実践的な解説書です.
●麻酔,根管処置,埋伏智歯抜歯,インプラント植立等,処置別に章を整理していますので,実際の臨床に即して参照することができます.また,医事処理にも章をさいて,医事紛争防止や,医師賠償責任保険を解説しています.
●2010年発行された「カラーグラフィックス下歯槽神経・舌神経麻痺 第2版」に,新たな項目,所見,症例を加え,さらに第1編「基礎」・第2編「治療」と2分冊化がなされました.第2編「治療」では手術療法,薬物療法,星状神経節ブロック,理学療法について詳細に解説しています.
●神経修復術をこれから学ぶ方必見の解説動画付き.
【目 次】
第1編 基礎
第1部 総論
1章 下歯槽神経と舌神経をめぐって
I.日本人の顎骨の形態が変わってきた
II.神経麻痺とその原因
III.神経(線維)損傷とその診断
IV.神経損傷の治療
V.下歯槽神経・舌神経損傷の予防
VI.患者に対する医療面接
2章 下歯槽神経・舌神経の臨床解剖
I.下顎神経
1 下歯槽神経(下顎孔より下顎骨中に入り,オトガイ孔を出るまで)
2 オトガイ神経(オトガイ孔を出た後)
3 切歯枝
4 舌神経
5 顎舌骨筋神経
II.下顎神経の伝導路
3章 末梢神経機械的損傷の分類
I.Seddon分類
1 neurapraxia(一過性局在性伝導障害)
2 axonotmesis(軸索断裂)
3 neurotmesis(神経幹断裂)
II.Sunderland分類
III.歯科臨床的な末梢神経損傷の分類
4章 神経損傷の診断と評価
I.診断・治療のフローチャート
1 診断・治療のフローチャート
2 診断・治療のフローチャート(口腔外科専門医レベル)
3 口腔外科専門医に必要な神経修復手技
II.各種検査,診断法
1 画像診断(MRI・CT)
2 画像診断〔オルソパノラマX線画像(三叉神経障害ガイドライン)〕
3 精密触覚機能検査法,その他主観的検査法
4 SNAP(下歯槽神経)
5 SNAP(舌神経)
6 味覚
III.各種評価法
1 受傷時の患者の自覚症状
2 知覚障害の程度と範囲の客観的評価
3 知覚障害症状の経過
第2部 各論
1章 浸潤麻酔・伝達麻酔による下歯槽神経損傷
I.診断
1 神経麻痺の発生頻度
2 診断のポイント
3 局所麻酔後の神経麻痺の病態
II.このような症状があったら
III.事故が起こる原因
1 注射針による機械的損傷(針による外傷)
2 血管収縮薬による局所貧血
神経破壊剤による神経変性
IV.治療
1 薬物療法
2 理学療法
V.回復期間,回復度
VI.予防法
1 下顎孔伝達麻酔
2 オトガイ孔,舌神経
3 器具の取り扱い上の注意
4 その他
2章 根管処置による下歯槽神経損傷
I.診断
II.このような症状があったら
III.麻痺の原因
IV.治療
V.回復期間・回復度
VI.予防法
VII.注意点
3章 下顎埋伏智歯抜歯時の下歯槽神経損傷
I.診断
II.このような症状があったら
III.麻痺の原因
1 原因となるもの
2 読影ミス
3 操作上の問題
IV.治療
V.回復期間・回復度
1 神経幹完全断裂
2 部分的神経断裂
3 軸策断裂
4 一過性局在性伝導障害
VI.予防法(正しく安全な抜歯手技)
1 智歯抜去の手順
VII.その他の対処法(コロネクトミー)
VIII.もし抜歯後神経麻痺を訴えたら
4章 インプラント植立時の下歯槽神経損傷
I.診断(矢島安朝)
1 インプラント手術関連の重篤な医療事故における神経損傷の頻度
2 診断方法
II.このような症状があったら
III.事故が起こる原因
1 原因の調査と転帰
2 手術計画とCBCTの読像
3 手術手技
IV.治療
1 手術療法
2 保存療法
V.回復期間,回復度
1 神経幹完全断裂
2 部分的神経断裂
