コンパス生化学 改訂第3版**南江堂/前田 正知/978-4-524-40447-6/9784524404476**
発行 2025年3月
判型:B5判 496頁
ISBN 978-4-524-40447-6
編集:前田 正知 / 浅野 真司
「わかりやすい・ミニマムエッセンス」がコンセプトの生化学の教科書.基本事項をわかりやすく解説するだけでなく,薬理学へのつながり,疾病とのかかわりもコラム等で多数紹介.今改訂では各種情報を最新のものに更新し,全体にわたり表現の見直しを行ったほか,電子版付とした.薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)対応.電子版限定付録として,生化学領域の薬剤師国家試験過去問題集と動画のリンク集を収載.
【目 次】
Ⅰ部 生命体の成り立ち
1章 細胞・組織・器官
A 細胞:生物の基本単位
①細 胞
②原核生物と真核生物
③細胞小器官
④膜構造をもたない細胞内構造
⑤染色体
B ヒトの体の成り立ち
①ヒトの体の階層性
②組 織
③器 官
④系
Exercise
Ⅱ部 生体成分の構造・機能
2章 生体成分
①生体成分
②ヒトの体を構成する元素
③主な生体分子
Exercise
3章 糖 質
A 糖質の構造と分類
①糖質とは
②単 糖
③糖質の名称の付け方
④アルドヘキソース
B グルコース:最も大切な糖質
①d-グルコース
②水溶液中でのd-グルコースの構造
C グルコース以外の代表的な単糖,二糖
①d-グルコース以外の代表的な
アルドヘキソース
②代表的なケトース,d-フルクトース
③その他の代表的な単糖
④単糖誘導体
⑤代表的な二糖類
⑥糖の還元性
D 代表的な多糖
①ホモ多糖
②ヘテロ多糖
③複合糖質
E 糖質の定性および定量試験法
①糖質の定性試験法
②酵素を用いたグルコースの定量
Exercise
4章 アミノ酸・ペプチド
A アミノ酸の構造と性質
①アミノ酸の基本構造
②20種類の標準アミノ酸
③アミノ酸の種類
④アミノ酸誘導体ホルモン
⑤アミノ酸の滴定曲線
B アミノ酸の定性および定量方法
①アミノ酸の定性反応
②アミノ酸の分離・定量
C ペプチドの構造と生理活性
①ペプチドとペプチド結合
②グルタチオン
③ペプチド性ホルモンと生理活性ペプチド
Exercise
5章 タンパク質
A タンパク質の構造
①タンパク質の階層構造
②タンパク質の一次構造
③タンパク質の二次構造
④タンパク質の三次構造
⑤タンパク質の四次構造
⑥タンパク質の高次構造の形成
⑦タンパク質の変性と再生
⑧タンパク質の翻訳後修飾
⑨タンパク質の細胞内局在
10
タンパク質の品質管理 B 細胞内プロテアーゼの役割
①タンパク質の成熟とプロテアーゼ
②アミノ酸の再利用に働くプロテアーゼ
③ユビキチン?プロテアソーム系
④カスパーゼとアポトーシス
C タンパク質の分類と機能
①タンパク質の機能による分類
②タンパク質の化学組成による分類
③細胞骨格を形成するタンパク質の種類と役割
④免疫グロブリンの構造と機能
D タンパク質解析の基礎技術
①タンパク質の分離・精製と分子量の測定法
②タンパク質のアミノ酸配列決定法
③タンパク質の定性・定量試験法
Exercise
6章 酵 素
A 酵 素
①酵素とは
②触媒による活性化エネルギーの低下
③酵素の分類と命名
④酵素と疾患・薬
B 酵素の触媒反応のメカニズム
①酵素の活性部位
②セリンプロテアーゼの触媒機構
③補酵素
④多酵素複合体
⑤酵素の最適条件
C 酵素の反応速度論
