管理栄養士論 第2版**医歯薬出版/日本栄養改善学会/978-4-263-72040-0/9784263720400**
管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム準拠 第1巻
専門職として求められる10の基本的な資質・能力
発行 2025年3月
判型:B5判 200頁
ISBN 978-4-263-72040-0
監修:日本栄養改善学会
編:村山 伸子 / 武見 ゆかり
管理栄養士に求められる“10の資質・能力”を解説する,専門職教育の決定版が改訂!
●「管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」準拠.
●管理栄養士として求められる基本的な資質・能力として,「プロフェッショナリズム」「栄養学の知識と課題対応能力」「栄養・食の質と安全の管理」「連携と協働」など10項目を示し,これらを学ぶことで人々の健康と幸福に貢献できる管理栄養士の養成をめざす,新しい専門職教育のテキスト.
【目 次】
Chapter 1 プロフェッショナリズム
1.管理栄養士の歴史と使命
1)管理栄養士の歴史
(1)栄養学の導入と栄養士の誕生
(2)栄養士制度と栄養改善活動
(3)管理栄養士の誕生と2000年法改正
2)管理栄養士の使命
(1)生活習慣病対策と管理栄養士の使命
(2)医療,福祉における役割
2.栄養の専門職としての職業倫理
1)管理栄養士の職業倫理
(1)栄養や食品に関する倫理
(2)栄養業務の変化と管理栄養士の職業倫理
(3)管理栄養士に求められる職業倫理
(4)職業倫理を検討する際のポイント
3.生命の倫理(香川靖雄)
1)生命倫理,綱領,生命観
(1)生命倫理
(2)生命倫理の綱領
(3)生命観
2)個体の死の概念・定義および生物学的な個体の死
(1)個体は有機的統一体
(2)脳死における個体死の判定
3)医療科学技術の進歩に伴う生命倫理の変遷
(1)問題提起:延命医療の苦しみ
(2)安楽死と尊厳死の可能な諸国
(3)日本における末期患者と栄養補給の中止
(4)安楽死事件の違法性阻却6要件
(3)解決策:緩和医療,尊厳死法制化
4.法令に基づく管理栄養士の役割と業務
1)法令(法律,政令,省令)とは
2)社会保障制度の持続の確保
(1)栄養士法
(2)健康増進法とその制定の経緯
3)栄養士法第1条の定義にある業務を遂行するための保健,医療,福祉・介護,教育分野に係る主な関連法令
(1)地域保健法
(2)母子保健法
(3)高齢者の医療の確保に関する法律
(4)医療法
(5)食品表示法
(6)食品衛生法
(7)食育基本法
(8)学校給食法
(9)学校教育法
Chapter 2 栄養学の知識と課題対応能力
1.栄養学の定義と栄養学の歴史
1)栄養の定義
2)栄養素
3)栄養に影響を与える因子
4)栄養が影響をする事柄
5)栄養学の定義
6)栄養学の歴史
(1)エネルギー
(2)たんぱく質
(3)ビタミン,ミネラル
(4)生化学の発展,遺伝子の分子的理解と栄養学
2.人と栄養・食の関係性
1)栄養学における2つのアプローチ
2)物は食べられて食品になる
3)量・反応関係
4)機能と効果
5)多要因
6)まとめ
3.栄養に関する情報リテラシー
1)情報リテラシーとは何か
2)科学的根拠に基づく栄養学(EBN)
3)文献検索サイトと大学図書館
4)論文の優劣
5)知的生産物の流れ
6)情報バイアス
(1)情報のつくり手
(2)情報の伝え手
(3)情報の使い手
(4)知識勾配
7)情報倫理
8)まとめ
Chapter 3 個人の多様性の理解と栄養管理の実践
1.人々の価値観や社会的背景の多様性
1)食生活の多様性を生み出す人間の食行動
2)個人の食生活の多様性を捉えるための広く深い視野
2.適切な栄養管理のための全人的理解
1)対象者に寄り添い,適切な栄養管理を行うための食生活の多様性の理解
事例(1):児童の食生活と多様性の理解―現実と理想の食事のギャップが埋まらないままに食事が繰り返されている事例
事例(2):地域在住高齢者の食生活の多様性の理解―家族と周囲の支えで自分らしい食生活を維持し実践している事例
事例(3):糖尿病患者の食生活の多様性の理解―病態と食嗜好・食事観の折り合いがつかないまま食事が繰り返されている事例
2)適切な栄養管理を行うために管理栄養士に求められる食生活の多様性の理解
Chapter 4 社会の構造の理解と調整能力
1.社会構造の理解と栄養対策
1)食物提供の環境
2)社会環境
3)経済環境
4)情報環境
2.栄養対策のための地域のネットワークのマネジメント
1)栄養・食生活関連の関係者(主体)の活動を栄養改善のために調整する
2)栄養対策のための地域のネットワークのマネジメント事例
(1)地域の健康課題の解決に向けた栄養・食生活関連のネットワークとマネジメント
(2)地域包括ケアの推進に向けた栄養・食生活関連のネットワークとマネジメント
(3)社会経済的要因による栄養格差の縮小に向けた栄養・食生活関連のネットワークとマネジメント
Chapter 5 栄養・食の選択と決定を支援するコミュニケーション能力
1.対象者の主体性を尊重したコミュニケーション
1)管理栄養士業務におけるコミュニケーションの役割
2)コミュニケーションとは
3)対象者の主体性を尊重したコミュニケーション
4)共同意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング)