3 軸索断裂,一過性局在性伝導障害
VI.予防法(安全確実なインプラント治療)と注意点
VII.分枝の問題
VIII.インプラント体の挙上
5章 嚢胞,腫瘍摘出時の下歯槽神経損傷
I.診断
II.このような症状があったら
III.神経損傷が起こる原因
1 手術操作や解剖学的要因に起因する場合
2 手術に伴い神経損傷がある程度免れない場合
IV.対策
1 手術中に神経損傷が判明した場合
2 手術後に神経障害が明らかになった場合
3 大きな腫瘍,嚢胞等で術前から下歯槽神経の切除または障害のリスクの可能性がある場合
V.予防法
VI.回復期間,回復度
1 神経幹完全断裂
2 部分的神経断裂
3 軸索断裂
4 一過性局在性伝導障害の場合
VII.注意点
6章 下顎口腔前庭に切開を入れた場合の下歯槽神経(オトガイ神経)損傷
I.診断
II.このような症状があったら
III.事故が起こる原因
1 読影ミス
2 手術による損傷
IV.治療
1 神経縫合による手術療法
2 薬物療法
3 理学療法
V.回復期間,回復度
1 触覚,痛覚の広範囲知覚脱失(anesthesia;S0)がある場合
2 触覚,痛覚の小範囲脱失(s0)がある場合
3 異感覚(dysesthesia;S2+),錯感覚(parasthesia;S2+)
VI.予防法と注意点
1 予防法
2 注意点
7章 顎矯正手術時の下歯槽神経損傷
I.診断
II.このような症状があったら(知覚麻痺を予見した診療手順)
III.各種手術法と麻痺の発現機序
IV.治療
V.回復期間,回復度
VI.予防法と注意点
8章 総義歯による下歯槽神経・オトガイ神経障害
I.診断
II.このような症状があったら
III.麻痺の原因
IV.治療
V.予防法
VI.回復期間・回復度
VII.注意点
9章 下顎骨骨髄炎による下歯槽神経麻痺
I.このような症状があったら
II.麻痺の発現機序
III.治療
1 薬物療法・理学療法
2 手術療法
IV.注意点
10章 舌神経麻痺
I.知覚神経麻痺の診断
1 主観的検査法
2 客観的検査法
II.このような症状があったら(知覚神経麻痺の評価と経過)
1 一過性局在性伝導障害(neurapraxia)
2 軸索断裂(axonotmesis)
3 神経幹断裂(neurotmesis)
III.各種対応・手術方法
IV.回復期間・回復度
V.予防法と注意点
11章 医事処理
I.臨床面
1 このようなことが起きないためには
2 どうして十分な説明ができないのか
3 患者に理論的に説明するために
4 麻痺後の検査
5 麻痺を起こさないための予防法
6 医事紛争の防止
7 医師賠償責任保険
II.弁護士からみた対応
1 弁護士からみた医事処理
2 神経損傷を巡る医療訴訟
12章 下歯槽神経損傷後の変性と回復過程(原著論文を中心として)
I.神経細胞の反応
II.中枢神経系から末梢受容器の連絡機構
III.軸索輸送
1 遅い順行性軸索輸送
2 早い順行性軸索輸送
3 逆行性軸索輸送
IV.神経線維の反応
V.シュワン細胞,基底膜の役割―人工材料を用いた神経再生―
1 切断縫合群
2 凍結乾燥群
3 人工材料群
VI.神経周囲血管網および神経内血管の役割
1 神経周囲血管網(perineural vascular net)
2 神経内血管
VII.硬組織用超音波(骨)メスによる神経損傷
1 超音波(骨)メスと回転切削器具による神経損傷の違い
2 超音波(骨)メスによる神経損傷と電気生理学的および病理学的回復
VIII.受容器(神経終末)の反応
1 皮膚・口腔粘膜の受容器
2 支配神経の切断による受容器の変性と再生
3 神経損傷の種類と受容器の再生
4 受容器の再生と感覚の回復
5 歯根膜の受容器
IX.検査(臨床例をとおして)
