精神科研修ノート 改訂第3版**診断と治療社/永井 良三/978-4-7878-2652-7/9784787826527**
発行 2024年12月
判型:A5判 688頁
ISBN 978-4-7878-2652-7
【シリーズ総監修】
永井 良三(自治医科大学 学長)
【編 集】
笠井 清登 (東京大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 教授)
村井 俊哉(京都大学大学院 医学研究科 精神医学講座 教授)
内田 裕之(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室 教授)
近藤 伸介(東京大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 講師)
大島 紀人(東京大学 相談支援研究センター 精神保健支援室 室長)
精神科医を志す専攻医・若手医師を対象に,心構えからコミュニケーション,症候学,診断と治療,各種法律・制度や書類の書き方まで,精神科診療に携わるうえで必要とされる基礎から実践までの知識を網羅し余すところなく収載.DSM-5-TRに対応し,前版でも大好評の執筆陣によるコラムも内容を刷新して引き続き収録.コ・プロダクション,障害の社会モデル,多職種連携といった,これからの精神科診療に活かせる改訂第3版.
【目 次】
第1章 精神科研修へのアドバイス
A 精神科医を志す専攻医・研修医・学生の皆さんへ
1 コ・プロダクションの時代の専門職
2 精神科医を目指すあなたへ:若手精神科医からのメッセージ
3 若手精神科医へのメッセージ:人生行動科学としての精神医学
4 若手精神科医へのメッセージ:精神医学のサブジェクトマター
5 若手精神科医へのメッセージ:文化精神医学(臨床人類学)への誘い
6 若手精神科医へのメッセージ:「私たちの精神疾患」で伝えたかったこと
7 若手精神科医へのメッセージ:これからのだいじょうぶな社会を目指して―当事者から
8 若手精神科医へのメッセージ:ピアサポートの立場から
9 若手精神科医へのメッセージ:当事者研究とコ・プロダクションの視点
B 基本的素養
1 社会モデル・人権モデルの時代の心の臨床
2 トラウマインフォームドケア
3 精神医学・医療におけるダイバーシティとインクルージョン
4 アンチスティグマとPPI
1)スティグマ
2)患者・市民参画(PPI)
5 当たり前に使われる言葉に生きづらさの原因はないのか?
C 研修の概要
1 専門研修プログラムの選びかた
2 専攻医のライフスタイル
3 精神保健指定医取得・専門医取得に向けて
4 総合病院精神科での研修の重要性
D サブスペシャルティ
1 児童精神医学
2 コンサルテーション・リエゾン精神医学
3 老年精神医学
4 司法精神医学
5 アディクション
6 てんかん
7 サイコオンコロジー
8 災害精神医療
9 精神科救急
E 勉強のしかた
1 研修の到達目標
2 教科書,参考書の選びかた
3 カンファレンスの聞きかた,発表のしかた
4 精神科医にとって研究とは何か
5 臨床倫理と研究倫理
6 大学院・医学博士・海外留学
7 学会での症例報告の準備と発表のしかた
8 医学論文の読みかた・書きかた・英文
9 仕事と子育ての両立
F 医療現場でのコミュニケーション
1 医療コミュニケーションの基本
2 精神疾患とコミュニケーション
3 家族とのコミュニケーション
4 リエゾン場面でのコミュニケーション
5 救急医療でのコミュニケーション
6 移植医療における精神科の役割
7 精神科における臨床心理士の役割
8 精神科における精神保健福祉士の役割と連携
9 精神科における看護師の役割
10 精神科作業療法における作業療法士の役割
11 精神科における薬剤師の役割
12 精神科におけるピアサポートワーカーの役割
13 学校との連携
14 職場との連携
15 地域の支援者との連携
第2章 精神科研修でマスターすべきこと
A 精神疾患の疫学
■ 精神疾患の疫学
B 脳科学からのアプローチ
■ 脳のはたらき
C 面接・評価方法
1 面接の技法・マナー
2 カルテの書きかた
3 予診のとりかた
4 精神科診断学入門
5 身体疾患のスクリーニング
6 症状評価
7 入院適応の決定
8 行動制限
9 入院治療のリスク管理(転倒,血栓,自殺・自傷行為,暴力行為)
10 小児の診かた
D 検査法
1 神経心理学的検査
2 心理検査① ―投映法―
3 心理検査② ―質問紙法―
4 精神疾患のための臨床脳波学
5 精神科で必要なCT/MRIの見かた
6 精神科で必要な核医学検査
7 光トポグラフィー
E 治療法
1 生活・人生と医療
2 薬物療法
1)総 論
2)睡眠薬・抗不安薬
3)抗うつ薬
4)抗精神病薬
5)抗てんかん発作薬
6)気分安定薬
7)小児における向精神薬の使用
8)身体科入院中の患者における向精神薬使用の留意点
9)高齢者における向精神薬の使用
10)向精神薬と妊娠
11)向精神薬のリスク
12)薬物療法の適正化
13)漢方薬の使いかた
3 精神療法
1)支持的精神療法
2)精神分析的精神療法
3)認知行動療法
4)マインドフルネス認知療法
4 電気けいれん療法(ECT)
5 精神科リハビリテーション
6 うつ病患者のリカバリー支援
7 心理教育-実感と納得に向けた病気と治療の伝えかた
第3章 症候からみる状態像
A 症候からみる状態像
1 精神症候の診かた
2 意 識
3 記 憶
4 注 意
5 知 能
6 知 覚
7 思 考
8 感 情
