最新臨床検査学講座 遺伝子関連・染色体検査学 第3版**医歯薬出版/東田 修二/978-4-263-22395-6/9784263223956**
発行 2024年1月
判型:B5判 248頁
ISBN 978-4-263-22395-6
急速に発展する「遺伝子関連検査・染色体検査」の基礎から,最新知見までを広く理解できる定本テキスト!
「臨床検査技師国家試験出題基準(令和7年版)」に準拠!
●「令和7年版臨床検査技師国家試験出題基準」対応.
●「臨床検査技師学校養成所指定規則改定」対応.
●急速に発展し続ける遺伝子関連検査・染色体検査の領域について,確実に理解が進むよう基礎から丁寧に解説し,さらに新しい知見についても紹介している定本テキスト
●改定された倫理ガイドラインの更新をはじめとした内容のアップデートに加えて,より理解しやすいテキストとなるよう解説の見直しを実施.また,遺伝子関連検査および染色体検査の基本と実践について,それぞれ続けて学べるように構成の変更も行った.
【目 次】
口絵:染色体を並べてみよう―核型分析―
第1章 遺伝子の基礎
I 細胞の構造と機能
1 生物の基本単位としての細胞
2 細胞の構造と機能
1)細胞膜
2)核
3)小胞体,リボソーム
4)Golgi(ゴルジ)装置(体)
5)ミトコンドリア
6)細胞質
7)中心体
3 細胞分裂
1)体細胞分裂
2)減数分裂
4 細胞周期
II 遺伝子
1 核酸
1)核酸の基本構造
2)核酸の高分子構造
2 核酸代謝
1)核酸の合成
2)核酸の分解
3 遺伝子の構造と機能
1)DNAの構造
2)RNA
3)ミトコンドリアDNA
4 クロマチンの構造
5 DNAの複製
1)複製
2)DNA複製の校正
3)遺伝子の損傷と修復
6 遺伝情報の伝達と発現
1)転写
2)翻訳
3)遺伝子発現の調節
4)蛋白質合成
第2章 染色体の基礎
I 染色体とは
II 分裂中期核と間期核における染色体の構造
1 分裂中期核
1)セントロメアと動原体
2)テロメア:直鎖状ヒトゲノムDNAの末端の特徴的な構造
2 間期核
3 ユークロマチンとヘテロクロマチン
III 体細胞分裂と減数分裂における染色体の分離様式の違い
1 体細胞分裂における染色体の凝縮と姉妹染色分体の分離
2 減数分裂における相同染色体の対合・分離
3 減数分裂による多様性の獲得
1)減数分裂時の対合・交差・キアズマ
2)交差・組換えのメカニズム
3)X染色体とY染色体の対合
4)配偶子形成と減数分裂の進行
IV 染色体の分類
1 染色体分類・命名に関する規約
2 核型分析
1)分染法開発以前
2)分染法開発以降
V 染色体地図と遺伝子マッピング
1 遺伝子マッピング
2 染色体地図(遺伝子地図)
VI 遺伝子発現量の補正:X染色体の不活化
1 X染色体の不活化現象
2 X染色体の不活化のメカニズム
3 X染色体不活化の時期
4 X染色体の不活化とXクロマチン,ドラムスティック
5 X染色体不活化を免れる遺伝子
6 不活化X染色体と複製時期
VII 染色体異常
1 先天性異常と後天性異常
2 数的異常
1)倍数性の異常
2)異数性の異常
3)核内倍加と多倍体化
4)片親性ダイソミー
3 構造異常
1)転座(相互転座)
2)欠失
3)挿入
4)重複
5)逆位
6)環状染色体
7)同腕染色体
4 親の性差による遺伝子発現の違い:ゲノムインプリンティング(刷り込み)
第3章 遺伝子関連検査の基本
I 遺伝子関連検査の種類
1 病原体核酸検査
2 体細胞遺伝子検査
3 生殖細胞系列遺伝子検査
II 遺伝子関連検査の手法
1 サザンブロット法
1)サザンブロット法の原理
2)制限酵素処理
3)プローブの標識
4)サザンブロット法の応用
2 PCR法
1)PCR法の意義
2)PCR法の原理
3)定性RT-PCR法
4)PCRを応用した解析法
3 リアルタイムPCR法
1)リアルタイムPCR法の原理
2)リアルタイムPCR法による定量解析