1 電気生理学的検査(下歯槽神経活動電位)
2 触覚検査(下顎枝矢状分割術後)
X.知覚のリハビリテーション
XI.超音波刺激による神経損傷(neurapraxia)
XII.下歯槽神経SNAP
1 各損傷群の伝導速度(SCV)の経時的変化と群間比較
2 各損傷群の神経線維直径とSCVの関係性
XIII.PGAラッピング
1 病理組織学的観察
2 知覚神経活動電位(SNAP)導出法を用いた電気生理学的観察
XIV.GF2(線維芽細胞増殖因子)による神経再生
1 実験方法
2 結果
3 考察
XV.FGF2(線維芽細胞増殖因子)による神経部分切断部の神経再生
1 下歯槽神経損傷における現在の状況
2 FGF2と神経損傷
3 結果および考察
XVI.人工神経開発に関する実験的研究
XVII.下顎骨変形症手術後における下歯槽神経麻痺の回復過程に関する臨床的研究
第2編 治療
1章 臨床解剖
I.三叉神経
II.下歯槽神経
III.舌神経
1 一般知覚性成分
2 特殊感覚性成分,内臓運動性成分(中間神経)
2章 下歯槽神経の手術療法
I.神経修復術の基本
II.神経修復術を行うための準備
1 神経縫合法
2 遊離自家神経移植
3 血管柄付き神経移植
4 凍結乾燥神経移植
5 人工神経移植
6 下歯槽神経引き抜き再縫合法
7 神経ラッピング法
III.下歯槽神経損傷後の下歯槽神経修復術の一連の手術療法
1 切開法
2 頬側皮質骨の除去
3 下歯槽神経の明示
4 外傷性神経腫の処理
5 神経修復術
6 頬側皮質骨の復位,内固定
3章 舌神経の手術療法
I.神経縫合法
1 神経単一縫合法
2 神経上膜縫合
3 神経周膜縫合
4 第一次神経束群縫合
II.神経移植
1 遊離自家神経移植
2 血管柄付き神経移植
3 人工神経移植
III.舌神経修復術の手術手技
1 適応症例
2 手術手技
IV.手技のフィードバック
V.回復期間・回復度
1 神経幹完全断裂
2 部分的神経断裂
3 軸索断裂
4章 薬物療法(神経障害性疼痛を含む)
I.麻痺性疾患(感覚が鈍い,しびれ)に対する薬物療法
1 ビタミンB12製剤:メコバラミン
2 副腎皮質ステロイド
3 アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(ATP)
II.疼痛性疾患(神経障害性疼痛)に対する薬物療法
1 抗てんかん薬:Ca2+チャネルα2δリガンド:プレガバリン,ミロガバリン,(ガバペンチン)
2 抗てんかん薬:カルバマゼピン,(クロナゼパム)
3 抗うつ薬:三環系抗うつ薬(TCA):アミトリプチリン塩酸塩:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):(デュロキセチン塩酸塩)
4 ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤
5 オピオイド鎮痛薬:トラマドール
5章 星状神経節ブロック
I.星状神経節
II.星状神経節ブロックの目的
III.歯科における星状神経節ブロックの適応症
IV.星状神経節ブロックの術式
1 ランドマーク法(傍気管法)
2 超音波ガイド下法
V.星状神経節ブロック施行後の症状
VI.星状神経節ブロックの合併症
VII.星状神経節ブロック時の組織血流量の変化
VIII.星状神経節ブロック後の神経損傷の回復
6章 理学療法
I.運動療法
II.物理療法
1 温熱療法
2 光線療法
参考資料 歯科治療による下歯槽神経・舌神経損傷の診断とその治療に関するガイドラインについて
I.ガイドライン作成の目的
II.ガイドライン作成の組織
III.ガイドライン作成の背景
IV.ガイドラインの構成
第3編 動画
動画目次
Web動画の視聴方法について