理学療法士のための産業保健入門**メジカルビュー社/神代 雅晴/978-4-7583-2298-0/9784758322980**
発行 2026年6月
判型:B5判 240頁
ISBN 978-4-7583-2298-0
監修:神代 雅晴 / 谷 直道
編集:公益社団法人日本理学療法士協会 産業保健理学療法テキスト編集企画部会 / 岡原 聡 / 亀田 高志 / 住徳 松子
日本理学療法士協会が制作した,理学療法士向けに産業保健について初歩から丁寧に解説した入門書!
少子高齢化の対策として,国が女性や高齢者の労働参加を推し進める一方,転倒や腰痛といった労働災害が増加しており,働く人々の健康維持と災害防止は喫緊の課題となっている。そのようななか,2023年に厚生労働省が公表した第14次労働災害防止計画では,「理学療法士等を活用した身体機能の維持改善」との文言が明記され,産業保健分野における理学療法士の活躍がおおいに期待されている。本書はこうした社会的背景を踏まえ,産業保健について初歩から丁寧に解説し,理学療法士が求められる新たな専門性を身につけるために必携の一冊である。
【目 次】
概 論
1章 産業保健と理学療法
1 労働安全衛生の歩み
暉峻義等:労研と産衛の生みの親
先人たちの心意気に学ぶ
産業衛生協議会の創立
産業構造の変化と,働き方および負担のあり方
人間工学の登場
働き方改革とコロナショック
近未来に取り組むべき3つ視点
2 産業保健と理学療法のかかわり
第1世代:国内の歩み
第2世代:模索と広がり
第3世代:急速な産業理学療法の発展
これからの展望
3 産業保健分野における専門職の活動の特徴と参入前の心得
コラム 諸外国の理学療法士と産業保健のかかわり
コラム 産業保健の同義語 神代雅晴
2章 理学療法士として理解しておくべき企業の仕組み
1 わが国の働く人を取り巻く産業構造
はじめに
日本の産業分類と特徴
企業規模による労働環境の違い
雇用形態の多様化と健康への影響
労働人口の構造変化
新興産業と労働者の健康
2 健康保険組合と企業・産業保健のかかわり
はじめに
専門職として自分の仕事を言語化する必要性
会社にあるラインをうまく活用する
タイミングが来るまで準備を怠らず,与えられた仕事で信頼を得る
3 産業保健にかかわる産業保健専門職
産業保健における理学療法士の役割 ― 健康管理・健康経営と連携の視点
事業所内の産業保健職
事業所外の産業保健職
4 労働者と人事労務管理
産業保健の対象:「労働者」と就労形態の多様化
雇用の契約関係:組織で働く基盤
給与制度と就業規則:働きの対価とルール
事業者責任:安全・健康配慮義務と労働者の役割
合理的配慮:障害者雇用促進法と就労支援
5 労働災害の動向とその補償
労働災害の発生状況
労働災害への対応
3章 労働衛生管理の原則とマネジメント
1 労働衛生の3管理・5管理と安全衛生管理体制および労働災害防止計画
1970年頃の労働者の安全衛生の状況から
有害な職場要因,健康影響を及ぼす作業から労働者を護る3管理と5管理
厚生労働省が労働安全衛生管理の方針,施策を示す労働災害防止計画
2 作業環境管理概論
作業環境管理とは
作業環境管理の必要性
作業環境管理の基本
3 作業管理概論
作業管理思想の原点
近代日本の産業保健活動と作業管理~暉峻義等と労働科学
IEの世界における作業管理
労働衛生行政が謳う作業管理
これからの作業管理
4 健康管理概論
健康管理
職域における健康管理の位置づけ
職場で行われる健康診断等
健康診断の事後措置
理学療法士の健康管理へのかかわり
5 労働衛生教育・健康教育
労働衛生教育
健康教育
6 個人情報保護・健康情報管理
労働者の健康情報管理
コラム わが国の産業保健分野での理学療法士の活動
コラム 労働衛生管理と理学療法士のかかわり
各論
4章 特異的一次予防としての作業管理・職場改善
1 人間工学概論
人間工学とは
2 産業疲労
産業疲労とは何か
疲労の可逆性
集団疲労という考え方
産業疲労の測定方法
現代の産業疲労の問題と対策
3 作業条件とその管理
Industrial Engineering(IE)
IE手法
現場改善の進め方
作業条件とその管理
作業負荷評価の目的と利点
作業負荷評価と管理区分の設定
作業の適正化の限界と対策
4 職場巡視のキーポイント
職場巡視の目的
法的側面と全員参加の重要性,理学療法士への期待
職場巡視の事前準備
職場巡視の視点
巡視後の対応と改善活動
理学療法士としての職場巡視支援
職場巡視の流れ
職場巡視のポイント
