シチュエーションで学ぶ輸液レッスン 第3版**メジカルビュー社/小松 康宏/9784758317825**
発行 2021年3月
サイズ A5
ISBN 978-4-7583-1782-5
【著者】
小松康宏(群馬大学大学院医学系研究科医療の質・安全学講座教授)
西﨑祐史(順天堂大学医学教育研究室先任准教授)
津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教授)
「読みやすさ」「理解しやすさ」にさらにこだわった充実の第3版!
①研修医と指導医の会話からシチュエーションをイメージし, その後の解説でぐんと理解が深まるという構成はそのままに,つまづきやすいところはさらに噛み砕いて解説しました。
②「実際にはどう投与するの?」の声にもお応えし,症例とともに具体的な処方例を追加。
③最新の文献・知見に合わせて改訂し,「グリコカリックス」「SGLT2阻害薬」など輸液にまつわる話題も豊富に盛り込みました。
④「Advance」(専門医試験に対応)の項目を追加。基本からのステップアップもサポートします。
⑤津川先生の最新コラムも載っています。
「輸液は苦手」が「ひとりでできる・もっとできる」に変わる,実践的な一冊です!
【目次】プレテスト あなたの輸液の実力は?
第1章 輸液の基本・輸液の実際
【輸液の基本】
総体液量は体重の60% , 血液量は体重の約7.5%
輸液の目的はNaと水の補充
輸液製剤の代表選手は生理食塩液と自由水(5%ブドウ糖液)
1Lの生理食塩液を投与すると250mLが血管内に残る。5%ブドウ糖液なら83mLしか血管内に残らない
1Lの自由水を投与してもわずか83mLしか血管内に残らない!
低張液(ソリタ?-T3)1L投与後の体内分布を考えよう
1価のイオン1mmolは1mE(q メック),2価のイオン1mmol は2mEqになることを覚えておこう
【輸液の実際】
高ナトリウム血症があれば脱水,なければ細胞外液量欠乏とよぶ
「脱水」(細胞外液量欠乏)状態かをみたければ患者さんの脇,舌,爪など身体をくまなく診察する!
輸液療法の基本は,初期アセスメントとモニタリング
輸液の投与量と投与速度を決めるには??1日当たりの投与量をイメージしよう
Advance
有効循環血液量減少,有効動脈血液容量,細胞外液量欠乏,脱水について
生理食塩液の浸透圧は308でなく286mOsm/kg・H2Oなのはなぜ?
第2章 電解質,酸塩基平衡
【Na・水バランス】
腎臓でのNaと水調節メカニズムを理解する
浮腫の原因は,①静水圧上昇,②膠質浸透圧低下,③血管透過性亢進,④リンパ灌流不全
全身性浮腫の治療では,まず食塩を制限する
利尿薬は尿細管でのNa再吸収を阻害し,Naと水の排泄を促進する
ループ利尿薬はヘンレループ太い上行脚で作用する最強の利尿薬
サイアザイド系は遠位曲尿細管で作用するマイルドな降圧利尿薬
鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(K保持性利尿薬)はループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬との併用で効果が増強する
急性重症低ナトリウム血症は致死的な病態!慢性低ナトリウム血症はQOL低下を生じる!
低ナトリウム血症をみたら,まずは本物か偽物かを見極める!
低浸透圧性低ナトリウム血症であれば,まずは水中毒を除外!
水中毒を除外したら,細胞外液量に注目する!
術後患者にみられる低ナトリウム血症は医原性ともいえる ?漫然と維持輸液を処方し続けてはならない
下痢にみられる低ナトリウム血症 ?原因はNa喪失といってよいのだろうか
SIADHの診断をマスターしよう
低ナトリウム血症の治療にあたっての考え方
重篤な神経症状がある高度低ナトリウム血症に対する緊急補正
症状が軽微な慢性低ナトリウム血症に対する治療の進め方 ?細胞外液量欠乏を伴う低ナトリウム血症
SIADHの低ナトリウム血症をどのように治療するか(正攻法)
高ナトリウム血症の原因は口渇中枢の異常,尿濃縮力障害,水分摂取量低下である
高ナトリウム血症の診断
高ナトリウム血症の治療法をマスターしよう
Advance
トルバプタンは集合管に作用する「水利尿薬」
SGLT2阻害薬は近位尿細管に作用し利尿作用を伴う新規経口血糖降下薬!
グリコカリックスと改訂Starlingの法則
脱塩現象(desalination) 生食を投与すればするほど低Na血症が進行する!?
