義歯治療こんなときどうする?診療室・訪問現場で困ったときのセオリーとポイント**医歯薬出版/水口 俊介/978-4-263-44698-0/9784263446980**
発行 2024年1月
判型:B5判 112頁
ISBN 978-4-263-44698-0
監修:水口 俊介 / 戸原 玄
執筆:竹前 健彦 / 並木 千鶴 / 今田 良子
義歯治療で,「こんなときどうする?」を解決するための理論とポイント集.
「動かない義歯」達成のために,義歯治療のさまざまな場面で参照できます!
・「ゆるむ」「下顎が浮き上がる」「動いて安定しない」「噛むと痛い」「大きな義歯はイヤ」・・・・・・義歯治療で遭遇する「困った」を上手く解決するための,ポイント集.
・辺縁封鎖,咬合採得,レストの調整,リライニング・・・・・・義歯製作のためのセオリーを活用しつつ「動かない義歯」を目指します.
・訪問診療の現場でも活用できる全身疾患のポイントも収載し,さまざまな場面で活用できます.「噛めない」を「噛めた」という喜びに!
【目 次】
はじめに「全部床も部分床も食べるときに動く義歯は痛い,噛めない」
動く義歯は痛くて噛めない―動かない義歯製作のためのセオリー
I―動かない義歯のための工夫,心得ておくセオリー
1 全部床義歯は辺縁封鎖と咬合調整が命
(1)印象採得のポイント
1)面倒でも個人トレーを使え(急がば回れ)
Case 1 簡単な個人トレーの試適と調整法
Case 2 準備された個人トレーが短いときに,工夫して有効に活用する方法
2)最終義歯の床辺縁の長さを考慮した個人トレーの調節
Case 3 床縁が適切な長さにできあがっている個人トレーによる上下全部床義歯のシリコーン印象:トレーがよければ短時間で優れた印象が採れる
(2)辺縁封鎖のポイント
1)全部床義歯の辺縁封鎖
2)辺縁封鎖獲得時の問題点と対応
Case 4 残根あるいはそれに近い残存歯の有効活用でオーバーデンチャー
Case 5 使えない残根でも工夫してなるべく不潔部位を減らす
(3)咬合採得のポイント
1)上下全部床義歯咬合採得の実際
2)咬合調整のしやすい排列法
3)臼歯をすべてリンガライズドオクルージョンで排列,調整する方法
4)咬合調整のポイント
5)高齢で顎関節が甘くなり1点で咬合しない.どうする?
2 部分床義歯はリジッドサポートするためのレスト支持が命
(1)前歯部天然歯は切縁レストで工夫する
Case 6 切縁レスト付与が局部床義歯に仕事をさせる
Case 7 前歯部残存歯を支台歯として準備し活用できた義歯
(2)部分床義歯リライニングのときのポイント
1)部分床義歯のリライニングは,レストに気をつける
II―こんなときどうする? 義歯治療での悩みとその対処
1 全部床義歯
(1)上顎がゆるむ,外れて落ちる
(2)下顎がゆるむ,浮き上がる,噛むと動いて安定しない,シーソーする
(3)舌小帯両サイドの封鎖と微妙な調整
Case 8 下顎総義歯が痛くて困っている→辺縁封鎖が得られず動く義歯は痛い!
Case 9 ピッタリしていて浮き上がらないが少し痛む
Case 10 顎の形が悪いから無理だといわれた
Case 11 咬合調整ヨシ,舌小帯両サイド粘膜適合状態ヨシ,顎舌骨筋線部のリリーフ状態ヨシが下顎全部床義歯安定の三大ポイント
(4)顎舌骨筋線部が当たって痛い,慢性的に当たる
(5)下顎全部床の舌側の吸着がよいのに,食べると床が浮き上がる
2 部分床義歯
(1)「動く義歯は痛い」 動かない条件
(2)こんなときどうする? 困ったときの軟性レジン材の利点
1)軟性レジン材による部分床義歯の利点について
2)臼歯部の1本義歯について
Case 12 遊離端義歯の性能アップ
Case 13 最後臼歯の1歯欠損に対して延長ブリッジにせず簡単補綴
Case 14 上顎舌側に大きな骨隆起がある場合の設計の工夫
Case 15 下顎舌側に骨隆起がある場合でも小さな義歯が設計可能
(3)大きな義歯はイヤだといわれたら
Case 16 大きな義歯はイヤだといわれたら?
(4)すれ違い咬合は難しい どうする?
Case 17 すれちがい咬合で義歯床が動くため,いろいろな材質で工夫した結果,ノンメタルクラスプの軟らかいレジン床義歯で救われた症例
(5)今残っている歯は削られたり被せられたりしたくない 現状のまま奥歯でしっかり噛める入れ歯を入れてほしい
Case 18 患者が残存歯の削合を絶対に拒否して,現状のままで義歯製作のみを強く希望
Case 19 大きな義歯はイヤだといわれたら? 残根を有効活用できたノンメタルクラスプデンチャー用軟性レジン床の効果
(6)長期入院で義歯を外していたので部分床義歯が使えない
(7)認知症患者に指を噛まれないで正確な歯科治療を行うには
3 インプラントSOS
(1)下顎の細い顎骨上で動く全部床を動かない部分床に
Case 20 ミニインプラントで動かない義歯に変貌
(2)インプラントの残骸が残っている どうする?
Case 21 Case 17の7 6支台歯で天然歯が残った義歯と同じくインプラントが残されて,上下のすれ違い咬合になっている症例
(3)インプラントの残骸を不潔域にしない工夫
Case 22 インプラントに蓋をする工夫(周囲炎を防ぐ)
4 残存歯のトラブル
(1)前歯部残根がある場合の床外型線の工夫
Case 23 前歯部床外形線の工夫を必要とする症例
(2)歯頸部歯肉が下がり鼓形空隙が多くなり食渣が入る
Case 24 臼歯部に食渣が入り込んで困る
Case 25 軟性床用レジン材の有効活用
(3)長年調子が良好で使用してきた支台歯が脱落して来院 簡単に再装着したがすぐに脱落して再来院した
Case 26 前歯部支台歯が脱離して来院した高価な義歯
(4)抜歯されると歯の抜けたところが恥ずかしいので困る/いきなりバネがみえるのはイヤだ
Case 27 患者に抜歯による不便をさせないためのノンメタルクラスプ即時義歯
(5)軟性レジン材適用の失敗例
Case 28 軟性レジン材適用の失敗例
III―義歯治療時に知っておきたい全身のポイント
1 訪問歯科診療を行う際に知っておきたい多職種連携と全身のみかた
(1)歯科医師としての多職種連携時の心得
(2)把握しておくべき全身の状態・用語
1)栄養状態に関する用語
2)血液検査の数値
3)栄養摂取方法
(3)患者の観察ポイント
1)頭
2)身体
3)口と喉
(4)咀嚼機能の評価
2 口腔癌
(1)口腔癌の疫学
(2)口腔癌の実際
(3)リスク管理
おわりに