①ミカエリス・メンテンの式
②ミカエリス・メンテンの式からわかること
③ラインウィーバー・バークプロット
D 酵素活性の阻害
①不可逆阻害
②可逆阻害
E 酵素反応の制御
①発現レベルの調節
②分解による調節
③タンパク質間相互作用による酵素活性の調節
④限定分解による酵素活性の制御
⑤低分子の共有結合による制御(翻訳後修飾)
⑥アロステリック制御
F 代表的な酵素の活性測定法
Exercise
7章 核酸・ヌクレオチド
A 核酸の構成成分
①塩 基
②糖
③ヌクレオシド
④ヌクレオチド
⑤その他の特殊な塩基,ヌクレオシドを含む重要な化合物
B DNA,RNAの構造と機能
①DNAの基本構造と性質
②RNAの基本構造と機能
Exercise
8章 ビタミン・金属
A ビタミンとは
B 水溶性ビタミン
①ビタミンB群
②ビタミンC
C 脂溶性ビタミン
①ビタミンA
②ビタミンD
③ビタミンE(トコフェロール)
④ビタミンK
D 必須微量元素
Exercise
9章 脂 質
A 脂質の特徴と分類
①脂質の特徴と役割
②脂質の分類
③脂肪酸
④中性脂肪
⑤ろ う
⑥リン脂質
⑦糖脂質
B イソプレノイド
①テルペン
②ステロイド
C エイコサノイド
Exercise
10章 生体膜と輸送
A 生体膜の構造と性質
①生体膜の共通性質
②脂質の存在状態と役割
③膜タンパク質の存在状態と役割
B 生体膜を横切る溶質の輸送
①受動輸送
②能動輸送
C 膜動輸送(小胞輸送)
①エンドサイトーシス
②エキソサイトーシス
③オートファジー
④小胞の細胞内運搬機構
Exercise
Ⅲ部 代 謝
11章 異化と同化
①自由エネルギー
②エンタルピーとエントロピー
③標準自由エネルギー変化
④異化と同化
⑤エネルギー通貨としてのATP
⑥物質輸送とATP
⑦ADPとATPの量比は細胞のエネルギー状態を示す
⑧ATPが高エネルギー化合物である根拠
⑨食物中の栄養成分の消化・吸収・体内運搬
Exercise
12章 糖質代謝
A 糖質の消化・吸収・体内運搬
B 解糖系
①解糖系の反応
②解糖系のエネルギー収支
③解糖系の調節機構
④グルコース以外の単糖の解糖系へのエントリー
⑤乳酸発酵とアルコール発酵
C クエン酸回路
①ピルビン酸からアセチルCoAへ
②クエン酸回路の反応
③クエン酸回路の調節機構
④アミノ酸・脂肪酸の代謝とクエン酸回路
D 電子伝達・酸化的リン酸化
①電子伝達系
②酸化的リン酸化によるATPの合成
③細胞質NADHのミトコンドリアへの輸送
④グルコースの代謝によるATP合成の収支
⑤ATP合成の阻害剤
E ペントースリン酸回路
①ペントースリン酸回路の反応
②NADPHの役割
F グリコーゲンの機能と代謝
①グリコーゲンの機能・構造
②グリコーゲンの生合成・分解
G 糖新生
①糖新生の反応
②糖新生と解糖系のエネルギー収支の比較
③糖新生の基質
H インスリンとグルカゴン
①インスリンとグルカゴン
②血糖値の変動とその調節
③ インスリンおよびグルカゴンによる代謝調節
④グリコーゲン代謝の調節
⑤糖新生の調節
I
エネルギー産生経路の調節と糖尿病 ①摂食・吸収時と空腹時・飢餓状態のエネルギー代謝
②ケトン体の生合成と利用
③ 糖尿病と糖代謝
Exercise
13章 脂質代謝
A 脂肪酸の生合成・分解とエネルギー代謝
①脂肪酸の代謝における位置づけ
②脂肪酸の生合成
③不飽和脂肪酸の生合成
④脂肪酸の分解
⑤脂肪酸の運命
⑥β酸化によるエネルギー産生効率
B コレステロールの生合成と代謝