【Kバランス】
血漿K濃度は①食事や輸液からのK摂取(intake),②細胞内外のK移動,③腎臓からのK排泄(output)のバランスによって調整されている
腎臓のK排泄量は,Naの摂取量に影響される
利尿薬を服用中の患者さんでは低カリウム血症に注意
低カリウム血症の鑑別診断の進め方
K補充は経口投与が原則。点滴補充は適応を十分に検討すること
高カリウム血症は,① K摂取過剰,② K排泄障害,③細胞外へのK移動のどれかで起こっている
高カリウム血症をみたら,①K再検査,②心電図モニター,③治療の緊急性を判断
高カリウム血症の治療法
Advance
腎臓のK調節機序
RAA系阻害薬服用患者にみられる高カリウム血症の管理
【酸塩基平衡】
酸塩基平衡を理解する
Henderson-Hasselbalchの式を理解しよう
動脈血ガスはステップワイズ法で読む! 練習あるのみ!
動脈血ガスの代償性変化を予測する
3つのSTEPで血液ガスを解釈する
AGの増加は代謝性アシドーシスの存在を示している。高AGアシドーシスの鑑別はKUSSMAL-P
補正HCO3 ? を計算して隠れた代謝性アルカローシスをみつける
(ステップワイズの3)
代謝性アシドーシスの原因を理解しよう
代謝性アシドーシスの治療法 ?安易にメイロン?を使用してはいけない
Advance
酸塩基平衡異常の解釈法:Boston学派,Copenhagen学派,Stewart法
静脈血液ガス,静脈血[HCO3 ? ],総CO2含量
尿アニオンギャップ
【そのほか(Ca,P,Mg)のバランス】
Caは生体にかかすことのできない重要なミネラルである
低リン血症は,心不全,呼吸不全の原因になる!
意外に見落とすMg欠乏 ?Mgはルーチンに測定するべき必須元素! 微量元素ではない!
Case Review
電解質異常の初期治療
低ナトリウム血症/高ナトリウム血症/低カリウム血症/高カリウム血症/高カルシウム血症
第3章 特殊な病態のマネジメント
【心不全の輸液】
体液過剰のある心不全患者に輸液をしてもよいのでしょうか?
左室駆出率が保たれている心不全(HFpEF)に気をつける
【腎不全の輸液】
腎不全患者では尿量に応じて輸液処方を調整する
腎不全患者では過剰投与にならないよう注意する
Advance
急性心不全の初期輸液 ?病態評価を通じて治療(輸液)の方針を考えよう
造影剤腎症予防
終末期患者に対する輸液
輸液スチュワードシップ:適正な輸液療法をめざす質改善活動
医療の質と安全
Tsugawa's Column
AIは医療の未来をどのように変えるのか?
どのようなタイプの医師が「良い医師」なのか?
コラム
体水分量は年齢,性別によっても異なります
血漿の分布-動脈血はわずか600mL !
体液恒常性(ホメオスタシス)とは?
人が1日に必要とする最低Na量は600mg
乳酸リンゲルと酢酸リンゲルの違い
浸透圧と張度の違い,OsmolalityとOsmolarityの違いは?
5%ブドウ糖液1L投与後の水移動を考える
毛細血管充満時間(capillary refill time;CRT)とは?
静水圧(せいすいあつ;hydrostatic pressure)
スピロノラクトンの用量
マラソンランナーの水中毒
水中毒(water intoxication)の定義
鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム(Na)血症(mineralocorticoid-responsive hyponatremia of the elderly;MRHE)とは?
利尿薬(diuretics)と利水薬(aquaretic)
SIADH患者の過剰水分量を求める式
時間あたり0.33mEq/L(24 時間あたり8mEq/L)の速度で低ナトリウム血症を治療するには,時間あたり体重×1.5mL の自由水を排泄させればよい
欧州腎臓学会・臨床内分泌学会の新たな低ナトリウム治療ガイドライン -低ナトリウム血症治療のパラダイムシフト
低張性低ナトリウム血症の治療例(欧州ガイドラインに準ずる)
グリセオール?で高ナトリウム血症になるのはNa負荷のせい?
高ナトリウム血症にならない塩分の摂取許容量は?
浸透圧利尿があるかどうかの基準が900mOsmなのはなぜでしょう?
なぜ補正に5%ブドウ糖液を用いるのか?
尿崩症などで引き続く大量の自由水喪失がある場合にどうするか -自由水クリアランスの計算方法
K摂取と血圧の関係は?
輸血と血漿K濃度の異常
透析患者では腸管からのK排泄が増加する
低アルブミン血症とアニオンギャップ
メイロン?投与による血圧上昇は,Nの負荷の影響?
ベースエクセス(base excess:BE)とは?
輸液療法中は,週1回リン,マグネシウムを含めた電解質測定を行う
救急外来で最も危険な処置(procedure)は?
透析患者のTPN-Ca,P,Mg は微量元素ではなく必須元素