スーパーベーシック ペリオドントロジー 改訂版**クインテッセンス出版/木村 英隆/978-4-7812-1010-0/9784781210100**
発行 2024年6月
判型:A4判 200頁
ISBN 978-4-7812-1010-0
歯周治療と外科手技の基本が学べる若手歯科医、GPのための超入門書!
2010年刊行の初版に新しい項目や最新知見、臨床例などを加え、より充実した内容とした。本書は歯周治療を1から学ぼうとする若手歯科医師、歯学部生のための臨床に即した入門書で、歯周治療の概念・外科手技を網羅的に学べるほか、歯周外科をこれから習得しようという段階の読者に向け、その基本であり予知性の高い術式である歯肉?離掻爬術、遊離歯肉移植術をはじめとした手技の実際、成功のためのノウハウが詳細に記されている。
【目 次】
はじめに 歯周治療を志すみなさまへ心を込めて
CHAPTER 1 日常臨床でしばしば遭遇する歯周疾患の症状
1.歯周疾患が原因の疼痛
1)歯肉の腫脹→“うわぁ? 歯肉が腫れている!”
2)歯の動揺→“歯がグラグラする! ”“歯が動く! "
2.救急処置
1)急性歯周膿瘍 →抗生物質の投与とスケーリングがもっとも効果的
2)歯の動揺 →ひとまず固定
3.歯周疾患とは異なる原因の疼痛
1)根尖性歯周炎-感染根管 →プローブは深く入らず歯周ポケットは浅い
2)急性歯髄炎 →歯の動揺が顕著にみられる
3)歯根破折 →無髄歯の垂直破折が特徴
4)歯根穿孔(医原性の穿孔)→治療中に誤って歯根を損傷させた
5)セメント質?離 →臨床所見は急性歯周膿瘍とほとんど同様
4.壊死性潰瘍性歯肉炎
1)患者は炎症による疼痛とは異なる痛みを訴えてくる
5.ヘルペス性歯肉口内炎(ヘルペス性歯肉炎)
6.歯周組織および口腔周囲にみられるその他の疾患
CHAPTER 2 歯周病の診査:歯周組織検査
1.歯周病の診査で行うこと
1)まずは歯周組織検査をきっちり行おう
2.診査項目 1 :プロービング深さ
1)歯周治療はプロービングから始まる
3.診査項目 2 :プロービング時の出血
1)歯周基本治療終了後,歯周外科手術後,メインテナンス以降にも評価を
4.診査項目 3 :歯肉退縮
1)歯根(セメント質)の露出量からも進行度がわかる
2)臨床的アタッチメントレベルはどう評価する?
5.診査項目 4 :歯の動揺度
1)ピンセットによる診査は要注意
2)歯の動揺度が増すのはナゼ?
6.診査項目 5 :角化歯肉の幅
1)欠如している場合は歯周外科が必要な時も
7.診査項目 6 :根分岐部病変
1)根分岐部病変の状態が予後や治療計画を左右する
8.診査項目 7 :模型
1)模型を積極的に咬合診断に役立てよう
9.診査項目 8 :口腔内カラー写真
1)規格性のある画像でなければ診査資料にはなり得ない
10.診査項目 9 :エックス線写真
1)歯や歯槽骨,周囲全体像がよくわかる! “パノラマエックス線写真”
2)確定的診断には14枚法がおススメ! “全顎口腔内エックス線写真”
11.まとめ
CHAPTER 3 治療計画の立案
1.診断
1)健全な歯周組織および歯肉炎の症例定義
2)歯周炎をステージとグレードで分類
2.治療計画
1)治療計画を左右する因子は何か? →治療の流れと期間をよく説明する
2)歯周疾患の分類 →歯周炎の進行速度を考える
3.抜歯の判断
1)客観性のある判断基準をもとう!
4.歯周治療のゴール
1)プロービング深さ 3 mm以下,動揺度 0 度を目標に!
症例1:重度であったにもかかわらず,多くの歯を保存できた例
症例2:重度で多くの歯が抜歯にならざるを得なかった例
CHAPTER 4 歯周基本治療
1.プラークコントロール
1)ブラッシング指導 →まずは歯ブラシを持って一緒に練習
2)基本は歯ブラシ →通常の歯ブラシで徹底的に磨くことを身につける
3)ブラッシング圧 →歯肉が白く貧血する程度の力で
4)PCRは何%を目標にするのか?
5)1 日に何回磨けばよいのか?
6)歯周治療に効果的な磨き方“バス法”のポイントは?
7)補助清掃器具(歯間ブラシ・デンタルフロス)はどう薦める?
8)ブラッシング指導は「治療」として考えよう →まずは指導の時間を確保!