①コレステロールの代謝
②コレステロールの生合成
③胆汁酸
④ステロイドホルモン
C 脂質の吸収と運搬
①血漿リポタンパク質
②小腸からの脂質の吸収
③リポタンパク質とコレステロールの運搬
④コレステロール量のフィードバック制御
⑤脂質異常症
⑥脂溶性ビタミンの吸収と運搬
D リン脂質の生合成と代謝
①リン脂質の生合成
②リン脂質分子の分子種制御
③リン脂質代謝産物と生理活性
E エイコサノイド
①アラキドン酸カスケード
②プロスタグランジンとトロンボキサン
③ロイコトリエン
Exercise
14章 アミノ酸代謝
A アミノ酸の供給と利用
①体内でのアミノ酸の役割と利用
②アミノ酸の供給
B アミノ酸の窒素の代謝
①アミノ基転移反応
②酸化的脱アミノ反応
③尿素回路
④アミノ基の運搬
C アミノ酸の炭素骨格の代謝
①アミノ酸代謝とクエン酸回路
②ケト原性アミノ酸と糖原性アミノ酸
③主なアミノ酸の分解経路
④アミノ酸の代謝異常症
D アミノ酸代謝による生理活性物質の生合成
①脱炭酸反応による生理活性アミンの生合成
②ポルフィリンとヘム代謝
③その他の生理活性物質
E 一酸化窒素(NO)の生合成と役割
①一酸化窒素(NO)の生合成
②NOの作用機序
③NOの生理作用
Exercise
15章 ヌクレオチド代謝
A ヌクレオチドの生合成
①プリンヌクレオチドの生合成
②ピリミジンヌクレオチドの生合成
③リボヌクレオチドからデオキシリボヌクレオチドへの変換
B ヌクレオチドの分解
C セカンドメッセンジャーとしてのサイクリックヌクレオチドの生合成と分解
①サイクリックヌクレオチドの生合成
②サイクリックヌクレオチドの分解
D 細胞内高分子核酸の合成と分解
①細胞内高分子核酸の合成
②細胞内高分子核酸の分解
Exercise
16章 遺伝情報
A セントラルドグマ
①セントラルドグマ
②セントラルドグマの修正
③遺伝子とコドン
B 複 製
①複製開始反応
②新生鎖の合成
③染色体の末端複製問題
C 転 写
①転写に関与する分子
②転写開始反応
③転写伸長反応と転写終結反応
④転写の調節機構
D 翻 訳
①翻訳装置リボソーム
②アミノアシルtRNAの合成
③翻訳開始反応
④翻訳伸長反応
⑤翻訳終結反応
E 変異と修復
①変異の起きるDNAの部位
②コドンの変化がアミノ酸配列に及ぼす効果
③DNA損傷の修復機構
Exercise
17章 代謝調節
A 代謝経路の全体像
B 細胞が細胞外からの情報に応答するメカニズム
①細胞の情報伝達の基本様式
②情報伝達に関わる分子
C ホルモンによる調節
①ホルモンの分泌調節とその異常
②遺伝子発現を調節するホルモン
D アポトーシスの誘導
①イニシエーターカスパーゼとエフェクターカスパーゼ
②内因性経路(ミトコンドリア経路)
③外因性経路(死の受容体経路)
Exercise
Exercise解答
本書で対応する薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)一覧
コラム目次
■豆知識
1章 ゴルジ体の発見者ゴルジ 細胞小器官の名前
けなげな小腸上皮細胞
アドレナリンとエピネフリン
膵臓は内分泌系か外分泌系か
あら意外.こんなところからもホルモンが分泌される
2章 血液成分 カルシウム:細胞毒でも使い方次第
3章 甘くない糖 カロリー0(ゼロ)の糖質
4章 D体のアミノ酸 アミノ酸の雑学
セレン含有アミノ酸を含むタンパク質
生体内ホルモンで,血糖値降下を示すのはなぜインスリンだけなのか?