5章 職場改善活動の手法
1 職場環境改善活動の歴史と動向
参加型職場環境改善活動
職場のメンタルヘルス対策への応用
2 参加型職場環境改善
定義と範囲
参加型職場環境改善の6原則と共通特徴
参加型職場環境改善の実践例:「いきいき職場づくり」
ファシリテーターの役割と理学療法士として期待される役割
3 アクションチェックリストの活用
はじめに
アクションチェックリストの歴史
アクションチェックリストの構成と特徴
アクションチェックリスト活用の実際
おわりに
4 理学療法士として関与する保健衛生業における参加型職場改善活動
はじめに
医療・介護労働における参加型職場改善
おわりに
6章 健康増進活動における課題とポピュレーションアプローチ
1 健康保持増進対策
事業所における労働者の健康保持増進のための指針(改正THP指針)
職場でのポピュレーションアプローチ
健康保持増進と理学療法士の役割
活動事例
2 高年齢労働者対策
高年齢労働対策の全体像と作業管理のかかわり
高年齢労働者における身体機能と認知機能
反復的運動機能計測と個別フィードバックによるプレゼンティーズム改善の取り組み事例
3 運動器疾患対策
作業関連性運動器障害の予防対策
事例紹介1
事例紹介2
4 女性の就労支援
働く女性の健康と就労支援
事例紹介
おわりに
5 メンタルヘルス対策
はじめに
労働者のメンタルヘルスの現状
職場におけるメンタルヘルス対策
運動とメンタルヘルス
職場環境と心理社会的要因
理学療法士の実践的役割
事例紹介 川村有希子
6 地域・職域連携
地域・職域連携とは
中小規模事業場における産業保健活動の現状と今後の健康支援のあり方
中小規模事業所における運動指導の実践
7 レセプト・健康診断データの利活用
産業保健におけるビッグデータ解析
レセプト・健康診断データ分析の意義
複合的データ分析による付加価値の創出
データ分析において求められる能力
補足(データ分析ソフトウェアの活用)
コラム ベンチャー企業と産業保健のかかわり
7章 治療と仕事の両立支援
1 両立支援概論
はじめに
患者が労働者になるということ
病気を抱えながら働く意義
両立支援体制の整備
両立支援における多職種連携の重要性
これからの両立支援に向けて
2 理学療法士がかかわる両立支援事例
心疾患患者の治療と就労支援事例
両立支援コーディネーターである理学療法士による脳梗塞患者に対する両立支援
コラム 治療と就労の両立支援と職業リハビリテーションの整理
8章 事業場におけるリハビリテーション専門職としての支援の実践と具体的な留意点
1 産業保健部門との連携
事業場における理学療法士の実践領域と連携の基本
産業保健部門が期待する理学療法士によるサービス
理学療法士の位置付け
「健康経営(R)」「人的資本管理」「コラボヘルス」への貢献
2 事業場の窓口と人事労務部門との連携 亀田高志
理学療法士としてかかわる事業場内外の関係者
職場の関係者との連携における課題と対応
3 対象となる労働者と労務管理の実際
労務管理
労働者の勤務する職場の就業規則の確認
4 健康経営(R),人的資本経営等の経済産業省による施策
健康経営の定義
健康経営顕彰制度
健康経営の効果
健康経営ガイドブック
5 産業医と理学療法士の連携~産業保健における理学療法士の新たな役割と可能性~
理学療法士の強みと産業保健への応用
実例:プレゼンティーズム改善への取り組み
今後の展望と課題
さいごに
6 産業保健看護職(保健師・看護師)と理学療法士の連携
産業保健看護職の役割
産業保健看護職をサポートするサービス例
産業保健看護職との連携のために
あとがき
付録 評価測定実践ツール・実践事例
1 国際労働基準と日本の関係法令
国際労働機関が定める中核的労働基準
理学療法士が知っておきたい労働衛生関係法令・指針等
2 評価測定ツール
筋骨格系障害に用いる人間工学評価ツール
心身機能測定評価ツールの紹介
3 企業内リハビリテーションに求められること
現場復帰を目標とした運動指導
安全な現場復帰を目指すには
筆者の事業場で実施しているテスト「安全体力(R)」機能テスト
4 産業保健理学療法士の育成に向けたケースメソッド教授法の活用
はじめに
学習方法
ケースメソッド教授法の概要
ケース教材とディスカッションリーダー
おわりに
①ケース教材「誰も継続していない―中小事業場への理学療法士派遣事業の現実―」
②課題シート
③クラス討議の動画※
④ティーチングノート
本ケースのねらい
目標とする到達点
設問とリードのあり方