9 意欲・動機
10 自己意識と同一性
第4章 疾患ごとの診断と治療
A 統合失調症
1 統合失調症
2 統合失調感情症
3 妄想症
4 カタトニア
B 気分症
1 うつ病
2 身体疾患とうつ病
3 認知症とうつ病
4 双極症
C 不安症
1 社交不安症
2 パニック症
3 全般不安症
4 強迫症
D ストレス関連症
1 心的外傷後ストレス症
2 適応反応症
E 解離症
■ 解離症群
F 身体症状症/作為症
1 身体症状症
2 作為症
G パーソナリティ症
1 パーソナリティ症群
2 ボーダーラインパーソナリティ症(ボーダーラインパターン)
H 摂食症
1 神経性やせ症
2 神経性過食症
I 睡眠・覚醒障害
1 不眠症
2 睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害,レストレスレッグス症候群)
3 睡眠時無呼吸症候群
4 ナルコレプシー
J 物質使用症・嗜癖症
1 薬物依存
1)医療で用いる薬物
2)不法薬物 宮里勝政
2 アルコール使用症
3 嗜癖行動症
K 神経認知障害
1 Alzheimer病
2 血管性認知症
3 前頭側頭葉変性症
4 Lewy小体型認知症
5 高次脳機能障害
6 せん妄
7 てんかん
8 二次性精神または行動の症候群
9 薬剤による精神症状
10 神経疾患と精神症状
L 幼・小児,青年期に発症する障害
1 知的発達症
2 自閉スペクトラム症
3 注意欠如多動症
4 限局性学習症
5 チック症群
M 性別違和
■ 性別違和
第5章 知っておくべき法律・制度,書類の書きかた
A 知っておくべき法律・制度,書類の書きかた
1 守秘義務
2 精神保健福祉法
3 知的障害者福祉法
4 発達障害者支援法
5 障害者差別解消法
6 障害者総合支援法と地域での暮らしを支える資源とサービス
7 障害年金制度
8 介護保険制度
9 成年後見制度
10 心神喪失者等医療観察法
11 物質使用症関連の法律
12 精神障害者に係る欠格事項(運転免許を中心として)
13 保険診療,診療報酬
14 精神科における診断書
15 紹介状とその返事
16 処方箋
17 入院診療計画書,説明・同意書
18 退院サマリー
19 英文紹介状の書きかた
付録
■ 略語一覧
Column
医師からの後押し~ピアサポートへの扉~
専攻医コラム:精神医学の多様性と沈黙
医療者のトラウマ反応に注意
スティグマは誰にでもある
当事者と一緒に作成した満足度アンケート
望ましくない言葉に出会ったときにできること
大学医局への入局のススメ
「成長曲線は横一線」
4D
エイジズム
サイコオンコロジーの魅力
治療反応性のない患者などいない
抄読会の勧め
オンライン発表とオンサイト発表の違い
私の経験から
患者とみなされた人(identified patient:IP)という考えかた
アルコール性肝硬変に対する肝移植
スクリーニング用の自己記入式尺度
「治癒」から「リカバリー」へ
チームの一員として
「ピアサポートの精神」と「世界人権宣言」
学校との連携
診療上のバランス感覚
社会脳
臨床医だからできる“逆”橋渡し研究のすすめ
大切なことが話される時
治療のキモ
診断は謙虚に,臨機応変に
検査をするか否か
精神医学における診断と治療
脳波と心電図の比較
核医学検査の安全性について
不眠に用いる漢方薬
抗精神病薬処方時のポイント
抗てんかん薬から抗てんかん発作薬へ
リチウム中毒
リスデキサンフェタミンと「覚醒剤」
せん妄に対するハロペリドール点滴静注
多職種連携における医師の専門性
定期的な身体管理は重要
健康教育の重要性
“どん底”療法
“マインドフルネス=瞑想?”
精神科リハビリテーションにおける個別の支援
デイホスピタルのメンバーより
ともに教え学ぶ心理教育
患者や家族の訴えを検証することの重要性
患者さんとのおしゃべりの中で記憶障害を探る
臨床場面における注意障害の評価と鑑別
discrepancy
幻覚妄想と医師の微笑み
居場所と役割と仲間が支える回復と成長
19世紀~20世紀のカタトニア
DSMの使いかた
身体疾患をもつ患者のうつ病診断に潜むミスコミュニケーション
前頭側頭型認知症とうつ病
双極症の治療者の使命とは
逃げるだけじゃだめ! 苦痛の回避は,苦悩の温床
飲む認知行動療法:ジャマイカ作用に注意!
楽観バイアスをもたせる指導が有効!
PTSD概念・診断の変遷
PTSDと医療
適応反応症に対する雑感
解離症への興味から
カルテと処方箋から,身体症状症の治療に精通している医師かどうかが見抜ける
BPD患者の家族に対する対応
パーソナリティ症と「うつ病」を自称する若者たち
「やせようと思ってやっている」行動なのか?
入院後に体重が増えない状況
江戸時代の症例
私たちの仕事はレッテルを貼ることではない
併存症
睡眠不足症候群
薬物依存関連用語
嗜好品依存
危険ドラッグ,脱法ドラッグ,違法ドラッグ
精神症症状について
認知症の臨床現場から
ヒドロキシジン(アタラックス?-P)について
言葉を発しない興奮に注意!
研修の心得
本人への診断の説明,告知
不注意=ADHD?
限局性学習症の診察に関連する用語や略称について
性別違和と精神科医のアイデンティティ
医師が秘密漏示罪で刑事責任を問われた事例-“僕はパパを殺すことに決めた”事件-
大学などの高等教育機関での障害者支援
医者がすべての情報をもっているとは限らない
社会の潮流からみた成年後見制度
説明責任と責任分散
刑罰と治療,どちらが大事?
新規個別指導
タイムカプセル
Hellaのオフィス -ファミリーセラピースーパービジョン-