看護のコミュニケーションセンス 新版**医歯薬出版/大森 武子/978-4-263-71066-1/9784263710661**
発行 2023年12月
判型:A4判 180頁
ISBN 978-4-263-71066-1
著:大森 武子 / 矢口 みどり
学習上の工夫が徹底的に凝らされた看護コミュニケーションのロングセラー,待望のリニューアル!
●看護職,そして社会人として欠かせないコミュニケーションのセンスをアクティブ・ラーニングで身につける好評書.
●学習上の位置づけや順序性を全面的に見直し,より効果的なワークを取り入れて再構成.
●年齢・障害別の対応やチーム医療など,新たな場面も多数加わった決定版.
【目 次】
行動してみがくコミュニケーション
「知っている」と「できる」はちがう
行動能力は,その行動をすることによって身につく
新版 看護のコミュニケーション・センス(内容と構成)
I コミュニケーションの基本センスをみがく
1 展開・組み立ての基本センス
(1) 聴く
「話す」と「聞く」とで構成される会話
「聞く」があるから,「話す」が成立する
コラム コミュニケーション(communication)とは
会話事例から考えてみよう 「聴く」ということについて
×失敗例
事例1/事例2/事例3
○成功例
事例1/事例2/事例3
「聴く」は表現する行動である
聴く姿勢を表現する
自分で演じて考えてみよう 聴く姿勢の表現
コラム 学習の中でたくさん失敗し,修正する
生活の中でのステップアップ コミュニケーション・ノートを作ろう
(2) 話す
相手が受け取ってくれなければ,話したことにならない
話すための3つのポイント
会話事例から考えてみよう 「話す」ということについて
×話が伝わらなかった例
事例1/事例2/事例3/事例4/事例5
話すための3つのポイントを実現するのは 観察力 と 表現力
行動を通して考えてみよう 話しかける
生活の中でのステップアップ 言葉チェック
(3) 相手のメッセージを受けとめる
言葉の背後にあるもの
会話事例から考えてみよう 気持ちを受けとめるとは,どういうことか
A群
事例1/事例2/事例3/事例4
B群
事例1/事例2/事例3/事例4
気持ちを受けとめることが,相手の心を開く
相手の心を受けとめるためのポイント
気持ちを受けとめる表現のしかたを考えてみよう
(4) 1回1回の対応の積み重ねが会話の方向をつくる―読み取ることと表現すること―
お互いが,メッセージの送り手であると同時に受け手である
会話事例から考えてみよう
読み取りかた,表現のしかたが会話の展開を決める―前ページの会話事例の分析から―
読み取る力・表現する力をみがく方法は
読み取ってみよう,表現してみよう
2 相手を生かし,自分を生かす―アサーティブ・コミュニケーション―
(1) 自分から出る
自分から出る姿勢
自分から出る度チェック
「自分から出る脳」をつくる
「自分から出る行動」を毎日行うための5つのアドバイス
(2) 自分を出す―相手を受けとめつつ,いかに自分を主張するか―
互いに認め合う
会話事例から考えてみよう 自分の気持ちや考えをどう主張するか
事例1/事例2/事例3
相手の気持ちを受けとめる
自分の論理をもつ
「相手を受けとめつつ,自分を主張する姿勢」を支える人間観
プラスメモ 本音を言うが傷つけない―反論・指摘・注意
相手の気持ちを受けとめる主張に変えてみよう
会話の展開を考えてみよう
言いにくいことをどう伝えるか―反論や問題点の指摘
コラム 心の4つの窓(ジョハリの窓;Johari Window)
(3) 相手を知り,相手を生かす
簡単には「相手の身になる」ことはできない
どうしたら相手の身になれるか
事例 人間ドック受診のすすめ
相手を知り,相手を生かすコミュニケーション
コミュニケーションをレベルアップするための3つの要素
いろいろな質問のしかた
何をたずねますか,どうたずねますか?