3)定量RT-PCR法
4)高解像度融解曲線解析
4 デジタルPCR法
5 PCR以外の核酸増幅法
1)LAMP法
2)TMA法
3)TRC法
4)NASBA法
6 ノザンブロット法
7 シークエンス解析
1)ダイターミネーター法の原理
2)ダイターミネーター法の手順
8 マイクロサテライト解析
9 DNAマイクロアレイ法
1)網羅的な遺伝子の発現解析
2)遺伝子多型解析
3)アレイCGH法
10 FISH法
11 次世代シークエンス法
III 疾患と遺伝子関連検査
1 感染症
1)ウイルス性肝炎
2)新型コロナウイルス感染症
3)抗酸菌感染症
2 血液疾患
1)慢性骨髄性白血病
2)その他の血液腫瘍
3 固形腫瘍
1)乳がん,肺がん,大腸がん
2)家族性腫瘍
4 遺伝性疾患
5 個人識別
IV 遺伝子関連検査の精度管理
1 精度管理の考え方
2 精度管理の方法
第4章 遺伝子関連検査の実践
I 遺伝子関連検査に用いる試薬
II 遺伝子関連検査用機器とその保守管理
1 クリーンベンチ
2 安全キャビネット
3 炭酸ガス培養装置
4 恒温水槽,恒温器
5 電気泳動装置
6 遠心分離装置
7 滅菌装置
1)オートクレーブ
2)乾熱滅菌装置
8 顕微鏡
9 写真撮影装置
10 水の精製装置
11 核酸抽出装置
12 分光光度計
13 核酸増幅装置
14 ブロッティング装置
15 シークエンサ
16 次世代シークエンサ
17 遺伝子関連検査に用いるその他の器具
III 検体の取扱い
1 検体採取と前処理
1)血液の血球検体
2)骨髄穿刺液
3)血清検体
4)生検検体
5)ホルマリン固定パラフィン包埋検体
6)喀痰
7)口腔粘膜細胞
2 DNA抽出
1)フェノール-クロロホルム法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
3 RNA抽出
1)AGPC法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
4 核酸の濃度測定
5 核酸の保存
IV PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 PCR法の手順
3 ゲル電気泳動
1)アガロースゲル電気泳動
2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動
4 トラブルシューティング
1)陽性コントロールでPCR産物が得られない
2)陽性となるべき検体でPCR産物が得られない
3)陰性コントロールでもPCR産物が生じる
4)非特異的なPCR産物(目的としない複数のバンド)が生じる
V 定性RT-PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 逆転写反応
3 PCRとゲル電気泳動
VI 定量RT-PCR法の実践
第5章 染色体検査の基本
I 染色体検査法
II 分染法に基づく染色体検査
1 細胞培養~標本作製
1)検査対象
2)検査材料・採取時期
3)培養法
4)細胞回収
5)標本作製
2 分染法
1)Q分染法
2)G分染法
3)R分染法
4)C分染法
5)NOR分染法
6)姉妹染色分体分染法
7)高精度分染法
3 染色体核型解析・核型表記
1)核型解析
2)核型表記
3)核型記載について注意が必要な例
III fluorescence in situ hybridization(FISH)法に基づく染色体検査
1 核酸ハイブリダイゼーションを原理とする方法
2 ハイブリダイゼーションからin situハイブリダイゼーションへ─技術的背景
3 in situハイブリダイゼーションの種類
4 FISH法
1)FISH法に利用される標本の種類と基本的操作法
2)変性・ハイブリダイゼーション(アニーリング)・洗浄に影響する因子
3)プローブの種類
4)蛍光シグナルと細胞周期