ブラジキニンの由来とは
5章 ドラッグリポジショニング タンパク質の構造におけるモチーフとドメイン
6章 再生しない酵素 7章 シャルガフの法則 8章 ビタミン発見の歴史(ビタミンB1と国民病である脚気) ビタミンに欠番がある理由
9章 脂肪細胞 10章 流動モザイクモデル
11章 1日に必要なATP量は体重並みの量
ATPのもつ3つの顔
12章 ヘキソキナーゼとグルコキナーゼ
標準還元電位(E°)
パスツール効果
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症とマラリア耐性
13章 LCAT,ACATとコレステロールエステル
脂肪酸組成とエイコサノイド
14章 グルタチオン抱合と解毒
16章 エキソソーム
17章 情報伝達物質の分類の曖昧さ
核内受容体は代謝センサー
■医薬品の知識
3章 医薬品ヘパリン ヘマグルチニンタンパク質とノイラミニダーゼ阻害薬
4章 レニン・アンジオテンシン系阻害薬 〔アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)〕
5章 選択的エストロゲン受容体分解薬 プロテアソーム阻害薬
微小管と植物アルカロイド
6章 酵素薬 自殺基質
7章 生理活性物質としてのヌクレオシド・ヌクレオチド 核酸アナログである医薬品
8章 高カロリー輸液によるアシドーシスを回避するためのビタミンB1補給 9章 プロスタグランジン製剤 アナフィラキシーの遅反応性物質と気管支喘息の治療薬
10章 糖尿病治療薬─SGLT2阻害薬
消化管コレステロール輸送体NPC1L1と脂質異常症治療薬
12章 糖新生を抑える糖尿病治療薬:ビグアナイド薬とグリミン薬
遺伝子組換えインスリン製剤
インクレチンによるインスリン分泌の促進
13章 細胞のもつLDL受容体制御系を利用した血漿コレステロール低下薬
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)
14章 L-ドーパ
抗うつ薬
狭心症治療薬
15章 高尿酸血症・痛風治療薬
抗悪性腫瘍薬
抗菌薬
16章 DNAトポイソメラーゼを標的とする医薬品
転写の阻害薬
リボソームを標的とする抗菌薬
■疾病の知識
3章 糖尿病の合併症とソルビトール ポンペ病
5章 鎌状赤血球貧血症とヘモグロビンの立体構造 高次構造の変化と疾患:プリオン病とインフルエンザ
サリドマイド胎芽症
一酸化炭素やシアン化合物はヘモグロビンに働き中毒を起こす
中間径フィラメントと病態・疾患との関連
9章 抗リン脂質抗体症候群 スフィンゴ脂質蓄積症(スフィンゴリピドーシス)
シトステロール血症
10章 嚢胞性線維症
12章 ラクトース不耐性
グルコース輸送体(GLUT)を高発現するがん細胞
13章 家族性高コレステロール血症
小児喘息とPAFアセチルヒドロラーゼ
14章 高アンモニア血症と尿素回路の代謝異常症
新生児マススクリーニング対象疾患のアミノ酸代謝異常症
ポルフィリン症
黄 疸
15章 レッシュ・ナイハン症候群
重症複合免疫不全症(SCID)
16章 NER関連タンパク質の変異に起因する疾患
■臨床検査
5章 糖化ヘモグロビン,HbA1c と糖尿病診断 6章 酵素を用いた検査マーカーの測定 12章 Cペプチド検査(CPR)
13章 メタボリック症候群(メタボリックシンドローム)
14章 臨床検査におけるASTとALTおよびγ-GTP
腎機能検査
■分析法
7章 核酸の定量法 9章 脂質の抽出と分析 10章 FRAP(蛍光退色回復法)による拡散速度の測定