2.スケーリング
3.超音波スケーラー
1)超音波スケーラーチップの確認
2)スケーラーの握り方とフィンガーレストの確保
3)注水 →超音波スケーラーの除去効果を知ろう
4)パワーレベルの調整
5)チップの当て方
6)ポジショニング →効率良くスケーリングができるための患者と術者の位置
4.手用スケーラー
1)ユニバーサル型とキュレット型の 2 種類
2)シャープニング →つねに切れ味のよい状態にする
5.ルートプレーニング
1)技術の習得にはそれ相当の訓練が必要
2)歯根セメント質を取り除くような過剰なルートプレーニングは必要ではない
症例3:広汎型重度歯周炎患者の歯周基本治療の効果
6.術後の知覚過敏
1)その大半が過剰なルートプレーニングに原因が……
7.歯周―歯内病変
1)残念ながら確定的な診断基準がないのが現実
8.まとめ
CHAPTER 5 再評価
1.歯周精密検査(プロービング深さ/動揺度/プロービング時の出血)
1)最終的な判断は“プロービング深さが 4 mm以上”
2)“動揺度”の評価が「咬合治療」の指標となる
2.咬合治療・咬合性外傷(固定/咬合調整)
1)咬合調整で動揺度を減少させよう
3.治療計画の決定・変更
1)歯周外科手術か,それとも抜歯かを決定する
2)その他に必要となる歯周外科処置を決定する
4.まとめ
CHAPTER 6 歯周外科手術
1.外科手術のための配慮事項
1)全身疾患の管理の重要性 →超高齢社会だけに安全確保は必須
2)とくに注意する項目 →循環器系疾患,糖尿病,ビスフォスフォネート製剤
2.歯周外科手術の分類
1)7 種類の歯周外科手術をマスターすれば全症例に対応可能
3.歯肉切除術・歯肉整形術
1)習得がとても容易! 歯肉切除術,歯肉整形術の目的
2)歯肉切除術の適応と禁忌 →角化歯肉の少ない人には実は禁忌
3)歯肉切除術の手順をマスターしよう
4)特記事項 →歯肉増殖とレーザー
4.歯肉?離掻爬術(フラップ手術/FOP)
1)難易度は中程度! 歯肉?離掻爬術は予知性の高い術式
2)歯肉?離掻爬術の適応と禁忌 →深い歯周ポケットを含む大半の症例に対応
3)歯肉弁の分類 →全層弁と部分層弁の違いとは
4)根尖側移動全層弁歯肉?離掻爬術の手順をマスターしよう
5)部分層弁(粘膜弁)→ポケット除去の目的で適用されることは稀
5.Distal Wedge Operation
1)最後臼歯遠心部に対応! →Distal Wedge Operationの目的
2)Distal Wedge Operationの手順をマスターしよう
6.Palatal Flap
1)口蓋歯肉弁の切開がポイント
7.骨外科手術:骨整形術・骨切除術
1)骨を生理的な形態に戻すことが目的
8.歯冠長延長術
1)補綴装置の予後向上および審美性改善のためには必須
2)歯冠長延長術の原則
3)歯冠長延長術の術式
9.再生療法
1)骨欠損の形態によって予後は異なる! 再生療法の目的
2)再生療法の適応と禁忌 →分岐部ClassⅢ,水平的骨欠損は予後不良
3)骨移植術 → 3 壁性の垂直性骨欠損にきわめて有効
4)組織再生誘導法(GTR法)→Emdogain(R)の登場で適用は減少
5)Emdogain(R) →再生療法の第一選択
10.遊離歯肉移植術
1)遊離歯肉移植術は歯周形成外科手術の基本
2)実に多目的! 遊離歯肉移植術の目的
3)難易度は中程度! 遊離歯肉移植術の利点と欠点
4)遊離歯肉移植術の手順をマスターしよう
11.上皮下結合組織移植術
1)審美的な成果を得るために不可欠な術式
2)上皮下結合組織による根面被覆術の手順
3)歯槽堤増大術:Seibertの分類Ⅰ級とⅡ級に最適な術式
12.小帯切除術
1)小帯の高位付着の解決手段 →ぜひともチャレンジを!
13.まとめ
CHAPTER 7 メインテナンス
1.メインテナンスの重要性
1)健康維持にメインテナンスは不可欠と患者に伝えよう
2)歯周組織検査 →初診時の治療目標を達成なしにメインテナンスには移行できない
3)全顎口腔内14枚法デンタルエックス線写真 →最終確認のための必須事項
4)口腔内カラー写真 →初診時と同様の部位を再確認
2.メインテナンスの治療内容
1)口腔内診査 →数か月で患者の状態が変わっていることもある
2)ブラッシング指導 →PCRの値は患者の関心事項でもある
3)スケーリング・ルートプレーニング →歯肉縁下プラークの除去が重要
4)歯周病の検査 →各検査の頻度を知ろう
5)咬合調整 →時間とともに変化する咬合への対応を忘れずに
6)ナイトガード →動揺が残る歯には効果的
3.まとめ
おわりに 心から感謝いたします