患者さんの治す力を引き出す歯周基本治療 トータルから口をみる**医歯薬出版/谷口 威夫/978-4-263-44728-4/9784263447284**
発行 2024年9月
判型:A4判変 160頁
ISBN 978-4-263-44728-4
患者さんのみずから治る力を引き出せれば,歯周基本治療で重度歯周病もここまで治る
「歯医者は痛くなったときだけ行けばいい」が当たり前だった1970年代から歯周基本治療に取り組み,非外科治療で多くの歯周病の患者さんたちを治してきた谷口歯科医院の臨床から,その神髄を紹介.
症例の見方,医院の治療システムの構築,ファミリードクターとしての患者さんとの関わり方など,臨床のヒントもたくさん.貴重な長期経過症例を各章に掲載しています.
【目 次】
まえがき―シーシュポスと山に魅せられて
第1章 歯周基本治療との出合い
「ジバン・カンバン・カバン」なく,そのうえ「ウデ」もなく
スタディグループの仲間に教わり,励まされて
カウンセリングを大切に
東京でしかできないのか
先生の歯科医師としての目標は何ですか?
スタッフとのコミュニケーションの場を作る
患者さんが私の先生
患者さんが教えてくれた歯間挿入振動法
歯周基本治療に目覚める
患者T.S.さんと歴史的大事件
欧米の科学に疑問
見えたぞゴール
少しでも自然に近く
科学は普遍的か?
EBMからNBMへ
子孫に対して責任を持つ
患者さんの持っている治す力を引き出す
第2章 信頼を獲得するために欠かせない8つのステップ
当院の診療システムにおける8つのステップ
1.主訴の解決
1)患者さんの訴えをよく聞いてわかってあげる
2)主訴の真意を探る
3)主訴はできるだけ1日で解決する
4)X線写真をできるだけ見ない
5)名医になれるチャンスを逃がすな
6)「その日の主訴」を見過ごさない
7)DOSからPOSへ
2.オリエンテーション
3.診査─共診査
4.診断
1)X線写真の説明
2)白紙に図を描いて説明
5.OHI(Oral Health Instruction)
6.治療─治すのは患者さん
1)SRP
2)咬合性外傷を取り除く
3)下顎位の決定,咬合の安定
4)保存か否かの決定─抜歯基準について
5)再評価
7.口腔機能回復治療
1)歯科医療のゴール
2)咀嚼機能をどこまで回復するか
8.再発予防=メインテナンス
8つのステップで進める歯周治療
第3章 私たちの歯周治療
歯周治療は自己治癒力を発揮させるための環境作り
歯周治療の大変革期の中で
私たちを歯周基本治療に夢中にさせた歯槽骨の回復
歯周外科か非外科か
「5.5mm以上はフラップ手術」という誤解はどこから?
SRPによって得られる長い上皮性付着は弱い?
忘れられない歯周病学会場の芝生─Ramfjordの「歯周療法学における諸概念の変遷」
歯周治療のゴール
私たちの歯周治療のシステム
1.現病歴の把握
2.主訴の解決
3.オリエンテーション
4.診査
5.診断(カウンセリング)
6.OHI(Oral Health Instruction)
1)食生活のアドバイス
2)ルートプレーニング
歯周基本治療のその他の処置
1.歯周組織は自ら治る力を持っている─歯の自然挺出と自然移動
2.暫間固定
3.咬合の安定とブラキシズム対策
4.下顎位の決定
5.矯正的移動
6.抜歯
再評価
確定的治療
口腔機能の回復
SPT
口腔内は人生のイベントを映し出す
第4章 若年者の歯周治療
侵襲性歯周炎とは
SPT継続の重要性を実感したケース
1.治療の経過
2.繰り返すSPT中断
生活の改善を持続することの難しさを知ったケース
1.治療の経過
1)再評価に基づく治療
2)口腔機能回復治療
2.SPT移行後
侵襲性歯周炎を長期にメインテナンスする難しさ
第5章 私たちの根分岐部病変治療
根分岐部病変が終生の課題
歯周外科が必ずしもいい結果を生むとはかぎらない
1.7 根分岐部病変への初期の頃のアプローチ
2.6 根分岐部病変へのアプローチ
3.なぜ根分岐部病変のメインテナンスは難しいのか
35年間進行しない根分岐部病変
1.オリエンテーション
2.診査
3.診断(患者さんに病状と治療方針の説明)
4.OHI
5.再評価
6.生活習慣と咀嚼能力
7.定期検診の経過
第6章 根分岐部病変とブラキシズム
学生実習のケースのつもりが新患に
1.診断
2.OHI
1)プラークコントロール
2)ルートプレーニング
根分岐部病変の急性発作
1.なぜ?
2.もしかして?
3.治療
1)起きている時の咬み締め習慣の是正
2)夜間睡眠中の自己暗示療法
3)補助的に口腔内装置を使う
第7章 私たちのブラキシズム治療
ブラキシズムのコントロールを持ち駒に
私たちのブラキシズム診断法
1.観察
2.自覚症状および他者の指摘
3.診断用OA
過度のブラキシズムによるさまざまな症状
1.知覚過敏症
2.舌痛症,頭痛
3.咬合痛,頭痛
4.頭痛,腰痛
5.歯肉クレフト
6.顎関節症
7.口腔顔面痛
第8章 歯科医療の英知を結集して挑む臼歯部咬合崩壊
歯周病と咬合崩壊
改良型ホーレーバイトプレーン適用例
1.歯周基本治療
1)OHI
2)1 1 正中離開の閉鎖
3)全顎にわたる咬合挙上と咬合再構成
2.口腔機能回復治療
3.繰り返される中断と「集中OHI」
4.マラソンとバナナ
5.まとめと考察
マルチブラケット装置適用例
1.歯周基本治療
1)OHI
2)SRP
3)食生活指導
4)抜歯
2.再評価
3.咬合挙上と咬合再構成
4.自然挺出および矯正的挺出
5.口腔機能回復治療
6.SPT移行
第9章 私たちの小児歯科
むし歯の洪水の元を絶つ
むし歯の成り立ち
砂糖との付き合い方
シュガーコントロールの考え方
1.甘いものはきっぱり断つ
2.周囲の大人が同じ価値観を持つ
3.禁止や命令でなく,自立を促す
4.直接子供に話す
2歳児とお約束?
果たしてお約束は?
きっかけの追っかけっこ
1.きっかけ(1) 恐怖?
2.きっかけ(2) 咬む力を測る
3.きっかけ(3) 小さな挑戦
4.きっかけ(4) 永久歯の萌出
5.きっかけ(5) 小学校入学
6.きっかけ(6) 6歳臼歯の萌出
1)6歳臼歯健康手帳
2)6歳臼歯が2か月で完全萌出!
3)永久歯の萌出完了まで
第10章 私はどれだけの歯をみてきたか―歯科医としての自身の評価
抜歯の観点からの評価
1.う蝕
2.歯周病
3.破折
歯周基本治療の成果
1.対象
2.結果
3.私たちの歯周基本治療