2.対象者との適切なコミュニケーション
1)適切なコミュニケーションと管理栄養士の態度
2)言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
3.適切なコミュニケーションのための対象者の理解
1)対象者を理解する必要性
2)多様な食の価値観の受容
Chapter 6 栄養・食の質と安全の管理
1.安全で質の高い栄養・食事管理
1)栄養管理と栄養・食事管理
2)食事の質
3)栄養・食事管理のプロセス
4)安全な食事
5)喫食面からの安全な食事
6)安全で質の高い栄養・食事管理のために管理栄養士に求められるスキル
2.栄養・食に関するリスク
1)栄養・食と健康との関わり
2)感染症の広がりによる健康危機
3)食料の確保
4)自然環境
5)フードシステムと食の外部化・簡便化
3.緊急時の栄養・食事管理
1)自然災害時の栄養・食事管理
2)事故や災害発生時の給食施設での栄養・食事管理
Chapter 7 連携と協働
1.管理栄養士の役割と関係職種との連携・協働
1)ライフコースや要配慮者の栄養状態改善・維持に管理栄養士が関与
(1)妊娠期から乳幼児期
(2)学齢期
(3)成人(青壮年期,中年期)
(4)高齢期
(5)傷病者
(6)被災者
2)医療機関で働く管理栄養士「医療チームの一員として疾病の早期治癒に貢献」
(1)医療機関での役割
(2)関係職種との連携・協働
3)学校で働く管理栄養士「成長期に必要な食事と栄養に関する知識を提供」
(1)学校での役割
(2)関係職種との連携・協働
4)福祉施設(児童福祉施設)で働く管理栄養士「子どもの発育・発達を栄養面からサポート」
(1)児童福祉施設での役割
(2)関係職種との連携・協働
5)福祉施設(高齢者・障がい者施設)で働く管理栄養士「個々の身体機能に応じた適切な食事提供」
(1)高齢者・障がい者施設での役割
(2)関係職種との連携・協働
6)行政で働く管理栄養士「乳幼児から高齢者まで地域住民の健康づくり」
(1)行政(地域保健分野)での役割
(2)関係職種との連携・協働
7)勤労者施設(事業所や給食会社等)で働く管理栄養士「働く人の健康づくりをサポート」
(1)勤労者施設での役割
(2)関係職種との連携・協働
8)自衛隊や矯正施設で働く管理栄養士「防衛省,法務省と活躍の場は幅広く」
(1)自衛隊や矯正施設での役割
(2)関係職種との連携・協働
9)スポーツ現場で働く管理栄養士「スポーツ選手やスポーツ愛好家に栄養サポートを」
(1)スポーツ現場での役割
(2)関係職種との連携・協働
10)食品関連企業・団体で働く管理栄養士「食環境の食物へのアクセス・情報へのアクセスを通じて健康づくりに貢献
(1)食品関連企業・団体での役割
(2)関係職種との連携・協働
11)フリーランスで働く管理栄養士「食生活の困りごとを相談できる身近なアドバイザー」
(1)フリーランスの現場では
(2)関係職種との連携・協働
12)教育・研究機関で働く管理栄養士「管理栄養士・栄養士の養成,栄養学の研究と地域貢献」
(1)教育・研究機関での役割
(2)関係職種との連携・協働
2.連携・協働のために必要な力(協調性とリーダーシップ)
1)管理栄養士がめざすべき姿
2)他職種連携と多職種連携
3)連携・協働のために必要な力
(1)協調性
(2)リーダーシップ
(3)チームワーク
まとめ
Chapter 8 栄養の専門職としてのアドボカシー能力
1.栄養の専門職としてのアドボカシー能力
1)アドボカシーとは
2)栄養の専門職になぜアドボカシー能力が必要か
3)アドボカシーの領域
4)アドボカシーを進めるプロセス
5)アドボカシーに必要な資質
2.国際的な視野での栄養・食の課題
1)世界の栄養・食の課題
2)世界の栄養・食課題への対策の動向:社会的決定要因へのアプローチ
3)栄養・食の課題に対する国際機関による対策の動向
4)健康の視点プラス持続可能性の視点の重視
5)栄養の専門職として国際的な視野が必要な理由
Chapter 9 科学的態度の形成と科学的探究
1.現場の課題と研究とのつながり
1)現場で求められる知識と能力
2)即応能力と継続的な知識のアップデート
3)研究を行うための知識と技術
(1)文献検索と仮説の立案方法
(2)客観的・批判的思考の習得
4)信頼できる情報の収集と発信に対する責任
2.研究倫理
1)研究倫理とは何か
2)人に対する倫理規範の歴史
3)同意取得の重要性
4)個人情報の取り扱い
5)研究倫理規範と現場での倫理的配慮
3.科学的探究と批判的思考(緒方裕光)
1)実践活動における科学的探究の必要性
2)研究における科学的方法
(1)研究目的の明確化
(2)既存の知識の抽出
(3)仮説の明確化
(4)実験・調査
(5)結果・考察
(6)研究成果の公表
(7)科学的探究の主な視点
3)批判的思考とは何か
4)批判的思考の主なプロセス
(1)課題の明確化
(2)問題解決の根拠となる情報
(3)合理的な議論
(4)問題解決
Chapter 10 生涯にわたって自律的に学ぶ能力
1.生涯にわたる自己研鑽の必要性
1)なぜ,自己研鑽が必要か
2)なぜ,自己研鑽は,生涯にわたって必要なのか
2.自律的に学び続ける能力の修得
1)自律的に学び続ける姿勢で培っていく能力
2)自律的な学びには,実践の積み重ねが不可欠
3.栄養の専門職としてのキャリアデザイン
1)栄養の専門職としての成長とキャリアデザイン
2)大きく変わっていく社会で,自らのキャリアデザインを考え,実行する