5)FISHシグナル検出の種類
6)組織切片標本と細胞核の切断:FISHシグナル観察時の注意点
IV マイクロアレイ法
1)CGHアレイ
2)SNPアレイ
V 先天性染色体異常:染色体異常症
1 常染色体異常
1)トリソミー
2)モノソミー
2 性染色体異常
1)Turner症候群
2)Klinefelter症候群
3)脆弱X症候群
3 隣接遺伝子症候群
1)Angelman症候群
2)Prader-Willi症候群
3)Williams症候群
4)Smith-Magenis症候群
5)Miller-Dieker症候群
6)DiGeorge症候群
4 インプリンティングと疾患
5 染色体不安定症候群
1)Fanconi貧血
2)Bloom症候群
3)ICF症候群
4)PCS/MVA1症候群
VI 後天性染色体異常:がんにおける染色体異常
1 白血病・悪性リンパ腫
1)診断・分類に反映される染色体異常
2)病型特異的な染色体転座による分子メカニズム
3)腫瘍で初めて発見された染色体異常:フィラデルフィア(Ph)染色体
2 固形腫瘍
1)2ヒット説
2)2ヒット説と遺伝性腫瘍
3)SNPアレイとLOH
4)ゲノム不安定性
5)軟部腫瘍における染色体異常
3 融合遺伝子形成における染色体構造と遺伝子転写方向
VII 核型進化
VIII 染色体検査の精度管理
1 精度管理の考え方
2 精度管理の方法
第6章 染色体検査の実践
I 細胞培養・標本作製
1 細胞培養
1)培地の調製(クリーンベンチ内で操作する)
2)滅菌
2 末梢血リンパ球を用いる場合の注意点
1)採血時の抗凝固剤
2)検体量
3)検体保存
3 培養手順
1)細胞数
2)紡錘糸形成阻害剤添加
4 標本作製(細胞取り上げ)手順
1)準備(試薬)
2)低張処理:赤血球の溶血と有核細胞の膨化
3)固定
4)展開
5)乾燥(エージング)
II 染色
1 Giemsa染色による単染色
2 G分染法
3 Q分染法
4 C分染法
III 解析(G分染法)
IV FISH法
1 カルノア固定液を用いたFISH法
2 May-Giemsa染色標本を用いたFISH法
3 頬粘膜細胞を用いたFISH法
4 ホルマリン固定パラフィン包埋標本
V FISHの解析
第7章 遺伝子診療における臨床検査
I 遺伝子診療の基礎
1 遺伝型と表現型
2 バリアント(変異と多型,変異原を含む)
1)バリアント
2)遺伝毒性と変異原性
3 遺伝の法則
1)メンデルの法則
2)連鎖
4 遺伝形式
1)単一遺伝子疾患
2)多因子遺伝性疾患
3)染色体異常
5 家系図の描き方
6 遺伝カウンセリング
1)定義
2)基本理念
3)遺伝カウンセリングの特徴
4)使ってはいけない言葉
II 遺伝子診断
1 病原体核酸検査
2 体細胞遺伝子検査
3 遺伝学的検査
1)罹患者検査・診断
2)発症前検査・診断
3)保因者検査・診断
4)新生児マススクリーニング検査
5)出生前検査・診断
4 ファーマコゲノミクス
5 コンパニオン診断
6 がんゲノム医療
7 遺伝子診断のメリットとデメリット
1)遺伝子診断のメリット
2)遺伝子診断のデメリット
8 遺伝子診療に求められる人材
III 遺伝子治療
1 治療の目的
2 細胞へのDNA導入法
1)ウイルスベクター
2)非ウイルスベクター
3 遺伝子治療の対象疾患
4 遺伝子治療の問題点
1)ベクターによる有害反応
2)悪性腫瘍の発生誘導
3)必須遺伝子の不活化
IV 移植・再生医療
1 移植医療
2 再生医療
第8章 遺伝学的検査と倫理的課題
I 遺伝学的検査とは
II 遺伝学的検査の実施と各種指針
1 医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン
2 遺伝学的検査受託に関する倫理指針
3 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針