生活の中でのステップアップ
コラム「たずねる」ということについて
コラム コミュニケーションの構成要素
3 表現のセンスをみがく
表現のセンス8つのポイント
言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション
(1)声,話しかた─大きさ,発音,話す速度,間の取りかた
(2)目,表情,身体で表現─表情,視線,うなずき,位置,距離,姿勢
鏡の前で研究しよう
仲間と一緒に研究しよう
(3)オープン・クエスチョン と クローズド・クエスチョン
(4)呼びかけ と あいづち
プラスメモ すみません/ありがとう/ごめんなさい
プラスメモ 合わせ技……あいづち + 笑顔/うなずき/アイコンタクト
コラム 「笑い」の効果
(5)5W1H─要素,順序,区切りかた
生活の中でのステップアップ
(6)メール・チャット─文字だけのコミュニケーション
(7)敬語・丁寧語
敬語の種類と表現のしかた
敬語を使う対象と,使いかたの原則
練習
プラスメモ あげる/してあげる
(8)仲間・仕事・世代と言葉
コラム コミュニケーションを阻害する因子
II 現実の場面から探る看護のコミュニケーション・センス
1 安全,そして安楽に看護ケアを行う
事例1 開腹手術後2日目.歩行の許可が出ているが,傷の痛みを気にして起きようとしない患者に,トイレまで歩行介助を行う場面(60代女性)
解説
1.患者の身体の状態,気持ちを読み取り受けとめる姿勢の表現と,受けとめたことの表現
2.患者の不安・疑問に対する,論理的で納得のいく説明
3.看護ケアのイメージの伝達―全体像,段階ごとの行動のしかた
看護のコミュニケーションを生み出す構造
2 療養生活を組み立てるための情報の入手と伝達
事例1 胃腸炎後,回復期に食欲不振が続く患者に,食事量をたずねる(70代男性)
解説
1.患者の表出するものから,患者の病態・心の状態をとらえる
2.療養生活のしかたを組み立て直し,提案する
事例2 点滴注射をしている患者への体温・血圧・脈拍測定の場面(50代女性)
事例3 急な入院の案内(70代男性と妻)
事例4 ひとり暮らしの高齢者の退院指導(80代女性,膝骨折,1週間後退院予定)
解説
3.状況・状態の変化に対応しつつ,探究的に情報を取る
4.行動のしかたがイメージできるように伝える
5.相手の自尊心,意思を大切にする
コラム 看護のコミュニケーションはここから始まる
3 患者の苦痛や不安を読み取り,受けとめる
事例1 不眠を訴える患者,入院2日目(70代女性)
事例2 抗がん剤治療後,手術のために再入院.1週間後に手術予定の患者(60代男性)
事例3 バイク事故による受傷(頭部および全身打撲),入院当日(19歳男性)
事例4 娘の容体を心配する母親(娘20代,急性腎炎による入院後2週間)
解説
1.患者のもつ苦痛・不安をとらえ受けとめる
2.患者の苦痛や不安に具体的に対応する
プラスメモ コミュニケーションのバックグラウンドを豊かに
3.苦痛や病態についての情報を提供する
情報の取りかた・伝えかた
1.患者の気持ちを推測し,苦痛や不安などを表出できるようにする
2.苦痛や不安の内容,その程度・変化を具体的にとらえる
4 さまざまな環境,変化する状況に対応する
事例1 大部屋にいる患者(左片麻痺)の部分清拭と寝巻の交換(80代女性)
事例2 洗髪予定の患者がうとうとしている場面(70代男性)
事例3 多人数の見舞い客が来たときの対応(20代女性/大腿骨骨折)
解説
1.患者の療養環境をとらえて対応する
2.患者の身体の状態や気持ちの変化をとらえて対応する
3.患者の置かれた環境・場の状況をとらえて対応する
5 さまざまな患者に対応する
事例1 長期入院患者への与薬場面(1)(6歳男児/小学生)
事例2 長期入院患者への与薬場面(2)(40代男性/自営業)
事例3 長期入院患者への与薬場面(3)(80代女性/耳が遠い)
事例4 障害のある患者への食事援助場面(1)(60代女性/左片麻痺)
事例5 障害のある患者への食事援助場面(2)(70代男性/視覚障害(失明))
解説
1.ライフステージという視点から,患者の特性をとらえる
2.身体の障害(身体能力)という視点から,患者の特性をとらえる
3.患者の特性をとらえるためのさまざまな視点
6 ナースコールに対応する
事例1 ナースコール1(点眼の介助の求め)
事例2 ナースコール2(大部屋からのコール)
事例3 ナースコール3(患者への連絡)
事例4 ナースコール4(患者からの連絡)
事例5 ナースコール5(家族からの連絡)
解説
1.患者のニードに応え,安心感を与える―ナースコールへの対応―
2.患者との連絡手段としてのナースコール
3.患者以外からのナースコール
ナースコールを使ってのコミュニケーション対応のポイント
練習
7 チームをつなぐ
チーム医療:自宅における緩和ケアの例
ナース,主治医の連携はどのように行われたか(Y氏の事例)
コラム 言語,視覚,聴覚,認知に障害のある患者とのコミュニケーション
〈図解〉看護のコミュニケーション・センスはこうしてみがく
III 演技して探究する看護のコミュニケーション・センス
1 患者の疑似体験
A 動けない患者の一日を体験しよう
B 患者の疑似体験をしよう
C 生活援助を受ける患者の経験をしよう
D 患者経験者にインタビューしてみよう
2 患者に寄り添い,患者の心を開く
患者に寄り添う姿勢とは
患者に必要なケアを行うためのコミュニケーション,その3つの要素
プラスメモ 傾聴
3 演技して探究する─台本型ロールプレイ─
実施のしかた
台本 抗がん剤治療後,手術のために再入院.1週間後に手術予定の患者(60代男性)
台本型ロールプレイ:チェックシート(記入例)
台本型ロールプレイをやってみよう
台本1 トイレまで歩行介助をする事例(II章-1 事例1-B)
台本2 子宮筋腫の手術を翌日に控え,不安を訴える患者に対応する事例
台本型ロールプレイ:チェックシート
ロールプレイの経験を生かすために
IV 自分を振り返ってコミュニケーション・センスを高める
もうひとりの自分による,自分の行動の分析と修正
行動の自己分析の例A
行動の自己分析の例B
解説 行動記録の自己分析
参考 脱主観,脱感情の“リフレクション”