腹部消化器がんに対する がん研流手術のアート**医学書院/がん研有明病院 消化器外科/978-4-260-06289-3/9784260062893**
発行 2026年7月
判型:B5判 264頁
ISBN 978-4-260-06289-3
編集:がん研有明病院 消化器外科
責任編集:秋吉 高志 / 井上 陽介 / 髙橋 祐 / 布部 創也
がん研腹部消化器外科のエキスパートが集結。基本手技を礎にこそ叶う“手術のアート”
本書には、運針・剥離・結紮といった真の基礎から、術野展開の要諦、脈管処理、さらには血管合併切除や肝離断といった応用、そして再建に至るまで、腹部消化器外科手術に求められる手技が網羅されている。これから外科を志す研修医や専攻医、さらには専門医を目指す医師にとって、本書はまさに「バイブル」となり得る一冊。“手術がもっとうまくなりたい”“外科の神髄を学びたい” そう願うすべての外科医はもちろん、指導医にもおすすめ。
【目 次】
1章 運針の基本
運針の基本
「運針」ってなに? | 実際の運針手順
2章 剝離の基本
1.電気メスでの剝離/メッツェンでの剝離(開腹)
開腹:適度なカウンタートラクション下での剝離 | [コラム] 胆摘でtension作り,tension探しをマスター!
2.電気メスを使った剝離操作(腹腔鏡手術・ロボット手術)
電気メスの仕組みと剝離の流れ
3.エネルギーデバイスでの剝離
ハーモニックを用いた剝離・切離手技(ラパロ) | ダブルバイポーラ法(ロボット)
3章 結紮の基本
1.緩まない結紮とは? どうやったら2回目で締められる?
最適な結紮糸の選定 | 確実に締まる結紮:2回目のノットで締めこむ技術 | 「結紮点沈め」のコツ | [コラム] 指の動線にまで気をつかおう | 状況別「結紮点沈め」のコツ
2.どのくらい練習すればよい?
1日15分の練習を心がける | ラパロ,ロボットの場合は?
3.ラパロでの結紮のコツ
理論編 | 実践編 | 訓練編
4.ロボットでの結紮のコツ
触覚がないことの克服 | 把持力が強いことへの工夫 | 助手のヘルプがしづらい/道具のデリバリーがしづらい
4章 視野だしの基本
1.開腹での視野だし
● 肝切除
皮膚切開・開腹 | 開創器による視野展開 | 肝門処理をする症例
● 膵切除
皮膚切開・開腹 | 開創器のかけかた | 臓器圧排の基本
2.ラパロでの視野だし
● 肝切除
体位とポート配置 | 視野だしの各論
● 膵切除
ポートセッティング | ラパロDPの戦略と手順 | 脾周囲の剝離 | 手順の重要性
● 胃切除
患者体位・ポート配置 | マタドール法による網囊の開放と横行結腸のテイクダウン | 幽門下リンパ節郭清(右胃大網動静脈の処理) | 膵上縁郭清
● 直腸手術
助手による視野だし | 術者による視野だし
● 結腸手術
体位 | Port配置 | 後腹膜側授動 | 内側アプローチ | surgical trunkの郭清 | 網囊の開放・肝弯曲部の授動 | 腫瘍切除・腸管吻合 | ドレーン留置・創閉鎖
3.ロボットでの視野だし
● 肝切除
理想的な視野とは何だろうか? | 左肝系切除におけるport setting | 左肝系切除におけるscope transition | 右前区域系切除における体位・port setting | 右後区域系切除における体位・port setting | 右肝系切除におけるscope transition
● 膵切除
RPDにおけるセッティングと術野展開 | 膵体尾部切除術(RDP)におけるセッティングと術野展開
● 胃切除
患者体位・ポート配置 | 肝左葉の脱転 | 噴門周囲の剝離操作 | 横隔膜脚の展開 | 食道切離,頭側アプローチによる胃膵ヒダの衝立化
● 直腸手術
ポート配置と体位 | 直腸授動
● 結腸手術(右半結腸切除術)
術野展開のコンセプト | 手技の実際
5章 術野展開の基本
1.開腹手術での大展開と小展開
「展開」の定義 | 大展開/小展開の作り方のコツ
2.ロボット膵切除での大展開と小展開
ロボット膵切除での大展開の基本 | ロボット膵切除での小展開の基本 | 各論
6章 脈管処理の基本
1.開腹での脈管処理のコツ
動脈の処理 | 静脈枝の処理
2.ラパロでの脈管処理のコツ
動脈と静脈の組織学 | 血管周囲組織剝離・露出操作のコツ | 各論 | その他の注意点
3.ロボットでの脈管処理のコツ
動脈処理のコツ | 静脈処理のコツ
7章 止血の基本
1.出血への対応はまず圧迫
いろいろな圧迫止血法 | 圧迫法の使い分け | 圧迫後の対応
2.出血点の見つけ方/見極め方/出血様式に応じた止血法
動脈性出血の対応 | 静脈性出血の対応
3.止血縫合あれこれ
血管ごとの縫合止血 | それぞれの場面による縫合止血
4.圧迫で止めきるには?
圧迫で止めきるコツ
5.ソフト凝固の功罪
ソフト凝固とは | ソフト凝固の「功」:高い止血効果と低侵襲性 | ソフト凝固の「罪」:過剰な使用とそのリスク
6.大量出血への対処:非常時の対応と準備
術前の備え | 術中大量出血への初期対応 | 輸血の原則 | ダメージコントロール | 医療安全の観点から
8章 血管合併切除の基本
1.静脈合併切除・再建
静脈合併切除・再建の基本 | 静脈再建の種類 | 術式ごとの静脈再建
2.動脈合併切除・再建
腹腔動脈幹 | 肝動脈
9章 肝離断の基本
1.肝離断の順序
画像診断 | 皮切・開腹 | 術中超音波 | 肝授動
2.離断法
● Clamp-crushing法
術者 | 助手の役割
● CUSA
CUSAの使い方 | CUSAを用いる場面と有用性
● Waterjet
Waterjetとは | 特徴 | 道具の選択 | 使い方のコツ
3.開腹手術でのランドマークの出し方
術前準備 | デマルケーションライン | 肝門部胆管癌に対する肝離断(左肝切除・尾状葉切除)
4.開腹手術でのランドマークがない場合の肝離断
術前準備 | 離断ラインの設定 | 肝離断
10章 消化管再建の基本
1.胃関連吻合
ポート配置 | 幽門側胃切除術後再建 | 胃全摘術後再建:Roux-en Y 法再建 | 噴門側胃切除術後再建:観音開き法再建
2.結腸直腸関連吻合
● 結腸
機能的端端吻合 | 体腔内吻合(overlap法)
● 直腸
double stapling technique(DST) | 経肛門吻合
3.膵空腸吻合 ロボット支援膵頭十二指腸切除
体位とトロッカー配置 | 縫合糸 | 手技の詳細
4.胆管空腸吻合
肝内胆管(右肝管もしくは左肝管)切離時 | 空腸挙上 | 吻合
11章 がん研の研修システム
がん研の研修システム
ハイボリュームセンターでの集約的な臨床経験 | がん研の肝胆膵外科における年間手術数と修練医の目標 | 高度技能専門医と技術認定医の取得 | 学会発表と論文執筆の重要性
12章 がん研のカンファレンス
がん研のカンファレンス
肝胆膵外科術前カンファレンス | 肝胆膵内科外科合同カンファレンス(別名,肝胆膵キャンサーボード) | 術前カンファレンス(消化器外科全体) | 消化器センターカンファレンス(キャンサーボード)