高齢者の精神診療と処方 これだけは!**金芳堂/姫井 昭男/978-4-7653-2056-6/9784765320566**
発行 2025年6月
判型:A5判 218頁
ISBN 978-4-7653-2056-6
臨床医が精神科のサポートなしで、高齢者へ向精神薬を処方する際に役立つ!
超高齢化社会において、一般臨床医が高齢者の精神診療にあたる機会が増えてきています。非専門医であるために治療に迷うことも多いでしょう。スムーズに精神科につなぐことができれば問題ありませんが、地方など環境が整っていない場合もあるのが現状です。治療の中心は、向精神薬による薬物療法が主体となります。そこで、すべての臨床医が精神科のサポートなしでも、高齢者のメンタルヘルスを診る時代に必要な基本知識と治療の考え方がわかるような内容としました。
【目 次】
序文
Chapter 1 高齢者
超高齢社会で求められる医療
高齢者医療
高齢者の心身の変化
高齢者の栄養状態
高齢者の健康格差
高齢者の健康状態と中高年期の生活習慣
高齢者の生活実態と生活環境の影響
知覚の機能の加齢変化
認知機能に影響を及ぼす知覚障害
高齢者の身体と精神の老化自覚の乖離
Chapter 2 高齢者の精神不調起因とその助長要素
高齢者特有の日常ストレス
環境変化によるストレス
高齢者の感情の変化
老年期精神障害の特徴
高齢者の社会性の欠如
Chapter 3 高齢者の薬物療法 基礎知識
高齢者への薬剤投与での留意点
高齢者の薬物代謝
高齢者の薬物動態
高齢者の多病と多薬という現状
精神不調時における高齢者の身体変化
高齢者へ向精神薬を投与するとき
老年期精神障害の薬物療法の基本
老年期精神障害の治療方針
Chapter 4 アルツハイマー型認知症
認知症
認知症の臨床診断と病理診断
現状の認知症診断における検査
認知症検診におけるトラブル
脳器質変化による認知症発症
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症の臨床像
アルツハイマー型認知症の治療薬
認知症治療薬を処方するときに伝えるべきこと
認知症治療薬の中止
非薬物療法
Chapter 5 レビー小体型認知症
レビー小体
レビー小体の分布と疾患バリエーション
鑑別診断
レビー小体型認知症診断のための検査
レビー小体型認知症の特徴的な症状
レビー小体型認知症の病状進行
薬物療法
非薬物療法
補足
Chapter 6 認知症の行動・心理症状
高齢者の精神症状
BPSD発現の助長因子
BPSDの薬物療法
関連知識:認知症に生じる幻覚・妄想の捉え方
関連知識:攻撃的行動(暴力行為)の原因
BPSDと漢方薬
関連知識:高齢者の食生活と精神症状
関連知識:チアミン欠乏と精神症状
関連知識:亜鉛欠乏と精神症状
Chapter 7 高齢者の「うつ」
「うつ」の成因
「うつ」の捉え方
「フレイル」と「うつ」
老年期の「うつ」
「うつ」履歴のある高齢者の治療
初めて「うつ」を呈した高齢者の治療
抗うつ薬の効果
認知症の可能性が否定できない「うつ」の薬物療法
高齢者の「うつ」に対する非薬物療法
Chapter 8 血管性認知症・脳梗塞後遺症・頭部外傷後遺症
血管性認知症
血管性認知症の症状と予後
脳梗塞後遺症・頭部外傷後遺症
薬物療法による改善の試み
脳梗塞後の予防的薬物療法
高齢者のてんかん
てんかんと神経伝達物質
高齢者に使用する抗てんかん薬
Chapter 9 睡眠障害とせん妄
高齢者の生体リズム
高齢者の睡眠障害
非薬物療法
せん妄
薬剤によるせん妄の惹起
せん妄の非薬物療法
せん妄の薬物療法
せん妄の薬物療法の中止方法
Chapter 10 依存症
高齢者のアルコール依存症
依存症とは
依存症の正体はコントロール障害
依存症は「否認の病」
アルコール依存症に続発する症状
アルコール依存症治療薬
高齢者のニコチン依存症
ニコチン依存症の特徴
ニコチン依存症の治療
依存症専門医療機関との連携
啓発・安易にベンゾジアゼピン系薬剤を処方しないための知識:ベンゾジアゼピン系薬剤の薬理と依存形成
処方薬依存ハイリスク者の性質
依存症を発症すると発症前の性質と真逆になる?
依存症ハイリスク者
Chapter 11 非薬物療法
適正な食事の啓発
脳科学的視点による高齢者の食事問題
高齢者のメンタルヘルス向上と必須アミノ酸
適正な運動(肥満解消)の啓発
老齢期の健康と若年での生活習慣改善啓発
Chapter 12 高齢者支援への提言
メンタル障害の原因となる高齢者の抱えるストレス
高齢者の社会的孤立リスク:男性高齢者へのケアの重要性
生活習慣と男性高齢者の問題1
生活習慣と男性高齢者の問題2
介護関係者の意識改革の必要性
高齢者への“真の”サポート
Chapter 13 留意したい高齢者の薬物療法
抗血小板剤
消炎鎮痛剤
過活動膀胱治療薬
降圧薬
プロトポンプ阻害薬(PPI)
視床下部作用性抗潰瘍剤
コラム
高齢者ドライバーの交通事故と認知機能
被害的思考と性差
「人格」と「性格」
高齢者の詐欺被害
ポリファーマシーの実際
「お薬手帳も見せて下さい」
高齢者とベンゾジアゼピン系薬剤
MCIの定義
神経細胞変性による認知症とバイオマーカー
高齢者のてんかん
認知症症状の悪化と脱水
タウタンパク質に関連する新しい知見
90年代の抗痴呆薬
病的体験の対応
カプグラ症候群(Capgras syndrome)
誤診されるレビー小体型認知症
注意障害と遂行機能障害
α-シヌクレイン
嗅覚と神経変性疾患
超高齢社会における「うつ」の精査と治療
なぜ「認知症」と思われてしまうのか
スルピリド
トラゾドン
退行(regression: 子ども返り)
ストレスとセロトニン
トリプトファンの摂取の重要性
フレイル
高次脳機能障害の特性と支援
頭部外傷後の幻覚・妄想を改善する薬物療法はない
グルタミン酸とGABA
ゾニサミドとパーキンソニズム
薬剤性せん妄
せん妄には“短期間の集中薬物療法”と“生活習慣改善による予防”
日本経済とアルコール依存症
脱水と飲酒
高齢者の食事の実像とオーラルケア
加工食品とメンタル不調
高齢者の診察を円滑に行う方法
コミュニティー機能の喪失
『時間の有効活用』=メンタル障害予防という啓発
“真の蓄え”の啓発